
酒とバイクとイキリ大学生深夜の引退式
「俺は引退する!」
そう言った男が居る。
ある日の深夜の公園での出来事だった。俺と友人を呼んで夜中の公園で「俺は引退する!」と宣言した。
何を引退するのか?俺はよくわからなかった。だが引退宣言をした男は酒が入っていて興奮している。コイツは酒癖が悪くて酔うとハイになって暴力的になるのであまり触れないようにした。
とにかく引退すると喚いている。しかも涙を流しながらだ。
これはちょっと困ったことになったなと思った。
俺は恐る恐る聞いてみた。
『引退するって、何から引退するん?』と。
すると彼は「クリエイティブな事から引退する、俺は会社員になる」と言った。
えっ!?
クリエイティブな事から引退するってアンタ、同人活動もしてないし、なんか最近8万円もするワープロ買って小説を書く書く言っていたけど短編の一本も書いてないし、なんにもしてないやん。
それで引退ってどういう事だろう?この場に居合わせる俺らに止めて欲しいのだろうか?別に会社員になるならなるでその傍らで小説書くなりすればええやん。そんな引退なんて大げさな。
しかもお前さ、大学2回生の時に「サラリーマンなんざ人に頭下げてりゃ誰でもなれるやろ?それで頭下げて赤提灯でみんなで愚痴言ってさ、そういう存在やろ?」と大口叩いていたよな。サラリーマンになるから引退?サラリーマンなんか誰でもなれるんちゃうんか?それこそ片手間に小説書き続けたらええやろ?
くだらない。こんな男の引退式の為に深夜の公園に呼び出されて、夜の3時やで、勘弁してくれよ。いくら俺の仕事が遅番やからっていっても限度があるで。
まあコイツは典型的なイキリ大学生で、大学はいった瞬間に金髪にしてピアスして酒の話しだして50ccのバイク乗ってイキリだした。
在学中にワープロを買って、小説を書くと言い出したんやがさっき言うたように短編の一本も書き上げない。「プロットは思いつくがオチが思いつかん」と言っていた。だから彼の「こういう小説を書きたい」という構想を聞くのはアホらしいと内心思っていた。お前なんかよりエヴァのSSを書く人間の方がよっぽどマシ。口先だけや。
Fラン大学に通って留年もして6年間、なーんの実績もなし。
卑怯な事に「同人はノーカンな」と言って当時すでに同人活動をしていた俺との差を作りたくなくて同人はノーカウントと言い出した。でも同人がノーカンだとしても俺、商業誌に常連としてイラスト掲載されていたんやが。ファンロードにも複数回載ったし。お前がFラン大学で酒とバイクとか言ってる間に俺はイラストも漫画同人誌も短編小説もやった。同人TRPGも作った。はっきり言って俺からしたら6年間も親のスネをかじって何をやってんねん?と。形になるもの・同人活動すらしてない人間が「引退」だとさ。そして就職先はキンコーズっていう所でさ。オタクとか同人嫌いとか言う人間がオタク御用達のコピー屋に就職ってどういう気分?ああ、そういや店で同人誌作ってる人間の悪口も言うてたな。お客をお客として扱えないとかサイテー。それとか店に居る腐女子バイトらとワンピースの話題で盛り上がったといってジャンプを読んでる腐女子は肯定しながら男オタクは差別してオタクっぽい部下を4時間個室に閉じ込めてひたすら恫喝したら次の日辞めていったとかパワハラ自慢もしていたな。
そんなイキリの勝手な引退式。
やれやれである。またイキリのくせに自分よりあからさまな強者には弱いねん。だから彼はバイトするにしてもオープニングスタッフを選んでいた。先輩が居ると嫌だからさ。キンコーズの仕事もオープニングスタッフのアルバイトや。それで他のアルバイトの人間を恫喝し蹴落としまくって正社員の座を勝ち取った。
他者を蹴落としながらたまたま椅子取りゲームの勝者になれただけのチンケで傲慢な男。キンコーズ三宮店の人間らもお前の事「殺してやりたい」と言ってたぞ。