誕生日を知らない超ブラック企業勤めの青年が慶應義塾大学への進学を目指した話 ⑪
「中学生で働いていた」ということ、事実であればとんでもないことである。「うちの会社」ということは土木建築系の会社であり、これは未成年就労を許可されない製造業等工業的業種に該当する。労働基準法において小・中学生をこの業種に就労は違法であり、さらに就労させ中学校へ通わせないということは憲法26条に反する。この点に関して少し詳しく聞いてみたくなった。
「えっと。言っている意味が分からない。中学生から今みたいに働いてきたの?」
「違いますね。小学校5年生から働いていますよ!」
(ますます駄目である)
「はあああ?小学生から働いてるってこと?」
冷静沈着を自称する私でさえ、この返答には思わず変な声が出てしまった。
「うちの会社、社員は家族と一緒ですから。働くのは家の手伝いだから違法じゃないんだって社長が言ってますよ。」
「そうなんだ。どブラック会社だね。違法じゃんソレ。」
「違法なんですか?この業界、家族が手伝うのは当たり前ですよー。どこも同じ事やってますってー。」
「いやいや。やってないから。それに家族ってなんだよ。社長って親じゃないでしょ?」
「親じゃないですよ。でも親代わりなもんです。両親が行方不明になってからは働かせてくれてるんで。おかげで家もありますし、ご飯も食べられるんです。」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?