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【注目新刊】2023年1月上旬

よく読むレーベルのうち2023年1月10日頃までに発売されるものでは、以下の本が気になっています。


ちくま新書 ・ ちくまプリマー新書

『パワハラ上司を科学する』津野香奈美[著] ISBN978-4-480-07534-5
『消費社会を問いなおす』貞包英之[著] ISBN978-4-480-07533-8
『古代豪族大神氏 ヤマト王権と三輪山祭祀』鈴木正信[著] ISBN978-4-480-07535-2
『「心のクセ」に気づくには 社会心理学から考える』村山綾[著] ISBN978-4-480-68442-4

身近な話題であるパワハラ上司論や心理学の本も気になりますが、
それ以上に期待しているのが消費社会論の方です。

貞包英之『消費社会を問いなおす』ちくま新書

貞包英之さん(1973-)は、消費社会論を専門にされている社会学者の方です。
現代の東北の地方都市を題材とした『地方都市を考える 「消費社会」の先端から』花伝社(2015)、
『消費は誘惑する 遊郭・白米・変化朝顔 十八、十九世紀日本の消費の歴史社会学』青土社(2015)、
『サブカルチャーを消費する 20世紀日本における漫画・アニメの歴史社会学』玉川大学出版部(2021)
の著作があります。

消費社会のような抽象的な題材を扱うと、話が抽象的なままで終始したり、一般的になりすぎて具体的な眼の前の現実との接点が見えにくくなってしまう傾向があります。
現代の事例に加えて、歴史的な題材をとおして消費社会を考えてきた著者だけに、そんな傾向を乗り越えた一味ちがった本に仕上がっていてほしいという期待(というか願望)が大です。

中公選書

『日本の保守とリベラル 思考の座標軸を立て直す』宇野重規[著] ISBN978-4-12-110132-7
『大才子小津久足 伊勢商人の蔵書・国学・紀行文』菱岡憲司[著] ISBN978-4-12-110134-1

フランス現代思想の政治論を片目にトクヴィル研究を行った宇野重規さん(1967-)の新刊。

もう一方は、本居宣長の孫弟子、滝沢馬琴の親友、江戸最大の紀行文作家である小津久足についての本。小津安二郎の祖父の異母兄弟というオマケまでついた人物とのこと。(勉強不足で名前すら知りませんでした)
どちらの本も、勉強をかねて、興味をひかれるけど、手を出す余裕がなさそう泣

NHK出版新書

『徹底討論! 問われる宗教と“カルト"』島薗進ほか[著] ISBN978-4-14-088692-2
『ゼロからの『資本論』』斎藤幸平[著] ISBN978-4-14-088690-8

両者ともNHKの番組内容を書籍化、書き下ろしを加えた模様。
後者はどれくらいのレベルまでの読書を想定しているか、まずは現物を見てみたいところ。

光文社古典新訳文庫

『未成年3』ドストエフスキー[著] 亀山郁夫[訳] ISBN978-4-334-75474-7
『同調者』モラヴィア[著] 関口英子[訳] ISBN978-4-334-75473-0

あなたは分冊発売で間が空く本は、発売ごとに読む派ですか?全部そろってから読む派ですか?
私は(連載ものを除いて)そろってから読む派です。
というわけで、亀山ドストエフスキー『未成年』の完結巻ついに発売です!待ち遠しい!

モラヴィアは『無関心な人びと』を以前読んだことがあります。
精神的に疲れ切ることの描写が印象に残っています。
その他の作品は知らないのですが、今回の翻訳で再び出会ってみたいなと思いました。


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