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大竹伸朗展_230128

東京国立近代美術館を訪れるときは、なぜだかいつもおなかが空いている。今回も例にもれずペコペコな私に、大竹伸朗展は容赦なかった。

まさに作品と情報の大濁流。経年での色々なスタイルの作品から、湧き出る創作意欲を閉じ込めたようなおびただしい量のスクラップブック。正直、こりゃ異常だな!と疑い呆れてしまう膨大な数なのです。
大竹伸朗に縁もゆかりもなかったので彼自身を知るところから始めたいのだけど、もしかしたらそんなことはどうでもよかったのかもしれない。今この瞬間に目に入るもので、あなたの身体はどう感じる?とどこかでほくそ笑む彼に見られているような気分になって、それは何とも居心地が悪くて、そのおちょくられるような純粋な童心が楽しくもある。

あるイメージがコピーされたり上から描画される、何か貼り付けられるというような、時間に積み重ねられて物質的・視覚的に層ができることに彼は愛着を持っていたらしい。ロンドンの街中でポスターが上重ね続けられる様子を見て「時間の経過が蓄積されるとともに、覆われた下層が消えていきながらも気配を残す。その下層の気配こそが重要だ」といったそう。
デジタル上には持ちにくいその感覚は、自分がなぜかフィジカルを愛す理由のひとつかもとなんだか共感するところがあった。

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