003-ブルガリアの首都 ソフィア
空港から駅を探し歩いたが、人けもまばら。
もう、30年以上前のこと。印象に残っていることは、街のそこかしこが壊れて小さな瓦礫が散らばっていたこと。ただゴミらしいゴミはあまり落ちておらず、目についたのはひまわりの種の殻。
昼間なのに薄暗い街は一国の首都とは思えなかった。
それもそのはず、前年1990年11月に、共産党の一党独裁政権から自由選挙が行われ、ブルガリア人民共和国からブルガリア共和国になったばかり。ソ連の衛星国と呼ばれていただけのこともあり、退廃的な景色が目の前に広がっていた。
駅を見つけ、目的地であるラズグラドまでの行き方を尋ねる。もちろんたいして話せるわけでもない英語で。
どうやらヴェリコ・タルノヴォという街まで行って、そこで乗り換えればいいらしいことまではわかった。出発まであまり時間もなく駅の構内でパンやら飲みものを買って構内にいる人に聞きながら、列車のホームに向かう。英語それなりに通用するじゃんと思い、調子に乗ってきたのもこの頃。