元GAFA管理職のボランティア家庭教師

自身の偏差値50から一年で80へ上げた経験と仕組みをもとに一年に1人に限定し格安で家庭教師をしてきました。 そこで出会った悲惨な人生を歩んでいた青年の人生を変えた日々を書き起こしてます。 無料で公開していくつもりではいますが、無断転載はしないでください。

元GAFA管理職のボランティア家庭教師

自身の偏差値50から一年で80へ上げた経験と仕組みをもとに一年に1人に限定し格安で家庭教師をしてきました。 そこで出会った悲惨な人生を歩んでいた青年の人生を変えた日々を書き起こしてます。 無料で公開していくつもりではいますが、無断転載はしないでください。

最近の記事

誕生日を知らない超ブラック企業勤めの青年が慶應義塾大学への進学を目指した話 ⑪

「中学生で働いていた」ということ、事実であればとんでもないことである。「うちの会社」ということは土木建築系の会社であり、これは未成年就労を許可されない製造業等工業的業種に該当する。労働基準法において小・中学生をこの業種に就労は違法であり、さらに就労させ中学校へ通わせないということは憲法26条に反する。この点に関して少し詳しく聞いてみたくなった。 「えっと。言っている意味が分からない。中学生から今みたいに働いてきたの?」 「違いますね。小学校5年生から働いていますよ!」

    • 誕生日を知らない超ブラック企業勤めの青年が慶應義塾大学への進学を目指した話 ⑩

      ―2時間経過― 解いている様子はあるのだが、やはり非常に遅い。一週間で改善できるものではないとは言え、2時間たった時点で亜細亜大学と日本大学の大問をそれぞれ1つずつしか終えていない。このままでは5時間与えないと終わらないであろうと思った。 「もう時間だから現時点のものでいいから見せて」 「・・・わかりました。だめだあ、ほんと時間足りません。」 「いやいや・・・このレベルの英文でこんなに時間かけているようじゃ六大学なんて目指すレベルではないよ・・・」 流石に少し言い過

      • 誕生日を知らない超ブラック企業勤めの青年が慶應義塾大学への進学を目指した話 ⑨

        この言葉にはかなり驚かされたが、同時に、確かに信じられないよなという同意の気持ちにもなった。“元GAFAのキャリアを持ち激務で有名な広告代理店で働くサラリーマンが無償のボランティアに近い価格(交通費と喫茶店やファストフードでの食費)で勉強を教える“なんてことを聞かされたら誰でも怪しむに違いない、間違いなく自分であっても、このようなことを誰かから相談を受けたなら100%詐欺であると疑う。しかし、この件に関しては単純に完全なる善意で引き受けようと思っただけであって、これが別の子で

        • 誕生日を知らない超ブラック企業勤めの青年が慶應義塾大学への進学を目指した話 ⑧

          2.現状 顔合わせの日から毎晩10分ほどではあるがダイキ君と電話にて進捗確認をするようにしている。きちんとやれと言ったことはやっており指導する側からすると非常にやりやすい生徒だった。質問事項があれば何でもメールで聞いてくるし、学習意欲と熱意があふれているいい学生である。しかしその中において気になる行動がちらほら出てきていた。 それは何かというと 「質問を全て手打ちしてメールで送ってくる」 ということだ。別にそれ自体はなんら悪いことではない、しかしスマートフォン(以後ス

          誕生日を知らない超ブラック企業勤めの青年が慶應義塾大学への進学を目指した話 ⑦

          ダイキ君は自分が行うべき方向性がはっきりしたことでさらにやる気が満ち溢れているように見える。しかし不安そうな顔を浮かべ、帰ろうとする私を呼び止めた。 「このカリキュラムをこなせば六大学に受かりますよね?」 「受かるよ(少なくともどこかには必ず)。だから頑張っていこう。」 「3か月で受かりますか?」 「はっきり言おうか。不可能です。絶対に無理。何故なら、このカリキュラムを達成するにはどう少なく見繕っても3000時間は必要だからね。早慶レベルに合格するのに必要な勉強時間(

          誕生日を知らない超ブラック企業勤めの青年が慶應義塾大学への進学を目指した話 ⑦

          誕生日を知らない超ブラック企業勤めの青年が慶應義塾大学への進学を目指した話 ⑥

          「先生ならこの状態から3か月で六大学合格までのスケジュール作ることできますよね?」   この段階で把握できているダイキ君の習熟度をまとめるとこうなる。   英語(推定センター試験40点台) 推定偏差値25 ※読むスピードが遅すぎるため完答出来ないため。 単語力・・・2500語(高校2年生レベル) 文法力・・・中級(高校2年生レベル) 長文読解力・・・中学校2年生レベル 読解スピード・・・25wpm 国語(推定センター試験30点台) 推定偏差値20 ※読む

          誕生日を知らない超ブラック企業勤めの青年が慶應義塾大学への進学を目指した話 ⑥

          誕生日を知らない超ブラック企業勤めの青年が慶應義塾大学への進学を目指した話 ⑤

          月間480時間労働なんて私の社会人人生において経験したことがないものであり(広告代理店でも外資系金融でもここまで働くことは非常に稀(まれ)だ。仮にあったとしても巨大プロジェクトの山場もしくは事故発生時といった特別な事情があった場合にしか生じない)しかも言質から想定できるのが、それを恒常的に、アルバイトという立場で行っているということだ。そこで新たな疑問が浮かび上がる。 「それだけ働いていつ勉強しているの?・・・」 「仕事終わってからですね!毎日2時間から3時間は勉強してい

          誕生日を知らない超ブラック企業勤めの青年が慶應義塾大学への進学を目指した話 ⑤

          誕生日を知らない超ブラック企業勤めの青年が慶應義塾大学への進学を目指した話 ④

          しかし、まだ一縷(いちる)の望みを持っている。 それは彼がここ1年間自分で勉強を進めていたと聞いていたことからかなりの学力を保持している可能性があるかもしれないということだ。勉強していたという彼の言葉と使い古された数々の参考書を目にすると期待せざるをえなかった。   私は必死に絶望感を顔には出さないようにしつつメモを取っていく中で、聞いていないことがあることを思い出した。 (偏差値いくつか教えてもらっていなかった・・・) 「あ、そういえば偏差値っていくつなの?英語と

          誕生日を知らない超ブラック企業勤めの青年が慶應義塾大学への進学を目指した話 ④

          誕生日を知らない超ブラック企業勤めの青年が慶應義塾大学への進学を目指した話 ③

          ―2016年12月2日― 「先生、はじめまして。ダイキです。よろしくお願いします」 はにかんだ笑顔とともに頭を下げたお辞儀とともにしっかりした挨拶をしてきた。 「はじめまして、ダイキ君。今日はよろしくお願いします。早速だけど、色々君のことを知りたいから何故家庭教師をしてほしいと思ったのか教えてくれませんか。」 堅苦しい挨拶とともに彼のことを色々聞きだそうと姿勢を正し目を向けると、注文したコーヒーには手をつけず、はきはきとした挨拶を行う彼の姿勢を見て、益々彼に対しての好

          誕生日を知らない超ブラック企業勤めの青年が慶應義塾大学への進学を目指した話 ③

          誕生日を知らない超ブラック企業勤めの青年が慶應義塾大学への進学を目指した話 ②

          1.出会い 私は当時、某広告代理店で働きながら週末の空き時間を利用し、大学進学を目指す子の受験勉強を年に1人だけ手助けしていた。何故社会人になってまでそのようなことをしているかというと、自分が中学・高校時代、地理的な環境により勉強に苦労した体験をもとに、1人でも進路に困っている学生のサポートができればという思いが消えなかったためだ。高慢ながら大学受験だけではなく、その後のキャリア形成の手助けとなる考え方の基本も教え、就活の際にも活用できるようにしている。 広告代理店で働く

          誕生日を知らない超ブラック企業勤めの青年が慶應義塾大学への進学を目指した話 ②

          誕生日を知らない超ブラック企業勤めの青年が慶應義塾大学への進学を目指した話①

          序章 初めてダイキ(仮名)君と会ったのは2016年の11月。出会いのきっかけはとある家庭教師掲示板だった。そこを通じて一通のメールが私の元へ届いた。 「一人でここまで勉強してきましたが、これからどのように勉強をしていいのかもわかりません。アルバイトしながら生活し学校に通っています。このままだと今後もまともな生活ができるようになるとは思えません。今後の人生と今までの自分を変えるために大学に進学したい。できれば東京六大学のどこかへ行きたいのですが、こんな自分でも可能性はありま

          誕生日を知らない超ブラック企業勤めの青年が慶應義塾大学への進学を目指した話①