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IPS液晶にフルHDで約6,200円!?安すぎるモバイルモニターをポチってその実態を探ってみた【ヒトバシラー】
皆さんはモバイルモニターを持っていますでしょうか?自分はモバイルモニターは、前々から欲しいな~って思いつつ、AmazonやYoutubeの動画をちょこちょこと見ていたりします。
最近、Youtubeのモバイルモニターの紹介動画を見ていると、中華メーカーですが、品質もよく、安価なものが増えています。1万円台前半でフルHD、IPS液晶、保護ケースなんかもついて、中には、アルミ素材のものなんかもあります。
サイズは10インチから15インチくらいのものが多いですね。サイズに関しては、大きければよいというものでもないので、10インチだから安いとかそういうものではないようですね。
さて、そんな見てるだけの日々が続いていたのですが、Aliexpressで約6,200円のモバイルモニターを見つけました。(値段は日によって若干変動します)
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どうせ解像度が低いんでしょとか、IPS液晶じゃないんでしょとか思っていましたが、なんと1,920✕1,280のFHD+でIPS液晶です。ちなみにFHD+って明確な定義はないみたいですね。自分は1,920✕1,080よりもちょっと広い液晶はFHD+ってことにしてます。サイズは10.5インチ。
値段の安さでポチる行為は、後で、ほぼ後悔一直線になるのは分かりきっているはずなのに、今この瞬間の脳内エンドルフィンには逆らえず、ついポチりとしてしまいました。さて、この製品はちゃんと仕様通りなのでしょうか?
開封
2024/8/20に注文して、8/27に届きました。
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Aliexpressの製品って1ヶ月くらい待たされるイメージがあったのですが、最近は早いですね。例のライバル通販が台頭してきたせいでしょうか?
パッケージ
パッケージは、ビニールに包まれた段ボールです。値段を考えるとこんな感じかと思います。
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パッケージの側面は『Portable Monitor』と書いてあります。うん、分かりやすいですね。
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もう一つの側面には、ノートPCやゲーム機などのイラストが載っています。
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本体のファーストインプレッション
パッケージを開けると、よくあるタイプの薄い白いカバーに本体が入っています。
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持ち上げてみるとその軽さにびっくりしました。これ、中身入ってます?って思うくらいの軽量さです。プラスチック素材だと思いますが、それでも軽いです。正確な重さは後で計ります。
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白いカバーを取ると、本体とのご対面です。液晶はテカテカ液晶、プラスチック素材で高級感はありませんが、はじめからそんなものに期待はしていません。むしろ意外にイメージ写真と一緒だったことにびっくりです。
ベゼルは挟ベゼルですし、正面にロゴがありません。多くのメーカーではロゴを入れていますが、あまり有名ではないメーカーのロゴはちょっと嫌なので、このシンプルさは嬉しいですね。
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背面は、ネジ穴が2つ、75mmの間隔になっています。
VESA規格なのですが、ネジ穴が2つなのは少ないような…軽量だから固定には問題ないかとは思いますが…。
それとスピーカー穴が2つあります。ただ、ノーブランドの中国製品、単なるフェイクで、実際はスピーカーは内蔵されていないのかも知れません。ここはあとで実際に試してみましょう。
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同梱物
同梱物の確認です。まずマニュアルです。日本語対応していませんが、写真入りなのでなんとなく分かります。
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次に、ミニHDMI - HDMIケーブル。
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USB TypeC to Cケーブル。
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100均で売ってあるような簡易的なスタンド。
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日本では使用できない電源プラグです。
ちなみにUSB TypeCでの接続になっています。
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そして同梱されていない保護カバーのマニュアルです。
もう一度いいます。同梱されていない保護カバーのマニュアルです。
なんでこれが入っているんでしょう?
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同梱品は以上です。多くの格安モバイルモニターでは、保護カバーがあるのですが、こちらの製品には同梱されていませんので注意です。
このあたりでコストカットしているのかも知れません。
本体をじっくりと見てみる
画面を保護するフィルムなし
通常の製品ならば、出荷時は画面を保護するフィルムが貼ってあるかと思います。しかしこの製品はそれが見当たりませんでした。
いえ、液晶画面の左上にいかにも「ここからフィルムを剥がして使ってくださいね」みたいなシールがあるのですが、なんとシールだけでした。
もしかしたらぴったり貼り付けすぎて、目視では確認できなかっただけだったのかもしれませんが…。
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そして剥がすと案の定シール跡がつきましたので、拭き取っておきます。ちなみに液晶ディスプレイにアルコールは厳禁なので、濡らした布か、空拭きで根気よく拭き取とります。
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インターフェース
インターフェースは、液晶を表として左側面に電源ボタン、明るさやボリュームなどを調整できるメニューボタン、そしてイヤホンジャックがあります。
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右側面に電源用USB Type-Cポート、映像出力用Type-Cポート、Mini HDMI端子があります。
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背面にはやや上部にステレオスピーカーの口があります。背面スピーカーはあまり好きではありませんが、フロントの狭ベゼルを実現している以上、ここは仕方ない部分です。そもそも正常に音が鳴るのかが心配です。鳴ったとしても音質には全く期待していません。
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実機で仕様通りか確認
ディスプレイの仕様(FHD+、IPS液晶)
まずは、この格安モニターをラズパイ(Raspberry Pi 400)に接続してみます。すると無事に映りました。
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そして、画面解像度を確認してみますと、仕様通り、1,920✕1,280のFHD+でした。ひとまず安心です。それと意外に発色が良いかも知れません。
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では、視野角を確認してみます。これくらいの角度でも、画面は認識できます。ちゃんとIPS液晶のようです。
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なお、こちらの製品の視野角は170度となっています。1万円程度のモバイルモニターでは178度の視野角を担保しているものもあるので、若干低めですが、よくよく考えたら、この角度からモニター見ることないので、この程度は誤差の範囲です。
内蔵スピーカー
格安のモバイルモニターであり、更に製品説明にも内蔵スピーカーの記載は無かったため、背面にスピーカー穴があっても実際に音がなるのか不安でした。
というわけでゲーム機に繋いで音が鳴るかテストです。ニンテンドークラシックミニスーパーファミコン、いわゆるスーファミミニを接続してみます。
実際にゲームを起動すると、ちゃんと内蔵スピーカーから音が鳴りました。しかも悪くない音質です。
もちろん高音質という訳ではありませんが、ノイズが入るわけでもなく、極端にこもった音でもなく普通に聞けるレベルの音質です。
これは嬉しい誤算です。
それと、スーパーメトロイドで試しましたが、やっぱり発色が良いように感じます。スーパーメトロイドは黒や赤などの深い色合いが多いので、くっきりと鮮やかに映ります。このあたりはグレア液晶(テカテカ液晶)であることも要因かもしれません。グレア液晶は撮影時の自分の姿が映り込んだりするのが苦手ではありますが…。
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本体重量
開封の時から、軽い軽いと言ってきた本体ですが、実際に重量を計ってみます。
すると253.5グラムでした、やっぱり軽いです。
iPhone 15 Pro Maxが221g、iPhone 14 Pro Maxが240gなので、大きめのスマホとほぼ同じ重量と考えてよいでしょう。10.5インチサイズでこの重量は脅威です。
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発色の良さ、鮮やかさ
ノートパソコンのサブディスプレイとして接続し、ノートパソコンの液晶と並べてみます。あくまで初期設定の状態です。
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ディスプレイは鮮やかです。特に黒やそれに近い色は鮮明に見えます。ステーキの写真がわかりやすいですね。
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一方で、白に近い色は、色が飛んでいるように見えます。卵焼きの写真が分かりやすいですね。その左のマグロは色の深い部分まで鮮やかですが。
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ピザの写真も、モバイルモニターのほうが鮮やかです。
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刺し身の盛り合わせの写真を見ても、モバイルモニターの方が鮮やかではありますが、白い部分がやはり飛んでいるのが分かります。
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全体的に初期状態では輝度が高く、また白が飛ぶようです。このあたりは設定で調整できるかもしれません。
サブディスプレイ(HDMI接続)
サブディスプレイとしての使い勝手はごくごく普通です。HDMI接続で試しましたが、遅延などは発生しませんでした。有線で接続しているモニターで遅延が発生するものなどは聞いたことはありませんが、一応格安のモニターなので普通に使えることを報告しておきます。
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サブディスプレイ(USB TypeC接続)
申し訳ありません。はじめに謝っておきます。パワーデリバリー対応のUSB TypeCのノートパソコンを持っていなかったため、USB TypeC接続については検証できませんでした。
USB TypeCケーブル一本で接続できるかどうか気になっている方もいらっしゃるかと思いますので、この部分を検証できなかったのは重ね重ね申し訳ありません。
メニュースイッチ
左側面にメニュースイッチがあります。メニュースイッチは上と下、そして押し込むタイプのスイッチです。
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上にスイッチを傾けることで、ボリュームコントロールが表示されます。
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下にスイッチを傾けることで、明るさの調節ができます。明るさは、初期状態よりも低く設定したほうが自分の好みです。
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そして、スイッチを押し込むと、各種メニュー表示となります。
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使う機会の多いボリュームコントロールと明るさ調整の操作が簡単なのは好印象です。メニューは日本語対応していませんが、この程度ならば問題ないでしょう。
気になった点と良い点
まず、格安モニターであることを頭から取っ払った状態で、気になった点を並べます。
バッテリーは非搭載
保護カバーは付属していない
開封時点で保護フィルムを貼っていない
外装はプラ素材で品質はチープ
配線周りのゴチャゴチャ感
バッテリーについては、値段を考えると仕方がないです。またバッテリーが搭載されていると本体重量も重くなります。
保護カバーは付属していませんので、持ち運ぶ時の傷には注意してください。
開封時点で保護フィルムが貼っていないのは、ちょっと残念です。気にされる方もいるかと思います。
プラ素材であり、全体的にチープな印象です。
配線周りに関してですが、端子がミニHDMI端子であり、ケーブルもミニHDMI - HDMIケーブルが付属しているので一見問題ないように思えますが、Raspberry Pi 400のように接続元の機器が標準HDMIでない場合、付属のケーブルは使えません。別途変換コネクタが必要です。
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また、ミニHDMIやUSB TypeCの口が側面にあるため、配線がかなりゴチャゴチャします。背面に取り回す事ができれば良いのですが。
コの字のHDMI-ミニHDMI変換コネクタが付属していたら嬉しかったんですけどね。
次に良い点です。こちらは格安モニターであることを頭に入れながら並べてみます。
FHD+、IPS液晶なのに圧倒的な安さ
ものすごく軽い
普通に使える
発色は鮮やか
内蔵スピーカーの音質も悪くない
こちらは、この値段で普通に使えるモバイルモニターであることがポイントです。特にその軽量さはちょっと大きなスマホレベル。モバイルには最適です。値段を考慮するとラフに使えますね。
最後に未評価の内容を並べてみます。
USB TypeCケーブル一本での接続
耐久性
USB TypeCケーブル一本で接続できるかどうかは、検証したかったところです。
耐久性に関しては、中華製のモニターということでどの程度持つか分かりませんし、こういったノーブランド製品は品質に個体差がありそうです。
この製品を購入する場合は、ここは覚悟の上、購入する必要があるでしょう。
まとめ
感想としては、予想以上に使えるモバイルモニターでした。出荷時の液晶保護フィルムが貼っていないこと、存在しない保護ケースのマニュアルが同梱されていることなど、怪しさを感じるところもありますが、そこがまた面白いです。
もちろん、自分が気に入ったモニターを、そこそこのお金を払って購入する方が幸せになれますので、オススメはしません。最近は1万円程度で良質で付属品てんこ盛りなモバイルモニターも結構あります。
ただ期待していなかったのに意外に使えるというサプライズ的な喜びがあるのもこういった製品の魅力です。
自分は、これからもなにか怪しげで安価なものがあったら、そっちに引っ張られるかも知れません。