IB生が受ける物理の授業
IBの科目選択の手助けという目的で授業の様子・内容を書くものです。
今回はバンド4、理科の科目の選択肢の一つである物理についてです。
バンド4は大学の学部によって生物選択か物理選択かなど行きたい大学、学部など自分がやりたいことなどが強く現れるバンドだと思います。しっかり考えて選ぶのは特に大事だと思います。(全バンドで大切ではあるけどね。)
スケジュール
我々の学校は1授業50分で一日7限分の授業があります。
そのうちStandard Levelの物理は週4時間、授業を受けます。
2年目からHigher Levelの物理では週8時間、Standard Levelは週3時間と分かれます。(私の学校だと)
物理の授業の様子
私達の学校での物理の授業は
ホワイトボードを使った説明
動画を使った説明
ワークシートを使った演習
の大きく3つのタイプの学びの時間があります。
テストの前はワークシートの演習に使われる時間が増える傾向にあります。
当たり前ではありますが、基本的にはホワイトボードや動画を使った物理の内容の習得に時間を使っています。YouTubeで"IB Physics" などと入力するとおそらくIBで学ぶ物理の内容を英語で解説している動画が出てきます。
ぜひ参考程度に見てみてください!
内容
IBの物理で学ぶ内容、シラバスは大まかに以下のようになっています。
測定と誤差
力学
熱力学
波
電磁気学
円運動・重力
原子・素粒子物理学
エネルギー
これらは物理を取っているすべてのIB生が学ぶシラバスです。
Optionがあり、学校ごとや人ごとに学ぶ内容が多少異なりますが、以上の8単元はSL/HLも構わずみんながやる範囲です。Optionは量子力学だったり、天文物理学などがあったりします。
測定と誤差って何?
このなかで一番特徴的なのは、おそらく「測定と誤差」だと思います。
この単元はその名の通り物理の実験などにおける測定方法や、それに応じた器具の誤差の決め方、誤差がある数同士の計算などを学習します。
例えば、誤差には2種類あります。
ランダムエラーと系統的誤差の2つです。
ランダムエラーはその名の通りランダムに、例えばボールから手を離す際のちょっとした差による誤差だったりによって起こる、真の値から上下どちらにもずれる誤差です。
一方系統的誤差はすべてのデータが1つの方向に同じくらい間違って観測されてしまうことです。例えば、りんごの重さを測っているのに、何も載せていないはかりの値が5gを指していたら、すべてりんごの重さは5g分多く観測されてしまいますよね。これは系統的誤差の例です。
このようにIBの物理では1つ目の単元でまず、このような実験的な部分について学習します。他のプログラムとは違っている点かなと思いピックアップして詳しく説明しました。
学習範囲
さらに!IBの物理はファインマン・ダイアグラムがシリバスに含まれているのです!
ファインマン・ダイアグラムとは素粒子物理学などにおける粒子同士の反応や相互作用を記述するためのツールです。共通テストでは範囲に含まれていない内容で、このような学習内容の差があるのはとても興味深いですね。さらに、IBの物理では黒体放射の公式だけデータブックレットに与えられています。導出などはあまりせず、公式を”使うこと”が求められます。このようなところの違いもあって興味深いですね。
*データブックレットとは公式が書いてある冊子でテストにも持ち込めるもの
テスト
IBの物理のテストは3つのPaper(種類)から成っています。(2024年度)
Paper 1ではMCQ、選択式のマークシートの問題が出されます。
Paper 2では記述式、途中式が必要だったり、説明する問題が出ます。
Paper 3では実験ベースな問題が出ます。グラフから読み取ったり、それこそ「測定と誤差」関連の問題が出たりします。
この中でデータブックレット使えるのはPaper 2とPaper 3です(2024時点)
そしてIAでは実験を行いそれのレポートを提出する課題が出されます。
以上、IB物理の概要を説明しました。
やはりIBの物理と一般との一番の違いはデータブックレットの有無だと思います。公式を覚えるのが必須ではないのがIB。公式はデータブックレットを参照すれば分かりますから。どう活用するかの方を重視しているということだと思います。
また、Paper 2とPaper 3は計算機が使えますから、それも大きな違いでしょう。
とにかく、ここまで違いを見て感じたと思います。IBの教育の特徴が垣間見えたものだとも思います。ぜひIBについて知って新たな教育の選択肢となったら幸いです。IBについて知るスタートポイントになったらいいです。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
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