誕生日を知らない超ブラック企業勤めの青年が慶應義塾大学への進学を目指した話 ⑥
「先生ならこの状態から3か月で六大学合格までのスケジュール作ることできますよね?」
この段階で把握できているダイキ君の習熟度をまとめるとこうなる。
英語(推定センター試験40点台)
推定偏差値25 ※読むスピードが遅すぎるため完答出来ないため。
単語力・・・2500語(高校2年生レベル)
文法力・・・中級(高校2年生レベル)
長文読解力・・・中学校2年生レベル
読解スピード・・・25wpm
国語(推定センター試験30点台)
推定偏差値20 ※読むスピードが遅すぎるため完答出来ないことに加え、論理力がないため
現代文
読解力・・・小学校5年生
文章力・・・小学校5年生
古文・・・皆無
世界史(推定センター試験15点台)
推定偏差値25 ※序盤までしかカバーできていない
紀元前300年までのヨーロッパ史は完璧。それ以外は手付かず
ちなみに私が慶應義塾大学法学部の一般受験で合格に必要と考えている習熟度は
英語(推定センター試験190点台)
単語力・・・7500語
文法力・・・高校上級
長文読解力・・・高校上級
読解スピード・・・160wpm
国語(小論文)
現代文
読解力・・・高校上級
文章力・・・高校上級
世界史(推定センター試験95点台)
通史の教科書に出てくる基本用語をすべて把握し、出来事の因果関係を理解している水準
これらの条件をダイキ君に見せながらカリキュラムの説明をする、
「今のダイキ君の状態からそのレベルまでもっていくとするならば、英語は単語力の強化を引き続き実施。まずは今持っている単語帳は全ての日本語訳を覚えること。やり方は単語を見て発音、それを君の水準なら7周くらいすると目標に達すると思います。一目見て意味が出てこない単語をチェックして埋めていくようにすること。文法は、今使っているやつは今の君にはレベルが高すぎるのでもっと基本的なやつをみてください。語法や構文の知識が怪しいのでそこから固めていきましょう。長文読解力は・・・・読むスピードもそうだけど、論理力がなさすぎるので日本語力をつけることから始める必要があるね。A=B、B=CならばA=Cになるということが理解できなかったから小学生レベルの読書から日本語になれないとダメだと思う。試しにこの英文の日本語訳をみて問題解いてみてよ。解けないでしょ?日本語力がはっきり言って小学生レベルしかない。論理をつかむ力がないから長文読解で類推力が要求される問題が出題されると全くできていない。今の君の読解力では英語の長文を読む以前の問題だからね。日本語という基礎が固まっていないのに難関大学の英語を読むのは無理だよ。このままだと大学入試の国語は全く出来ないし、ましてや慶應義塾の小論文は何を書いているのか理解すらできないと思うよ。ここまでは前提として、君のカリキュラムはこれね。」
1. 日本語
第一段階
・日本語の簡単な文の構成や論理関係を理解できるようにする。
確認方法
・都立入試の国語で90点をとる。
手段
・高校受験用の国語問題集を解く。
第二段階
・高校生に必要なレベルの日本語文の構成や節の関係性の把握力をつける
・高校卒業レベルの日本語論理力をつける
確認方法
・センター試験の国語の評論文で40点(※80%)を目標
手段
・出口の現代文レベル別問題集1~5、
・センター試験(国語)の評論文20年分以上を目標)
2. 英語
第一段階
・センター試験の英語の大問をそれぞれ設定された時間内に解く。
第二段階
・センター試験の英語をそれぞれ設定された時間内に解く。
第三段階
・センター試験の英語で時間をかけて解いて70%とる。
第四段階
・センター試験の英語で時間内に解いて70%とる。
第五段階
・センター試験の英語で時間内に解いて80%とる。
第六段階
・MARCHの英語(明治・青山学院・立教・中央・法政の過去問)で合格者平均点をとる。
第七段階
・慶應義塾の過去問で平均点をとる。
第八段階
・慶應義塾の過去問で平均点+20点をとる。
3. 世界史
第一段階
・通史をおおまかに把握する。
第二段階
・ある出来事(単語)に対して年代・関係者・関連する出来事を穴埋め形式で埋めることが出来る。
第三段階
・教科書ノートを何も見ない状態で埋めることが出来る
第四段階
・ある出来事に対して関連事項を含めて説明することが出来る。
第五段階
・センター試験の世界史で時間内に解いて90%とる。
第六段階
・慶應義塾の過去問で平均点をとる。
第七段階
・慶應義塾の過去問で平均点+10点をとる。
これらのカリキュラムを達成すれば合格圏内に達することを説明した。
この時使用した方法は、プロジェクト管理で使われる方法で、
1、ゴールを設定する。
2、ゴールを達成するのに必要なことを要素分解する。
3、分解された要素Aを達成するのに必要な項目(要素B)に更に分解する。
というように大目標を達成するのに必要な項目を洗い出し、中目標を設定する。さらにその中目標を達成するのに必要な項目小目標を設定する。この時、目標の達成状況を確認できるように、定量的な要素として分解する必要がある。(ここでは第N段階というように目標のみを列挙しているが、実際にはそれらの目標を達成するために必要な項目を細かく設定する)
ここまでのやり取りで私の終電の時間が近づいてしまったので翌週に持ち越すこととなった。初回ということもあり、ダイキ君の「現状を把握」し「何が足りないのか」、「将来どうしたいのか」ということをくみ取ることに専念し、科目指導を行うことは出来なかった。
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