3歳ダート路線は結局どうなったの?レパードS後までの変化を考える。

たまには適性分布だけじゃなく、ダート路線の変化について触れてみようかなと思います。

今年はダート路線の変革元年ということで、ユニコーンSの施行時期、条件の変更、羽田盃、東京ダービーの中央馬への解放など大きく3歳のダート路線が変わりました。

今年の登録状況や転戦状況を踏まえた上で、ポイントはどういうところにあるのか、トレンドがどう変わっていきそうかを考えていきます。


ダート路線は収得賞金が命。

本題に入る前に前提条件というか、事前知識を整理しておきましょう。

ダート路線を理解していく上で、収得賞金に関する知識は非常に大切になってくるので、その点に触れていきます。

収得賞金とは「競走条件(クラス)を区分するための賞金のこと。中央競馬のレースの場合、レースで第1着(重賞競走は2着まで)となったときに、出走したレースの競走条件に応じて下表の金額が算入される。」とされています。

表だけ並べられても訳が分からないという方もいるかもしれないので、実際の具体例を出したいと思います。

今年の羽田盃勝ち馬のアマンテビアンコの収得賞金の推移を表にしてみました。

特に交流重賞は中央馬に割り振られている枠が少ない分、収得賞金を多く持っている馬はローテーションを組み立てるうえで極めて有利になります。
有力騎手を確保する観点からも、出走が確定しているか、抽選で出られるか分からないかでどちらに乗ってもらいやすいかは自明の理でしょう。

そのため、賞金を多く積むことができる条件でかつ近い日程に類似の条件が設定されていないレースはおしなべて高レベル戦になりやすい傾向にあります。去年のカトレアS出走馬はその後の成績が良いことが注目されていたところもありますが、その辺りもこういった背景をご理解いただけるとより納得いただけるんじゃないでしょうか。

901万の壁

世間では収入の壁などが話題になりましたが、ダート路線においては昔から901万の壁というのが存在します。

芝のレースと比較して、ダートのレースは圧倒的にオープンクラス、重賞での収得賞金の加算機会が少ないです。
そのため、新馬、未勝利戦を勝ち上がり、1勝クラスを勝ち上がった馬が出走できる選択肢が非常に限られてきます。つまり収得賞金900万の馬が多く生まれてくるわけですが、こういった馬はみんな交流重賞に挑戦しようとレースに登録してきます。

ただ限られた枠に対して応募数のほうが多くなることがほとんどなので、900万の収得賞金を持った馬たちで横並びで抽選になるわけですね。
関東オークスなんかが良い例ですが、ダートのオープンで牝馬限定戦はありませんし、牡馬相手に勝って賞金加算するのは至難の業なので、900万の馬たちで運に恵まれた馬が出走するということになりがちです。

901万以上の収得賞金を持っていれば春のうちはある程度どこでも選ばれやすいですし、圧倒的に優位な状況に持ち込むことができます。

今年の3歳馬で例を挙げるとすれば、サンライズジパングがもし若駒Sに勝てていなければ収得賞金が890万と絶妙に除外を食らいやすい状況になっていたので、こういった状況に陥るとレースに出るだけでも結構大変です。


1600m路線の受難

今年からユニコーンSの施行時期が変更になり、条件も東京1600mから京都1900mに変更となりました。
今までであれば、カトレアS→ヒヤシンスS→青竜S→ユニコーンS→武蔵野S→フェブラリーSと東京1600mをステップアップしていける番組構成になっていたのですが、収得賞金が多く加算出来るユニコーンSがなくなったことで、1600mを一貫して使いたい馬が賞金的に武蔵野Sに出られないということが発生するかもしれない状況になってきました。
サウジ開催やドバイ開催に押され気味のフェブラリーSですが、レベルの高いマイラーがそもそも出世が遅れそうな環境になってしまっているため、レースレベルの維持が出来るかが少し心配ですね。


超シビアな春の3歳G1の出走条件

羽田盃と東京ダービーが中央馬に解放されましたが、現状出走するためのハードルはかなり高いです。戦線離脱する馬がどれくらいいるかによって変わってくると思いますが、かいつまんで説明するとだいたい下記の条件に当てはまる馬が出走できると思ってもらうのが良いと思います。
※詳細はこちらを参照ください。

・羽田盃(JRA所属馬出走枠:4頭)
雲取賞1着馬
雲取賞2着馬
京浜盃1着馬
京浜盃2着馬

雲取賞と京浜盃はどちらかだけ出走可能。

・東京ダービー(JRA所属馬出走枠:4頭)
羽田盃1着馬
羽田盃2着馬
羽田盃3着馬
ユニコーンS1着馬

優先出走権がある馬が回避すれば、賞金順で出られる馬もいると思いますが、基本的には前哨戦に出ないことにはG1にたどり着けない条件設定になっているので、そこに選ばれるためにはどのレースを使っていくのが良いのかという思考で考えていかないといけないと思います。

結局3歳のレースで一番価値がありそうなのはどのレース?

今回の改革で今後レースレベルが最も高くなるのは、ジャパンダートクラシックになると思います。

春のG1の2戦はJRA所属馬の出走枠が4頭かつ優先出走権持ちでないとほぼ難しいという条件設定になっていますが、ジャパンダートクラシックはJRA所属馬の出走枠が7頭あります。(レパードS勝ち馬と不来方賞勝ち馬に優先出走権あり)

秋の時点での収得賞金順で5頭選ばれる形になるので、海外からの転戦馬や条件戦からの連勝馬にもチャンスが出てきます。色んな条件で真っ当に強い競馬をしてきた馬たちがフェアなルールで選ばれることになりますし、賞金的にも3歳限定戦で賞金を積めるのはめちゃくちゃ将来的に恩恵があるので、色気がある馬はほぼみんな出てくると思います。
東京ダービーと比較するのは申し訳ないですが、明らかに勝つことに価値が出てくるのはジャパンダートクラシックになるでしょう。

今後、今年の反省を踏まえてルール変更があるかもしれませんが、現状としてはレースレベルが高くなることが見込まれて、そのレースを自体勝つ価値が高くなりそうなのは、

①カトレアS
②ユニコーンS
③ジャパンダートクラシック

の3つになると思います。

今後の流れとしては芝でいうところの菊花賞からジャパンカップ、有馬記念と似たような感じで、

・ジャパンダートクラシックで3歳の暫定王者を決める
・チャンピオンズカップ、東京大賞典で古馬と3歳の一線級が初顔合わせ

となっていくんじゃないでしょうか。


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