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イキリオタク、ヨリくんと俺様オタ

自分が中学生の頃だった。その頃自称人気者、絵が描けてギャグが面白くて勉強も出来てスポーツも出来るというヨリくんというイキリオタクが居た。

彼には散々な目に遭った。

自習時間の時にヨリくんが「魁!!男塾」に出てくる必殺技のマネをして机の上から飛びかかり学生帽の硬い部分で叩いてきたりジャンプの漫画のマネをよくしていた。多分ヨリくんから舐められていたんやろ。ヨリくんはそうやって自分より弱そうな相手をイジったり暴力を振るったりしてウケを狙うという、自分からすれば程度の低い笑いをウリにしていて、それで自分は人気者と錯覚していた。

そのヨリくんの集団の中に居たシミズくんはヨリくんの事を

「絵も上手いしギャグも冴えてるし勉強も出来るし、完璧な奴やん!」と褒めちぎっていた。それでますます気を良くしていたんだろう。

ある日、自分も含めて5人でTRPGをやろうという話になった。

ゲームは「ウィザードリィRPG」、昔の箱ウィズと呼ばれるバージョンのウィザードリィだ。

その時自分は「ロバート」という名前の人間の男の戦士を作った。

そしてヨリくんは「ロム・レイダー」というエルフの女のサムライを作った。

まあこのキャラが凄く嫌だったんだ。絵面はブリブリの美少女で、でも中身はちょっとSで凶悪。戦っても強いしみんなの人気者の超絶美少女!というキャラで一緒にプレイしていて凄く恥ずかしかった。恥ずかしいというよりキモかった。多分今にして思えばあのキャラが自己愛を投射したものなんやと。アレは性別を反転させたヨリくんの自己評価が形になっていたんやと思う。

で、それからずっと後、「スレイヤーズ」ってアニメを見てそのアニメの主人公のリナ・インバースがあまりにもロム・レイダーそっくりで吹き出しそうになった。「なんやコレ~?キモいな~」と思ったら原作は大人気ラノベ(この頃はまだラノベなんて言葉は無かったけど)で最強魔法使いでブリブリの美少女が時に凶悪になったりして大活躍というアニメだった。

こういうコンテンツは嫌だなぁと思う。イキリオタクの自己愛とか陰キャの吹き上がりというか、夢枕獏が書く伝奇バイオレンスとかああいうの嫌だった。

中学生当時自分は家が飲食業だったんで漫画を沢山買ってて、それでヤングジャンプとモーニングを愛読する中学生だった。だからヨリくんにも言われたんやが「お前の描く漫画はなんか大人びてるな」と。同性代よりも大人びた漫画が好きやった。一番好きだったのは「代打屋トーゴー」という漫画で毎回トリックを駆使して難事件を解決する読み切りというスタイルが大好きだった。

それで自分は中学生~高校生のオタクが通過するようなラノベという物には一切感化されずに過ごした。火浦功を少し読んだくらいでそれもギャグとして受け止めていた。

だからビジュアルノベルという物も通過しなかった。唯一遊んだのはLeafの「痕」でPC98ノートとエミュレーターを使い駿河屋で980円でソフトを買ってWindows機でプレイしたが冒頭の寒々しい夫婦漫才が嫌になりそれから2年放置していた。ああいう俺様オタクの寒々しい夫婦漫才は凄く苦手だ。そもそも男女のコメディチックな掛け合いというのが嫌いなんかもしれん。シティハンターとか凄く嫌いだった。EDの曲のゲワイも同じくらい寒々しくて嫌だった。

イキリオタクとか俺様オタとか、その自己愛の投射が無敵のイケイケ美少女やったり女に囲まれて半分迷惑そうでも案外そうではない奴とか、まあでもこういうのも古いんかもな。今は何も出来ないやつが異世界に転生するような物が人気やし。しかし女子高生が銃を振り回すものもあるから油断はできんな。

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