働き方改革 嫁の小さな反撃
わたしは、こちらに嫁いできて、「働き方改革」を少しずつ進めてきた。
少しずつ少しずつ進めてきて、やっと最近になって、自分のペースをつかみつつある。
正直いうと、「働かされている」では精神的にもたないし、年もとったので、体力的にももたなくなったからだ。
嫁いできて、言われるがままに働いて、精神的にも体力的にも潰れてしまってから、時には、許容範囲内で、自分軸を外れることもあるが、自分軸で働くことを大事にしている。
それよりなにより、「働かされている」では、大好きな農作業も嫌いになってしまうにちがいないから、年月がたつにつれ、それを大事にしている。
そんな私が、昨日、「小さな反撃」を食らわせた。
八十代後半の義父が数年前に、家族の同意なしで植えた「花山椒」の木がある。
山椒の「花」の部分であらゆる料理で使われるらしいが、育てているところも、採れる量も少なく希少価値がある。
本数は少ないが、消毒などをはじめ木の管理をしているのは、私たち。
採るのは、主人が手配するアルバイトの人たちと一緒に義父が採るというのが、我が家のサイクル。
花山椒を採る期間は1週間ほどだが、私たちは、他の作物の消毒やら除草剤を散布しなければならないから、「花山椒を採ること」に関しては、関わっていないし、売り上げは、「金の亡者」である義父が全部持っていくことになっている。
義父は採る時期になったら、年齢も高齢なので、のこのこ気持ち程度、畑に出てきて、「おいしいところどり」を企てる天才なのだ。
子供たちが大学進学するのを機に、主人が義父に掛け合い、少しはましになったが、以前はもっとすごかった。
年に数えるほどしか畑に出てこないのに、畑の作業をせかしたり、私たちの都合は無視して、次の作業を強制したり、別の作業に取り組めと言ってみたり。
私たちは、不満を抱えながらも、たいていのことは応じてきた。
これだけ年月がたつと、私が経費の管理をしていることもあって、およその粗収入も分かっているから、だいたいお金の行く先は分かっている。
今、子供の大学費用にたくさんお金がかかるので、高齢でますます畑で働くことがなくなった今でも、収入の一部をもっていき、年金を貰っているものの、義父も自分のお小遣いを稼ごうと必死なのだ。
今回、高齢になった義父が、とうとう「花山椒は採らない」という決断を下して、私たちも胸をなでおろしていた。
ところが、どこかしらの業者から電話がきて、「こと」を進めたのだ。
他の家族に相談がないのは、いつものことだ。
主人はそれを察知して、倉庫の屋根のペンキ塗りをするだとか言って逃げたから、被害を被るのは私だ。
義母は何も言わずに花山椒を採りに行った。
私は、残りわずかなダラダラ期間をどう楽しもうか企てているところで、そこで突拍子もなく畑に行くことなんて想定していなかった。
そこで「今から花山椒を採るぞ」というから、(小さな)勇気を振り絞って「日当くらい、出ますよね。」と軽い気持ちで言った。
「なんて?!お前にやる銭は一銭もない!そんな奴に手伝っていらん!もうええわ!」
とまくし立てたので、「分かりました」とだけいい、屋根の上に居る主人(→こいつが一番わるい)に報告だけしに行った。
あとから、義父がついてきて、「わしはそんなこと、一切言うてない」と言って弁解などしていたけど、私の知ったことじゃない。
煮え切らない気持ちを持ったまま、部屋にこもるよりいいかと、主人の言われるがまま、屋根のペンキ塗りを手伝ったが、これなら、花山椒の収穫のほうが、楽だった。(トホホ・・・(;'∀'))
結局、義父は業者へ断りの電話を入れたらしい。
私とは、日常の関係へ戻りつつあるが、「嫁である私」を動かすことができなかったことで、自分の思い通りに、山椒採りが出来ずに、業者に断りの電話を入れざるを得なかったことに大きな意味があると思う。
義母はいつでも「言っても聞かないから」と事なかれ主義で、今回も黙って動いてたけれど、いつでも不満を抱えたまま仕事をしてきた。(と、今までを見てきてそう思う。)
嫁である私も、基本、言われたとおりに動いていたけど、今回は初めてと言うくらい、動かなかった。
「お前もだいぶ強くなったな」と、最後に義父は言ってた。
おかげさまで。ここにきて、随分と揉まれましたから。(と、言えばよかったかな。)
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