思いやりを前提に勇気を持とう
私は控えめな人間でした。
いつも周りの目を気にして、言いたいことがあっても言えません。
思っていることを言ったら相手を傷つけてしまう。
だから嫌なことがあっても自分の中に溜め込む。
そうすれば円く収まるんだから。
そんなふうに考える人間でした。
しかし有名なビジネス書、スティーブン・R・コヴィー博士の「7つの習慣 人格主義の回復」を読んで私は考えを改めます。第4の習慣「Win-Winを考える」に出てくる一文を見て、私の中にパラダイムシフト(※1)が起こったのです。それは次のようなものでした。
成熟とは、勇気と思いやりのバランスがとれていることである。
--「7つの習慣 人格主義の回復」 / スティーブン・R・コヴィー より --
人と人とが力を合わせ、シナジー(※2)を創り出すためには、レベルの高いWin-Winを考える必要があります。Win-Winとは平たく言えば、「皆が幸せになること」です。それを考えるためには、誠実、成熟、豊かさマインドの特徴を備えた人格が必要であるとコヴィー博士は説きます。上の引用文は、そのうちの成熟に関するものです。
つまり、人格がよく成熟しているとは、高いレベルで勇気と思いやりのバランスがとれていることだと言えます。このバランスとWin-Winパラダイムの関係は、「勇気と思いやりのマトリクス」として表せます(上図)。これは7つの習慣の原著でも紹介されているものです。目指すべきは勇気と思いやりを高いレベルで持つ①Win-Winパラダイムですが、思いやりが足りないと他人を蹴落とそうとする②Win-Loseパラダイム、勇気が足りないと自己犠牲の➂Lose-Winパラダイム、どちらも足りないと死なば諸共の④Lose-Loseパラダイムに落ち着いてしまいます。
私には決定的に勇気が足りませんでした。自己犠牲の➂Lose-Winパラダイムに落ち着いていたのです。結果として溜め込んだ我慢が爆発し、今まで長期的な良い人間関係が築けなかったのです。
パラダイムシフトが起こって以来、私は嫌なことがあったら素直に言うことを心がけています。但し、そのときに相手に対する礼節と思いやりを忘れてはいけないとも思っています。相手だけに蟠りが残る②Win-Loseの関係に転落したら元も子もありません。
人間の美しさ、素晴らしさはお互いの違いを尊重し、認めたうえで創り出されるシナジーの力にあると思っています。Win-Winの関係に基づいてシナジーを創り出すためにも、勇気と思いやりの両方を等しく大事にしていきたいなと思った話でした。
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。
脚注
(※1)物事や人に対する見方(パラダイム)の変化。
(※2)相乗効果。7つの習慣の原著では、創造的協力の原則に基づく第6の習慣で取り上げられている。