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わたしの運命の人

義母は、家のなかで私が行こう行こうとするところに居る。

なるべく顔を合わせないようにしているのに。


かつての義母は、私を見るたびに小言を言った。

いまは、小言を言わない代わりに、独り言を言う。

それまでは、テレビを見ていても、私たちが畑から帰ってくると、急に独り言をいいながら、忙しくなる。

別に84歳の義母が、私たちと同じように働けるとも思わないし、全然テレビを見てくれていてもいいのに。

ま、それがあるから、元気なんだろうけど、こちらとしたら、気が休まらない。


私が忙しくなると、義母もそばに寄ってきて忙しくなるから、仕事が休みのときには、わたしはなるべく動かない。

やりたいことはなるべく義母が居ないときにする。

かといって、部屋でくつろいでパソコンをしていると、窓のむこうで、聞こえよがしに独り言をいいながら草むしりを始める。


わたしは、随分前から、ちょっとでもストレスを減らすべき、家のなかで、義母と距離をとっている。

「家のなか」で距離をとるのは、それなりに難しいけど、昔ながらの平屋の家。

あと、私たちのハナレが、屋根伝いにあるから、ハナレに籠っているあいだは、基本、だいじょうぶ。

だけど、母屋へ出向くと、ちょっと難しい。
今なら大丈夫と思って、母屋へ用事に向かうと、においを嗅ぎつけるのか、寄ってくる。


きのうの夕方、そろそろ、薪の焚き加減がいい頃かしら・・・と、お風呂の加減を見に行こうと思い立った。

お風呂へ行くのは、どちらも靴に履き替えるのは必須だが、屋根伝いでものの数秒で行く方法と、少し遠回りで外へ出て勝手口から行く方法がある。


さっき、確か義母さんは、台所でいたはず!


わたしは、遠回りのコースを選択した!


し・か・し!


やっぱし居た!


なんで?!


義母は、勝手口を封鎖していた。

どうやら野菜畑へ行く身支度をしていたよう。

「ちょっと、どいてくれへん?」と頼むのも面倒。


私は、今来た道を戻り、ハナレの部屋の前を通り、母屋へ入った。

台所を通るときに、ちょうど主人が居たので、ついついイライラをぶつけてしまった。


もう!なんで、私の行こう行こうとするところにいるのよっ?!(怒)


仕事後の一杯で、ちょうどほろ酔い加減の主人が、言い放ったひとことに衝撃!


そりゃあ、運命の人やからちがうか!(笑)


そんなわけない!

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