アニオリの酸いも甘いも 「真夜中ぱんチ」
自分はアニメオリジナル作品が好きだ。とりあえず、今クールになんのアニメを見ようか決めるとき、無条件にアニオリ作品は候補に入れる。
アニオリ作品のすばらしさを語ろうと思うと、ふつうに1記事書けてしまうので、それはまたどこかで書くとして。アニオリ作品の魅力の1つに、「自由」なことがあると思う。
原作のストーリーもキャラもない。この作品のために描かれる世界。当然、視聴者は誰も先を知らない。あのワクワク感。あれはアニオリ作品ならではだろう。
ワクワクしているのは視聴者だけじゃないように感じる。心なしか、アニオリ作品はスタッフのイキイキしている感じが伝わってくることも多い。のびのび作っている感じというか。そこも好きなところだ。
そんな感じで、アニオリ作品が大好きな自分が視聴したアニオリ作品。『真夜中ぱんチ』の感想を書きたいと思う。
こうして感想記事を書いているとなると、とんでもない名作の紹介のようなだが、そうではない。100点満点だと、70点くらいという、なんとも言えない評価になってしまう。決して駄作ではないのだが。
では、なんでそんな作品を紹介するのか。それでも紹介したいアニオリならではの「自由さ」を感じられる作品だからだ。自由ということは、よくも悪くも、クオリティが保証されていないということなのだから。
P.A.WORKSらしい丁寧な作り
この作品、ぜんぜんアニメーション作品としてのクオリティは低くない。
P.A.WORKS製作らしい、丁寧に作られたアニメ作品だ。脚本も、作画も、一定のクオリティは維持していたと思う。基本はギャグがメインなので、ちょっとこの粗さは…みたいになる回もあったけども、致命的ではなかった。
話のテンポもよかったし、スルスルと視聴できた作品だった。
こうして記事で紹介するということは、見られるレベルになっているということ。そこは、安心してほしい。
ギャンブル性を楽しむ作品
本作品のあらすじを端的に言うと「ヴァンパイアがYoutuberになる話」である。
あらすじからわかる通り、ジャンル的にはギャグアニメ。作品全体の目的は都度更新されていき、大きなストーリーラインはあるものの、基本は1話完結のギャグ話。
そういうテイストの作品なので、評価はあがりづらい。この作品を「傑作」とか、そういう評価をしている人はほとんどいないだろう。でも、自分はこの作品が好きだ。
この作品にある設定は「吸血鬼がYoutuberをやる」ということのみ。後はまさに自由。どんな話を展開するのも、アニメスタッフ次第。そのカオスさが好きだった。
超絶下らないオチもあれば、ほろりとくる感動エピソードもある。1話完結のギャグアニメにしかできない、この自由さ。これの空気感が自分はすごい好きなのだ。
ちなみに、質の高いエピソードは本当によい。
第4話、譜風の話が印象的だろう。このアニメはギャグアニメだと確信していたところで、まさかのホロりと来る展開。吸血鬼と人間の寿命差っていうのは、ベタな展開だけども、このベタな展開で感動させられるっていうのは、スタッフが優秀な証。
この「話ごとのクオリティの差」こそ、オリジナルアニメだなって感じする。何なら、この差を楽しむのがこうしたアニメの醍醐味だと思っている。
…ちょっとマニアックな楽しみ方かもしれない。けども、こういうアニメから、「〇〇の3話はヤバい」みたいに言われる「神回」が生まれるし、そういう神回と当たった時の脳汁がヤバいのだ。
ギャンブルみたいな楽しみ方だけども、これが自分のオリジナルアニメのギャグアニメの楽しみ方。
後味は最高
どんなイマイチな話でも、その1話が終われば、全く関係ない話になるのがギャグアニメのいいところ。気軽に視聴することができる。
それに加え、今作品は後味が最高だった。具体的にいうと、ED。これが爽やかで、どんな話であってもすべてを浄化する。
映像も、長谷川育美の歌声もすばらしい。このEDを見るだけで、いいアニメを見た感じがする。このアニメが終わってほしくないなぁという寂しさを感じることができる、最高のEDだった。
こんな紹介記事を書いた後で、この発言には説得力はないかもしれないが、多くの人に見てほしい作品だ。もし、気軽に見れるアニメを探しているなら、ぜひとも見ていただきたい。
1クールに1つは、本作品のようなオリジナルアニメを見ていたいと思う。あまり売れないのかもしれないけども、こういう作品がたくさんあるアニメ業界になってほしいな願っている。