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医療費の話(1)医療費の項目

このコラムでは、病院で払う医療費に関して、できるだけ分かりやすく解説していきます。だいたい週1回のペースで書いていこうと思います。

 医療費は、実際に一人の患者に対して行われた診療行為(医療の項目)の単価の積み上げによって計算します。日本では診療行為の一つ一つに単価が決められているので、医療費はその合計ということになります。ただし単価は2年に一度改定されます。また細かい規則が無数に設けられているため、人力で正確な金額を計算するのは、ほとんど不可能です。そのためほとんどの病院や診療所は、専用ソフトを使ってコンピュータで計算しています。

 診療行為は無数に定義されています。医学の進歩や医療財政の事情、介護保険との兼ね合いなどで、新設されたり廃止されたりするので、憶えられるものではありません。しかし大きくは次の15グループに分類されています。

1.基本診療料
2.医学管理料
3.検査
4.画像診断
5.投薬
6.注射
7.リハビリテーション
8.精神科専門療法
9.処置
10.手術
11.輸血
12.麻酔
13.放射線治療
14.病理診断
15.歯科診療
その他:処方薬、特定保険医療材料

 また、その他の「処方薬」と「特定保険医療材料」は、医療を行う上で欠かせません。処方薬は病院や調剤薬局でもらう薬のこと。特定保険医療材料には、画像診断で使うフィルムや、胃や尿道に差し込むチューブ、血管に入れるカテーテルなど、こまごまとしたものが含まれています。それらすべてにも、単価が決まっています。

 このなかで、多くのひとが馴染みがあるのは「基本診療料」でしょう。初診料や再診料、入院料などのことです。

「検査」には血液検査のほか、尿や大便、膿や痰の検査も入りますし、染色体や遺伝子検査も入ります。また心電図や超音波検査などもこのグループに属します。

「投薬」は薬そのものではなく、薬の処方に対する医療費です。院内処方は「処方料」、院外処方は「処方箋料」と言って、言葉が微妙に違っています。

 その他の項目は、だいたい推測できると思います。

 もっとも厄介なのが「医学管理料」です。たとえば糖尿病の患者のなかには食事制限が必要なひとがいます。そこで病院に行くと、管理栄養士が食事や栄養に関するアドバイスをしてくれるわけですが、それにも金額が決まっており「外来栄養食事指導料」という項目として計算します。そういった項目が病気ごとに細かく決まっていて「〇〇管理料」とか「〇〇指導料」という名目で、医療費に追加されるのです。

 次回からは、もう少し細かく医療費の迷宮に踏み込んでいくことにしましょう。


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