「死」を身近に感じてから、さらに義母のことは気にならなくなった。

「note」には、義母に対する気持ちや我が家の状態を、洗いざらい書いてしまった。

嫁いでくると同時に悩まされた嫁姑関係。

解決の糸口を見つける過程でわかったことだったけど、いかに姑を「他人」と認識できるかにかかってくると私は思っている。

どちらも、生まれも育ちも違う人間。

何が正しくて何が間違いなのか、違う親から産まれ、育った環境も、生きてきた時代も違うのだから、根本的に考えが違って当たり前。

義父母との関係が、「黒」か「白」かくらいの違いがあっても、違いを認めつつ、そのまま生活をしていけばよいと思っている。
「違い」さえ受けれることが出来たら、精神的にも病むことはないし、なんとかなるものだ。

主人とは夫婦だから、共に人生を歩むため、主人の価値観を受け入れつつ、「黒」でも「白」でもない、時には「グレー」の部分も作りつつ、生活していけばよい。

それが、悩みながらも、結婚生活二十数年過ごしてきての、私の学びだった。

これだけの年数を共に過ごしていると、義父母の言動が時に面白おかしく感じることもある。

まるで、別の惑星にいる生態にさえ思えるのだ。

いわば異星人のようにさえ、感じることがある。

それだけ昔とちがい、私自身が彼らの言動にいちいち感情を揺るがされることなく、冷静に居られるということだと思う。

そして、義父母を見ていて、「年をとることとは」「年寄りとは」「老人とは」について考えさせられたり、学ばせてもらうことがある。

もちろんこれから自分が通る道だということは百も承知だけど、私自身、半世紀生きてきて、年寄りに接する機会がそうなかった。

唯一の機会は、年に数回会う2人の祖母。
だけど、年に数回会うくらいで、「年寄り」の素の姿に接したことにはならなかった。

実両親とは、20代で疎遠になったし、人が年をとっていく様を肌で感じることはなかった。

私が嫁いできたとき、義父母は50代だった。

20代だった私は、親の世代より少し上の義父母が、ずいぶんと年をとっているように見えたけど、自分もその年代に差し掛かろうとしている。

そのあいだ、自分自身は随分変わったと思う。

だけど、義父母はそうそう変わっていないと思う。
年齢よりも若く、シャンシャンと元気なことも変わっていないのだから、そこは感謝しつつ・・・。

義父母との完全同居で、切磋琢磨しながら生活していくうえで、還暦を迎えるころには、人って、価値観なり考えなりが固定してきて、変わるのは難しいのかなと思ったことがある。

昔は、平均寿命ももっと短かったし、生きる年数が短かったから、「還暦」というと「年寄り」の部類に入っていたのだろうし、「還暦」くらいには、その人なりの人格は、完成されてしまうのかな・・・と。

私が変われたのも、「若かったから」といえば、そうかもしれない。

私は、結婚後、義父母との完全同居含め、帰る実家がなかったり、自営業に携わっていく環境柄、自分が変わらざるを得なくて、自分なりに成長したのを機に、多少不愛想なことは仕方がないとしても、人間として他の面でもっと変わりたい、成長したいと思うようになった。

大人になっても、人って変われるんだと、経験を踏んでのことだった。

40歳の時から、とりあえず「還暦」を目途に「なりたい自分」に近づけるよう意識しているけど、かく言う私も、「還暦」近くになると、痛い目にあって、ある程度柔軟な性格になったはずが、再び「頑固な自分」が頭をだすかもしれないが、なるべく生きているあいだは、変わりたいという意識を長く持ちつつ、成長していきたいと思う。

そういう欲望がでてきたのも、特別なことがなければ、自分より先に「死」に向かって生きているだろう、義父母と共に生活しているからだと思う。

もしこの環境に身を置いていなかったら、50歳の自分は別の人格だっただろうと思う。


たぶん、ここまで成長できていなかった。


そして、数年前に父方の祖母、数か月前に父を亡くして思った。


そこは、価値観が違って、こだわりがない人もいるだろうけど、人って死んだあと、「どんな人だったか」ってこと大切なんだな・・・と。

その人そのひと、どんな風に・・・どんな人で死んでいっても、その人の勝手。


義父は義父。義母は義母。実母は実母。そして、私はわたし。


その人そのひと、どんな人で死んでいっても、その人の勝手。


だからもう、義父のこと、義母のこと、実母のことにこだわらない。


私は、「口数が少ない」以外に、まだ成長できる弱点や側面があるのを、自分で分かっているつもりだ。

だから、もっと成長してから死にたい。

それでもし、誰からも評価されなくても、それはそれでいい。

自分のために成長するのだから。

それに、案外、誰かが見てくれているから。


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