失恋に必要なものに気付いた話
今日、友達からグループLINEでこんなメッセージが来た。
「みんな久しぶり〜。元気にしてる?実は彼氏と別れました!理由は〜(中略)。スッキリした気持ちも寂しい気持ちもある!早く飲んで騒ぎたいね」
この友達はその彼と約5年付き合っていた。
正確に言うと、数ヶ月ほど別れていた時期もあったが、それでも大学時代から20代前半の時間をずっと過ごしていた相手との別れはつらい。
理由は個人的なことなので触れないとして、メッセージを見る限り私は納得できる理由だった。
好きな人との別れ。
一部の人は、進行中の恋人に何か冷めたら次の相手を決め、なんならのりしろ期間があるくらい恋人が途切れない人がいる。
私はあまりそのタイプではないのでそういう人たちが誠実か不誠実かは置いておいて、好きな人との別れは往々にしてつらいはずだ。
今まで三人の殿方とそれぞれ2年ほどお付き合いしたが、そのうちの一人とは私が予期せぬ別れ方を迎えた。
俗に言う「ふられた」状態である。
あの時は毎日が地獄だったし、仕事中でもおかまいなしに涙が溢れていたし、息をすることもつらかった。
毎日生きている意味がないと思っていた。
ただ、男が理由で死ぬほど私も弱くはないので、かろうじて毎日の時間を消費することに必死だった。
あの頃の私の過ごし方というと、友達にも「いつ寝てるの?」と聞かれるほど毎晩遊び歩いていた。
仕事が終わればキャバクラに出勤し、キャバクラが終われば飲みに出ている友達と合流し、酔いがまわった深夜にふらつきながらタクシーで帰る。
夜キャバクラの仕事が入っていなくても結局繁華街に繰り出し誰かと終電がなくなっても飲む日々だった。
そんな日常だった。
あの頃の私はシラフで一人暮らしの家に帰るのが怖くてたまらなかった。
誰かと一緒に騒いでも、セックスしても、埋まらない心の隙間をアルコールで蓋をするのに必死だった。
ただ、あの時ひたすら馬鹿騒ぎをしたり、時にはお酒に溺れて病んだりする私と一緒に過ごしてくれた友達には、本当に感謝している。
新しい恋なんて、誰かを好きになるなんてもう一生できないと思った。
友達は「新しい人が現れたらほんまに忘れられるで。ただその人は結局忘れるために利用する人になってまうから、最終的にスッキリして恋愛ができる相手は更にその次の人やな」と言った。
私はこの元彼を忘れるまで、少なくともあと二人の男と出会わなければいけないのか。
その時の私はこう思ったけど、確かに失恋には新しい恋である。
それも分かっていた。
結局、当時住んでいた場所では新しい人は見つからなかったし、素敵な人が現れたところで数ヶ月後には実家に帰る予定だったので遠距離恋愛になることも決まっていたし、それはそれで良かったと言えばそれまでだ。
色々な要因が合わさって、実家に舞い戻った私は、気分転換に海外に短期留学に行った。
もともと行きたいと思っていた都市への留学だったが、元彼や仕事やお金を理由に諦めていた留学。
彼氏もいなくて仕事もない最強の状態であった私はちょっとした淡い期待も持ちつつ日本を経った。
留学先には国籍にかなり偏りがあって、ほぼ日本人しかいなかった。
その中でも私より年下の学生か、もっと年上の30代以上の人たち。
これじゃ出会いなんか無理かな、と心の中で苦笑いしつつ、新しい環境に身を置いていることにリフレッシュし、久しぶりの語学の勉強に精を出すことにした。
留学に行って最初の週末の前日。
カメラロールを見返していたら元彼の写真を見つけてしまい、思わず涙した。
同時に、異国の地が私にパワーを与えたのか『なんで海外に来てまで、私病んでるんだろう?』とも思えた。
一気に元彼の写真や動画を消して、前に進もうと思った。
運命とか、タイミングとか、恋愛に必要なものって色々とあると思うけど、少なくともこの時、私の恋愛の神様は私に味方してくれたみたいだ。
この元彼を思い出して泣いた次の日の金曜日。
私の人生をある意味変えた男と出会う。
数日前に出会った日本人から紹介された大学生の男の子。
出会ったその日にグループで行ったクラブで一緒に踊って、キスして、二人で帰って、男子禁制の私の女子寮でセックスした。
彼は年下だったけど、多方面において元彼、なんなら私より器が大きくて、度胸があって、人として尊敬できる人だった。
最初はただ顔がタイプだったからワンナイトラブをしたつもりだったけど、話せば話すほど彼の人間性に惹かれた。
その彼のこと知れば知るほど、元彼の人間としての小ささや粗が思い出され、私はあっさり一日で、たった一人と出会っただけで元彼のことを乗り越えた。
その後その年下の彼とどうなったかというと話が逸れるけど、結論から言うと付き合ってはない。
その国に滞在中もたくさん遊んで、セックスして、恋人のように過ごしたし、日本に帰ってからも何回か会っている。
ただ、日本では遠距離だったこと、彼は付き合うことをゴールにしてなかったことから、だんだん疎遠になった。
私も好きだったけど、すがってまで恋人になりたいわけではなかったし、付き合わない関係でも彼とは今後仲良くしていける自信があった。
結局友達の言うことは正しかった。
悪夢のような時期から救ってくれたのは、新しく現れた人だった。
そしてその人と結ばれたわけではないけど、私はその結果に満足するほど元彼のことを乗り越えていた。
全く無関心とか、幸せを願っているとかまでは思っていないし、なんなら今でも『世界で一番不幸になれ』とは思っているけど、好きとかそういう類いの未練ではない。
純粋にその人のおかげで誰かをまた好きになれたし、新しい恋愛に進むことができる自分を作り上げられた。
元彼と別れてその間たった4ヶ月である。
彼と出会う1週間前まで、もう誰も好きになれないと毎日絶望していたのに、出会っただけでその状況を180度変えられた。
人間こんなもんである。
どれだけ毎日泣いて過ごそうと、たった一人の存在で人生はころっと変わるものだ。
やっぱり昔から言うように、『失恋には新しい恋』である。
その恋がハッピーエンディングを迎えられれば無問題だけど、そうでなくても結局また同じことを繰り返すだけ。
別れても、また誰かと出会ったら乗り越えられると知った私たちは強い。
なんだかんだその元彼と別れて一年が経つし、経験人数だけは常にアップデートしてるけど、次の私の人生を変える人に出会うまで何日か何ヶ月かはたまた何年か、私は気長に待つしかない。
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