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RTA in Japan Summer 2021 参加レポート#2(解説)

この記事は全2回構成の第2回(最終回)となります。

関連記事や情報

【RTA in Japan Summer 2021 参加レポート】
・#1(技術ボランティア)

・#2(解説)※この記事

【RTA in Japan Summer 2021 反省会配信】
自分の配信で反省会をしました。5時間少々と長いですが、興味ある方は是非ご覧ください。

今回解説したゲーム

 野生動物運動会の解説を担当させて頂きました。Twitch、YouTubeそれぞれのアーカイブは以下の通りです。30分未満で見られてお手軽ですので、是非ご覧ください!

野生動物運動会の解説依頼を頂く

 以下4名の走者による野生動物運動会RTAの解説依頼を頂きました。
・ゆきのすけさん Twitter Twitch
・楠井さん    Twitter Twitch niconico
・ウスイさん   Twitter Twitch 
・ワカさん    Twitter Twitch niconico

 率直に言って「まさか自分に依頼が来るとは!」という感想でした。まずは情報把握ということで、野生動物運動会の4人レースRTAの要素を自分なりに解釈し、自身の経験に照らし合わせました。以下の4つです。

① 4人並走
② 短時間
③ ゲーム性質やチャートの都合による並走時の進行順番違い
④ 見た目のインパクトの強さ

 ①はその通りで、走者4人によるレース形式の並走です。各種RTAイベントなどでは画面サイズ等の都合上、この4人というのが概ね並走における最大の人数となっています。単純に人数が多ければ多いほど、どの走者にフォーカスを当てて解説するかという点が非常に難しいです。基本的には一番先頭を走っている走者をメインに解説することになりますが、なるべく全走者にスポットを当てたいので、二番手以降の走者の方の状況も確認しながら、見所のポイントに来たら適宜切り替える対応力が必要となります。

 ②もその通りで、タイマースタートからストップまでの時間が短いことです。今回の野生動物運動会は予定時間30分とありますが、実際のゲーム時間は6~7分程度で、それ以外はいわゆる前説と後説の時間確保のためでした。さすがに持ち時間が数分間、しかも4人並走でゲームの内容まで説明することは現実的に厳しいため、このような形を取らせて頂いています。

 ①と②は、RTA in Japan 2020で解説をさせて頂いた「四字熟語Flash」が該当します。

 ③は、ゲーム自体が持つ性質や、走者が採用するチャート違いにより、同じゲームの並走と言えどもゲームの進行順番が違う点です。これは、画面を見ただけでは一体誰が先を走っているかが分かりにくくなるため、各ルートの区間ごとの時間を把握した上で、各走者の進行状況を何となくでもいいので頭の中に入れておく必要があります。これは、RTA in Japan 2019で解説をさせて頂いた「スーパーメトロイド」がチャート違いにより該当します。野生動物運動会の場合、競技順がランダムということで、ゲーム自体が持つ性質によります。

 ④は定義が難しいですが、有り体に言ってしまえばイベント開始前の下馬評で既に話題になっているようなゲームです。野生動物運動会も「このゲームのRTAでしかも4人並走ってどうなるんだ…!?」的な反応がそこそこあったと記憶しています。これは、RTA in Japan 2019で解説をさせて頂いた「ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち」が該当します。

 このように野生動物運動会の4人並走RTAは、多くの要素を持ちながらも、一応は私が今まで解説を経験したゲームが持つ要素を組み合わせれば、何とか解説できそうかな、といったところでした。

解説の方向性とリハーサル

 解説を請け負う際に私が最も気にしている点です。今回の野生動物運動会は、一見して間違いなく「何かヤバそうなゲームだ」という事は分かるのですが、実際にロケハンプレイをしてみるとそれだけではなく、RTAそして並走としても戦略性の高いゲームであることが分かりました。

・計8競技の登場順番がランダムである
・競技により点(%)を取るか、時間を取るかの判断が重要である

 この二点が組み合わさることで、野生動物運動会RTA、とりわけ一発勝負においてはかなりの戦略性が出てくるのではないかと考えました。例えば、体操は開始後に即ミスをして終了するか、多少時間を使って点数を稼ぐといった選択をすることができる競技です。体操が8競技の順番で後半に来た場合、それまでの競技の点数状況に応じてどちらにするかを選ぶことが出来ます。しかし、もし順番の前半に来てしまった場合、後半にミスを重ねると合計点が不足する可能性があるため、安定を取り時間を捨てて点数を稼ぐか、リスクを取って点数を捨てて時間短縮を取るかということで、同じ選択でもその中身の意味合いが違ってきます。

 次に、先ほど考えた4つの要素の中で、個人的に難しいと思ったのが④です。私はエンターテイメント的な演出に秀でた人間ではないので、解説が主体となって盛り上げるというスタイルは正直苦手です。ここは、野生動物運動会というRTAをどのように表現するかという根本的な方向性になるため、しっかり決めておかなければいけません。

 そこで私が参考にしたのは、さんの解説手法です。核さんは、過去のRTA in Japanにて「美味しんぼ 究極のメニュー三本勝負シングルエリミネーショントーナメント」および「本将棋 内藤九段将棋秘伝シングルエリミネーショントーナメント」のMC・実況・解説を担当されておりました。

 核さんの解説スタイルはご本人曰く、源流がスポーツ実況(特にプロレス)で、必要以上に面白く取り上げるのではなく「面白いものはただそれを真面目に説明しているだけで面白い」という考え方です。前述2ゲームの通称「アンキモ」と「内藤」もその通りで、見た目の面白さだけにフォーカスされがちですが、どちらのゲームも如何にゲームの入力猶予に対して正確かつ素早く入力するかが問われるゲームです。となれば、これはまさにスポーツであり、そのゲームを解説するためにスポーツ実況のスタイルが選択されるということは不思議ではありません。

 野生動物運動会も同様で、面白く取り上げられる点は数多くありますが、これらは解説から煽るのではなく、できる限りありのままを伝えて、どこが面白く感じるのかは視聴者の手に委ねることにしました。意識してこれを表現したポイントはいくつかありますが、一番代表的なところで言うと「失敗しま」と「王を倒しまし」の箇所です。

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 これに対して、更に盛り上げるようなツッコミとか掘り下げ方は正直、全く思いつきません。それであれば、そのまま伝えてしまったほうがとても楽です。このゲーム上、そして野生動物運動会の世界ではこういう言葉なのだと割り切って、そのまま使うことにしました。

 解説用台本は、ゆきのすけさんが主に作成してくれたので、私は細かい言い回しなどを元々のニュアンスが崩れない程度に、自分が言いやすい形に変換しただけでした。また、競技紹介を楠井さんが全てやってくれるという仕切りになった点もあって、全体的な準備は非常に楽でありがたかったです。

 事前に全員が集まり、Discordの画面共有によりリハーサルを行いました。ゲーム時間自体は短いので、計2回走ってもらいましたが、2回ともどうしてもゲーム中に1競技だけ説明できずに終わってしまうという反省点が残りました。それ以外は概ね問題なかったと思います。

 時間も計測していましたが、前説、ゲーム本編、後説と、全体の時間を24分で収めることができました。予定タイム30分のうちゲーム本編の時間が約6分なので、最悪誰かがワニ王を倒せなかった時に、もう1週だけなら再走できる猶予があります。

コマーシャル

ーーーコマーシャル開始ーーー

 さて、ここは筆者によるRTA in Japan Summer 2021で披露されたオススメゲームを紹介するコーナーだ! 今回の紹介ゲームは走者じゃいあん氏による「Golf It!」!!

 筆者は早朝のこのゲームが始まる前くらいの時間にたまたま起床し、寝起きのテンションで見始めた。しかし、早朝にゴルフというまるでゴルフ生中継を見ているかのような相性の良さに加えて、見れば見るほどこのゲームの謎の魅力、そしてじゃいあん氏の早朝に最適と言わんばかりの声質とテンションの魅力に取り憑かれてしまった。

 ゲーム自体は普通のゴルフコースというよりは、パークゴルフ的なステージに、ゴルフらしからぬギミックが出てくる、色々と突っ込みどころが多そうなゲームだ。

 じゃいあん氏がゲーム開始前に語ってくれた、Golf It!のRTAの魅力は2点。一点目は打数よりも時間が重要なため、何度も打ち直しをするという点だ。RTA in Japan 2019で行われた某ゴルフゲームでも、演出回避のためにわざと無駄打ちをするというテクニックがあったことを思い出した。打数よりも時間、これはやはりゴルフゲームのRTAの宿命なのだろうか。二点目は、18ホールがまとめて同じマップに存在するため、別のホールのカップに入れてもクリア判定が出てしまう点だ。これはもう聞いた瞬間に察するしかない。

 ゲーム開始後、何よりも凄いと思ったのは「じゃいあん氏の見切りの速さ」だ。魅力の一点目で述べた通り何度も打ち直しをするのだが、打球が最終地点に止まるのを待つことなく、場合によっては打った直後の軌道だけを見て打ち直しの判断をしていた。これはかなりゲームをやり込まないと身に付かない判断力ではないだろうか。ぜひアーカイブを見て、Golf It!の魅力を楽しんでもらいたい!

ーーーコマーシャル終了ーーー

直前の根回し

 今回、最初は走者紹介のため本番用の4人画面を映しつつ、途中で楠井さんが8競技の解説のため楠井さんの1人画面、その後にゲームスタートでまた4人画面に戻すという運用を予定していました。同じようなパターンで言うと四字熟語Flashで、最初は1人画面でその後に4人画面にするという1回の切り替えをしましたが、今回は2回の切り替えが必要になります。

 このような特殊な運用は、事前に運営の方に「このようにしたいです」とお伝えすることになりますが、今回のような画面切り替えであれば、実際の対応は技術ボランティアかつその時にシフトが入っている方となります。私は前回の記事に書いた通り、技術ボランティアもやっていて画面切り替えの手順や、シフト表によって当日対応する方も分かっているので、裏で事前に相談をしていました。

 走者の方だけでは分からない情報もありますし、ゲーム外の調整事項に掛かる労力を減らすというのも走者のサポートの一種であり、解説の役割だと思うので、技術ボランティアをやっておいてとても良かったと思いました。

本番

 リハーサルの時は12分程度だったと記憶していますが、本番では画面切り替わりからゲームスタートまで17分30秒掛かってしまいました。リハーサル後に入れたい小ネタを思いついてしまったので、そのせいもあります。

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 ロケハン配信の時に見つけたこの2つのレビューです。どちらか1つだけだったら悩んだ末に紹介しなかったと思います。「おすすめ」にした場合は当然にしても、「おすすめしません」でもこれだけ野生動物運動会への愛を感じるレビューはそうそう無いのではないでしょうか。冒頭で「必要以上に面白さを煽らない」的なことを言っておいて何ですが、これは是非紹介したいと思って入れてしまいました。ただこの紹介も可能な限り私の主観は捨て、レビューで述べられた事実だけをコメントして、その解釈は視聴者の方に委ねるように意識はしていました。

 また、今回のRTA in Japan Summer 2021ではこの「前説・後説の時間に関する議論」が各所で起きました。それもあってか、RTA in Japan Winter 2021の応募要項では、予定時間を今までの「ゲーム時間に前後の解説を加えた全体の持ち時間」ではなく「純粋なゲームプレイに必要な時間、前後の解説は含まない」に変更となっています。

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 こちらについては、ポンズさんがとても参考になる記事を書いていらっしゃいますので、こちらの「今後に向けた改善点」をご確認ください。

 前説は無事終わっていよいよゲームをスタートする際、大失敗をしてしまいました。それは「カウントダウン前に走者全員の準備確認を忘れてしまった」ことです。しかし、野生界では不意打ちなど日常茶飯事、野生動物であれば捕食されぬよう、いつ如何なる時でも走り出せるように万全の体勢を取るべきだと考えます。嘘ですごめんなさい。万が一、走者の方が何らかの事情やトラブルで席を外している可能性もゼロではありませんので、直前の確認はしっかりと取りましょう。

 ゲーム中の状況は、不思議なくらい落ち着いてバランスよく各走者の切り替えができていたと思います。リハーサルでは全競技紹介できませんでしたが、本番では全競技に言及することができました。これは、終わった後に各走者のタイムラインを以下のようにまとめたのですが、解説にとっては各走者の競技が非常にありがたい順番になっていたことが分かります。

野生動物運動会タイムライン

 ほとんどの競技が走者2~3人の同じ画面で重なるようになっていたので、どの競技を解説すればよいかの切り替えがとても順調に行きました。これは本当にありがたかったです。

 前説に時間が掛かってしまった関係で、前説・ゲーム本編・後説の全ての時間が28分と結構ギリギリになってしまいました。もし再走になってしまった場合は予定タイムを超えてしまうことになってしまいましたが、結果的に走者皆さんが見事に一発打開してくれたお陰で本当に助かりました。

総括

 細かいミスはあったものの、大きな流れとしては問題なく解説できたと思います。Twitchの録画やYouTubeコメントなど拝見させてもらいましたが、ポジティブな評価ばかりで、とても嬉しかったです。このような機会を与えて下さった走者の皆さん、ゆきのすけさん、楠井さん、ウスイさん、ワカさん、本当にありがとうございました!

 また、今回のRTA in Japan Summer 2021全体において、割と落ち着いたスケジュールで楽しむことが出来ました。全5日間の日程の中で、1~2日目を技術ボランティア、3日目を野生動物運動会の解説ということで、3日目までで全てのタスクを終えて、4~5日目はゆっくりと視聴者としてRTA in Japanを集中して見る時間に充てることができました。

宣伝

 9/26(日)に開催されるEiPさんによる個人イベント「RTA in EiP おさるが見たいRTA大運動会」にて15:25頃、ウスイさんが走者、楠井さんの解説により、野生動物運動会のRTAが披露されます。今回は単走なので並走とはまた違い、野生動物運動会の魅力をより分かりやすく伝えてくれると思います。ウスイさんのアバターがドアップになるくらいの気合の入った走りと、楠井さんの真面目なテイストで野生動物界の狂気を淡々と説明する名解説を是非ご覧ください!

 また、既にイベントが始まってしまっていますが、長時間のゲームに限定したRTAイベント「Long speedrun summit 2021」が9/22(水)から9/26(日)まで行われています。イベントの主催は、Japanese Restream主催およびRTA in Japan理事でもあるNakaさんです。ゲームスケジュールは下記の通りです。

 私はボランティアおよび、以下2ゲームの解説を担当させて頂きます。

・9/22(水) 22:00~ 走者:狼狽士さん ファイナルファンタジー3(FC版)
・9/26(日) 8:35頃~ 走者:みるきぃさん ブレスオブファイアⅢ

 配信はNakaさんのチャンネルで行われています。是非ご覧ください!

 更に、9/25(水) 21:00から行われる、日本一Refunctが速い人を決める大会「Refunct Japan Championships」の決勝トーナメントにて、実況を担当させて頂きます。

 こちらは事前に行われた予選4グループが、レース形式のRTAを専門でミラーするチャンネル「RTA Racing」にて行われており、こちらの実況も担当させて頂いておりました。今回の決勝は「RTA in Japan」のチャンネル貸し出しでの配信ということで、より多くの人にRefunctの楽しさが伝わるように実況したいと思います。

最後に

 今回のRTA in Japan Summer 2021の参加レポートは以上です。イベントの閉幕から既に1ヶ月が経過し、もう年末のRTA in Japan Winter 2021の応募が始まってしまいました。私は毎回記事を書き上げるのをつい後回しにしてしまう性格で、いざ書こうと思ったらイベント中にこんなこと書きたかったなと思ったことをだいたい忘れてしまいます。最終的に書き上げたものの、果たして書きたいことを全部書き切れたのだろうか、といつも思ってしまいます。今後は最終的に書き上げるのが遅くなるにしても、イベント中でふと気が付いたり思ったことは、なるべくメモにしておいたほうがいいなと反省しました。

 私はRTA in JapanをはじめとしたRTAイベントにて、解説・MC的な立ち位置の役割の請負をしております。もし、RTAイベントに出る際に一人で出るのは不安だというようなご心配があれば、概ね何とかしますので是非ご相談ください!

 それではまた、次のRTAイベントでお会いしましょう!


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