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アイスランド編~”アイスランドから見る風景”より

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アイスランドでの日常についてのコラムをまとめました。
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#旅と写真と文章と

アイスランドから見る風景:vol.21-2 レイキャネス半島での噴火 2022年8月編

さて、今回も引き続きレイキャネス半島での火山の噴火について書いていこう。後編のこのコラムでは、2022年8月3日に始まり同月21日に終わった短い噴火にも言及する。昨年の噴火とほぼ同じ場所で起こったことから、同エリア内での地殻変動から生じた火山活動であることは間違いない。昨年の噴火の写真を見て気が付いたのだが、わたしはきっかり1年の日数をあけて両火山の噴火を撮影していたようだった。その感想も交えてお話していこうと思う。 まず、前年2021年の噴火は、その年の12月18日に終息

アイスランドから見る風景:vol.16 2022年2月24日 欧州新秩序・冷戦2.0

今回のコラムでは、2022年2月24日ロシアのウクライナ侵攻がもたらした欧州でのパラダイムシフトについて、アイスランドから考察してみたい。本来であれば、もっと早い時期にこの題材でコラムを書き上げたかったのだが、わたし自身が今日まで欧州で戦争勃発の事実を消化しきれていなかった。ロシアのウクライナへの進軍とその衝撃、数分ごとにアップデートされる戦争の状況一刻一刻に、頭と心が完全に麻痺してしまった。 疫病と戦争が双子であることは、人類の歴史を紐解けば明白な事実ではあるものの、それ

アイスランドから見る風景:vol.14 男女平等の縦と横

先日、大変興味深い記事を読んだ。アイスランドでは、女性起業家が興した会社よりも男性起業家の会社のほうが、投資先に選ばれる割合が断然高いらしい。アイスランドの技術開発ファンドが投資先に選んだイノベーション会社26のうち、女性起業家の会社は1社のみ、男女混合は3社、男性起業家の会社は22社だった。これは出願者の30%が女性だったことを考えると、あまりに少ない割合ではないか、という疑問が提起された。 この状況について、女性起業家の一人が次のように考えを述べた。イノベーション分野に

アイスランドから見る風景:vol.10 消費を手放す

先日、アイスランド人記者が書いた面白い記事を読んだ。内容はアイスランド人の消費について、タイトルは『買って、放つ (Að kaupa og sleppa)』というものだった。アイスランドの国民的スポーツである鮭釣りでは、釣った鮭を再び川に戻す、という習慣がある。それにちなんで、例え何かを買ったとしても、その行為に満足したら、買ったものを手放してみるのはどうか、という提案だった。手放すということは、買った店に返品するのではない。買ったものをタンスの肥やしにしたり、物置に入れたま