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この世界が生きづらいと感じている若者へ
「もうさ、なんか生きづらいんだよね。」
そんな言葉が、最近よく耳に入る。周りの友達やネット上での若い人たちの声を聞いていると、「生きづらさ」というキーワードがちらちら浮かんできているなと思う。
もしかしたら、この記事を読んでいるあなた自身も、なんとなくモヤモヤして、社会の中で息苦しさを感じているかもしれないね。
世の中、ニュースを見れば日本社会は高齢化が進む一方で、若者は将来に対する不安、経済的な不安定さ、キャリアの展望の見えなさに直面しているように思える。
仕事をしても給料が上がる見込みがないとか、SNSを見ればキラキラしてる同世代がいて、自分と比べて気が滅入るとか、大学に行ったけど就職氷河期並みに厳しい就職市場とか、もう課題を挙げたらキリがないよね。
実際、MRI(株式会社 三菱総合研究所)のインサイト記事(2024年6月17日公開)でも、今の若者を取り巻く環境や社会構造の変化が取り上げられている。そこで語られるポイントは、若者たちが感じる「生きづらさ」には、いろんな社会的な背景が複雑に絡み合っていること。
つまり、「自分だけが弱いわけじゃない」ということなんだよね。構造的な問題があるからこそ、多くの若者が同じような不安や息苦しさを共有している。
三菱総合研究所のエコノミックインサイト記事は、日米の若年層における消費行動の対照的な変化を分析しています。米国では経済不安から「破滅的消費」が問題視されているのに対し、日本では将来への備えから節約傾向が強まっていると指摘。この違いの背景にある経済状況や価値観、そして日本の若年層の過度な不安感を解消するための政策提言がなされています。 記事では、統計データや各種調査結果を基に、消費性向、債務状況、将来への展望などを比較分析し、具体的な対策案を示しています。 特に、日本の若年層の潜在的な消費意欲を引き出すための、賃金制度改革や社会保障制度改革の必要性が強調されています。
じゃあ、その「生きづらさ」って一体何なのか。どうしてそう感じるようになっちゃったのか。何か具体的な対策やヒントはないのか。そんな問いを、ここで一緒に掘り下げてみたいと思う。
この記事では「なぜ生きづらいと感じる若者が増えているのか?」という社会背景から、「その中で生き延びるための戦略」や「新しい価値観の育み方」まで、いろいろ考えてみる。
もしもこの記事を読んで、「自分だけじゃないんだ」と思えたり、「こういう手があるのかも」と小さな気づきが得られたりしたら嬉しいなと思います。
「生きづらい」って何? 若者を取り巻く今の社会状況
そもそも「生きづらい」と感じる理由は千差万別。
だけど、共通する背景には現代社会の変化があると言われている。MRIの記事でも触れられているように、例えば経済成長が鈍化する中で若者が安定した職を得にくくなっていたり、終身雇用的な働き方が崩れたりしている。
さらにテクノロジーの発展でSNSが当たり前になり、人との比較が簡単にできてしまう時代。同時に、コロナ禍以降、人と直接会う機会が減って孤独を感じる場面も増えた。
昔は「とりあえず大学に行って就職すれば安泰」みたいな空気があったかもしれない。
だけど今は
・大学を出ても正社員になれないかも
・終身雇用なんて夢物語
・副業やフリーランスで食っていくにはスキルや自己プロデュース力が必要など、競争は激化。選択肢は増えたけれど、その分不安定さや情報量の多さがストレスになっている側面がある。
しかも、日本社会は依然として年功序列的な要素や固定観念が根強く残っている。
若者は新しい生き方を求めているけれど、組織や仕組みはなかなか変わらない。そうしたギャップが、「生きづらさ」を生み出す原因にもなっているんだろうね。
生きづらいと感じる要因
周りと比べてしまう時代:SNSがもたらすストレス
今の若者が直面する大きな特徴のひとつが、SNSを通じた他者との比較だよね。
InstagramやTikTok、YouTubeなど、スマホを開けば他人の「リア充」っぷりや「成功例」がビジュアルでガンガン流れてくる。
「あの子はもう起業して成功してるのに、俺はまだアルバイト生活」「同級生はみんな結婚して子どもがいる、私はこのままでいいの?」といった具合に、自分自身を他人の華やかな人生と比較してしまう。
当然、SNSに上がってくるのは多くの場合「見せたい自分」。
だから必ずしもその人の本当の姿でもなければ、全てが順風満帆ってことでもないはず。でも、そうは分かっていても、見続けるうちに不安感や劣等感が募っていく。それが生きづらさを増幅させる要因の一つなんだ。
テクノロジーは生活を便利にしたけれど、便利さと同時にメンタルヘルスへの影響は大きい。
SNSを上手に使いこなせば有益な情報源にもなるけど、心が弱っている時に見ると、「自分だけがダメなんじゃないか」って気持ちになる。これは世界中の若者が共有している悩みと言っても過言じゃないかもしれない。
実際に、オーストラリアでは16歳以下の子どもたちについてはSNSが禁止される法案がオーストラリア議会で可決された。
このような事例が世界各国で起きていくる可能性も十分にあり得る。
就職・キャリア不安:安定が見えない時代のモヤモヤ
「将来、どうなるんだろう?」
こういう不安を抱えている若者は多い。特に日本では、かつてのように大企業に入りさえすれば一生安泰…というわけにはいかない。
グローバル化やテクノロジーの進化で、仕事そのものが変わっていくスピードは早い。10年前にはなかった職業が今やメジャーになり、逆に昔からあった職業がAIに置き換わる未来も見えている。
MRIの記事からも察するに、今の若者はそうした「職業や働き方の流動化」の中で生きていかなきゃいけない。
その一方で、「まだ自分にはスキルも経験もない」「何を軸にキャリアを築けばいいかわからない」と不安になるのも当然だ。
さらに、日本は長らく「新卒一括採用」文化が続いていて、それに乗り遅れると「既卒」というレッテルを貼られがちだったりする。
最近では徐々に中途採用や自由な働き方が受け入れられつつあるけれど、制度や文化が完全に変わったわけじゃない。そうしたギャップが若者を苦しめている面はある。
家族やコミュニティの変化:孤独感と居場所のなさ
かつては家族や地域コミュニティがセーフティネットだった。何かあれば親や近所の人が助けてくれたり、世代を超えたつながりがあったり。
でも、都市化や核家族化で、そうしたつながりは薄れつつある。とくに都会では隣に住む人の顔も知らないことが当たり前になり、助けを求める先がわからない若者が多い。
さらに、学生時代はクラスやサークルなど自然な形でコミュニティがあったけれど、社会人になると仕事関係以外の新しい人間関係を築くのが難しくなる。その結果、「誰にも悩みを話せない」「自分の弱さをさらけ出せる場所がない」という孤独感を抱えることになる。
SNSで人とつながっているようで、実際に直接顔を合わせるつながりが足りない。そうしたギャップもまた「生きづらさ」の背景にはある。
心理的負担とメンタルヘルス:サポート環境の不足
日本では、メンタルヘルスに対する理解やサポート体制がまだまだ十分とは言えない。「うつになったら休めばいい」「カウンセリングに通えばいい」と簡単に言うけれど、実際には精神科やカウンセラーにかかることへのハードルがあったり、職場での病欠をどう周囲に説明するか悩んだり。心のケアを求めることは、まだまだオープンな話題になりづらい。
しかも、「頑張らなきゃ」「もっとちゃんとしなきゃ」という同調圧力が強い社会では、自分がメンタル不調であることに罪悪感を持つ人も少なくない。こうした状況では、メンタル面の問題が深刻化しても、「どうしようもない」と感じてしまう。
「生きづらさ」は個人の問題じゃない:社会的構造を考える
ここまでいろいろ挙げてきたけど、結局、「生きづらさ」は社会的な構造問題でもある。
MRIの記事が示唆しているのは、若者が直面する課題は、経済、雇用、社会保障、コミュニティ、教育といった多方面にわたるという点だ。つまり、これらは個人がただ「頑張る」だけで解決できるものではない。
「自分が弱いから生きづらいんだ」と責めなくていい。今の世の中には、不安定さや不確実性を引き受けるための仕組みがまだ整っていない。若者が感じる生きづらさは、社会的な転換点にいるからこそ起きている現象なんだ。
生きづらさに対処するためのヒント:小さな一歩から
とはいえ、「じゃあ社会が変わるまで待つしかないの?」となると、そんな悠長なこと言ってられないよね。目の前の苦しさに対して、何かできることはないか、少し考えてみよう。
(1) 情報とのつきあい方を見直す
SNSは必要以上に他人と自分を比較させるツールになりがち。あえてSNS断食の日を作ってみたり、フォローするアカウントを厳選したり、通知をオフにして自分の時間を確保したり。情報をコントロールして自分に優しい環境を整えるのも手だよ。
(2) 相談先を広げる
家族や親友に話せなくても、オンラインで気軽に相談できる場や、NPOが運営する相談窓口などがある。メンタルヘルスのプロにアクセスしやすいサービスも増えている。一人で抱え込まなくていい場所が、案外探せば見つかるかもしれない。
(3) スモールステップで行動してみる
将来のことを考えると途方に暮れてしまうなら、今週や今月できる小さな目標を立ててみる。たとえば、「新しいスキルに挑戦してみる」「本を一冊読んでみる」「一日5分だけストレッチする」みたいな、ちょっとした成長が自信につながることもある。
(4) 仲間やコミュニティを見つける
共通の趣味や関心を軸にしたオンラインコミュニティや、リアルなイベント・勉強会などに参加して、新しい人と出会う機会を増やす。自分ひとりだけじゃないと感じるだけでも、心は軽くなる。
新しい価値観を作る:多様性と自分らしさを大切に
日本の伝統的な価値観は、どうしても「こうでなければならない」という理想像が強い。だけど多様な生き方が認められる社会になれば、「自分は自分でいいんだ」と思えるようになる。
これには教育や企業文化、メディアの発信が重要な役割を果たす。若者が自分らしく生きられる環境が増えれば、生きづらさは少しずつ和らいでいくはずだ。既存の価値観に疑問を持ち、新しいモデルを提案する若者自身の声も重要になってくる。
社会が求める変化:政策や制度設計への期待
生きづらさを感じる若者が増える背景には、先述のように雇用の不安定化や社会保障の限界がある。ここに対しては、政策側からのアプローチも必要だ。たとえば、若年層向けの住宅支援、収入が不安定な若者に対する社会保障の拡充、再教育機会の提供など、政治や行政が動くことで、多少なりとも改善していく可能性はある。
また、働き方改革や副業容認といった取り組みは、まだまだ道半ばだけれど、若者が柔軟な働き方を選べるようになれば、生きづらさは減っていくかもしれない。社会全体が「若者の声」を反映させていく動きが大事だよね。
自分なりの「幸せの定義」を見つける
生きづらさを感じる背景には、「こうでなければ幸せになれない」という固定観念があるのかもしれない。でも、本当にそれが正解? 幸せって人それぞれじゃない? 大企業で出世することだけが幸せじゃないし、家を買うことだけが幸せでもない。
自分なりの幸福感ややりがいを見つけることが大切だ。これには自分を知ることが欠かせない。「自分は何が好き? 何をしている時が一番楽しい?」と問いかけてみよう。そこから、自分だけの「生きやすさ」を形にしていく道が見つかるかもしれない。
不確実な時代を生き抜くスキル:レジリエンスと学習意欲
現代は不確実性が高い時代。AIが仕事を奪うかもしれないし、気候変動によって生活スタイルが大きく変わるかもしれない。そんな中で必要なのは、環境の変化に柔軟に対応し続ける力、そして継続的に学び成長する力だ。
レジリエンス(逆境から立ち直る力)は、誰でも後天的に身につけることができる。失敗してももう一度挑戦する、うまくいかなくても方向転換できる。そういうしなやかさがあれば、「生きづらさ」に押し潰されそうになっても、また浮上してこられる。
国際的な視点を持つ:海外の若者はどうしてる?
日本は日本独自の課題があるけれど、海外の若者だって生きづらさを感じている。グローバル化した時代、海外の人々がどうやって問題に取り組んでいるかを知ることは大切だ。
ヨーロッパでは若者支援のための社会政策が比較的進んでいる国もあるし、北欧はワークライフバランス重視の社会設計で有名。そうした海外の実例から学んで、自分たちの社会を変えるヒントを見つけることもできる。
自分を追い込みすぎない:完璧主義からの解放
「もっと頑張らなきゃ」「完璧にやらなきゃ」と思い込みすぎると、どんどん苦しくなる。実際、完璧主義はメンタルヘルスを悪化させる一因と指摘されることもある。
ほどほどでいい、自分が納得できるラインを引く、失敗しても大丈夫と考えられるようになると、生きづらさは少し和らぐはず。
「生きづらさ」を共有する:語り合うことの意味
生きづらいと感じるとき、人は往々にして「自分だけがこんな思いをしている」と思い込む。でも実際は、多くの人が同じような苦しみを抱えている。だから、オンラインでもオフラインでも、自分の感じている生きづらさを話してみると、共感してくれる人が意外といるものだ。
語り合うことで、「あ、自分だけじゃないんだ」と気付くことは本当に大きい。共感し合うことで、心が軽くなったり、具体的なアドバイスをもらえたりするかもしれない。
コミュニティスペースや、若者支援団体が主催する交流会、オンラインサロンなど、手を伸ばせば意外とそうした場はある。
小さな成功体験を積み重ねる
日常生活の中で、ちょっとした成功体験を重ねることは自信になる。朝起きて布団をたたむとか、洗濯物をちゃんとたたむとか、そんな小さなことでいい。小さな「できた」が積み重なれば、「自分もまだやれる」「自分は無力じゃない」と思えるようになる。
キャリアや人生設計も同じで、一足飛びに理想形は掴めないけど、少しずつ前進すれば、いつか振り返った時に「結構進んだな」と思えるものだ。
ポジティブなロールモデルを探す
生きづらい時は、自分より少し先を行く先輩や、似たような背景から成功した人、あるいは失敗しながらも自分らしく生きている人の経験談が参考になる。SNSは確かに比較の場にもなるけど、同時に自分らしい人生を送る人のストーリーに触れることもできる。そういうロールモデルを意識的に探し出すのは有効かもしれない。
「生きづらさ」への対策は一朝一夕にはいかない
残念ながら、今日明日で劇的に生きやすくなる魔法はない。でも、だからこそ、日々できることをコツコツ積み重ねるしかないんだろう。社会は少しずつ変わっていくし、その変化を促すのもまた若者の声や行動だったりする。
今、「生きづらい」と感じる人が増えているからこそ、それは社会全体へのシグナル。放っておくと問題は深刻化するばかりだから、メディアやシンクタンク、政策決定者たちはこの状況を重く受け止めるべきだし、実際MRIのような機関が発信を始めているのも、その一端だ。
総括:生きづらさを抱えるあなたへ
長々と書いてきたけれど、結局言いたいことはシンプルだ。
「生きづらさ」を感じるのは、あなたが弱いからじゃない。今の社会が複雑で、若者に優しくない構造もあるからだ。それでも、情報を少し整理したり、相談先を見つけたり、成功体験を積んだりすることで、生きづらさは少しずつ軽減できるはず。
そして、あなたたち若者が「こういう社会はイヤだ」「こうあってほしい」と声を上げれば、その声は確実に未来を動かしていく。
ここがかなり重要で声を上げなければいけない。
その点では最近のニュースであった斎藤知事の再選や衆議院選挙での与党過半数割れなどSNSやリアルで声を上げれば何かを変えられる兆しが見えてきている。
生きづらさが全くなくなることは、すぐには難しいかもしれない。けれど、今より少しだけ自分を楽にしてあげることもできるし、社会を変える可能性もゼロじゃない。
この長い記事が、何か一つでも心に残ることがあれば嬉しい。あなたは一人じゃないし、あなたの生きづらさは社会全体が抱える課題なのだから。