【社員インタビュー】プリンシパルインベスティゲーター 礒崎達大さん(2/3)
DRY解析、および、それに必要な解析基盤の構築をなされている礒崎さん。
前編のインタビューでは、digzyme代表取締役CEOの渡来さんとの出会いについてや、digzyme入社のきっかけ、日々のやりがい等について伺いました。
中編にあたる今回も、色々お聞きしていきたいと思います!
ーー礒崎さんは、DRY、WET、両方に精通していらっしゃいますが・・・
日々の業務で、これまでのご経験が役に立っていると感じる場面はありますか?
それでいうと実は、DRYに関しての経験って、学生時代はユーザーとして、市販の解析ツールをちょっとだけ使える、くらいだったんですよね。
コードを書いたりはできなくて・・・
ーーえ!信じられないです・・・!
そうだったんですよ。
しかも、どういう理屈でDRYのツールが作られているのかも知らないで、ほんとに『使えるだけ』って感じでした。
なので当時は『DRYの人』とは呼べないですかね(笑)そもそもWETの人間でしたし。
博士課程では沖合に出て、海のバクテリアを調べてたりしていたんで。
あくまでメインはWETで、補助的にLinuxをちょっと使う、というくらいでした。
ーー沖合・・・?海のバクテリア・・・?
という気になる単語も出てきたんですが・・・。
ええと、当時はDRYのツールは、どんなことに使っていたんですか?
RNA-Seq(※次世代シーケンス(NGS)解析のひとつで、「トランスクリプトーム」と呼ばれる遺伝子発現を網羅的に検出する次世代シークエンサー)などを用いて、海のウイルスの感染対象をゲノム側の遺伝子から推定することなどに使っていました。
ーーなるほど。修士課程まではいかがでしたか?
修士まではLinuxも知らなかったですし、パソコンもwindowsだけで、エクセルくらいしか開いたことないような状態でした(笑)
というか、その頃はもっと遠くて、ゲノムすら扱っておらず。
修士ではマウスを使った癌のモデルなどの研究をしていたので、
マウスに癌細胞を移植しては、そのサンプルをとって・・・職人技みたいな感じで、腫瘍の切片を作成して・・・顕微鏡で観察して・・・
みたいなことをやっていました。
イメージとしては、病理医の方が人間になさることにちょっと近いかもしれないです。
ーー今お仕事でなされていることとは、だいぶ違いますね。
そして、確かに、一切パソコンが登場していません・・・。
そうなんです。ただ、流石に学会などに足を運ぶなかで、DRYが全くできないと、アカデミアにせよ他の研究職に就くにせよ、生きていけないな〜と実感しまして。
ーーそういうものなんですか?
うーん、その感覚はWETを専門にやっている皆、ある程度持っている気がしますね。
「可能ならやっぱり勉強しておきたいな」
みたいなことは、今のdigzymeのメンバーも大半が口にすることだと思います。
ーーDRY、WET、両者を理解できているとメリットも色々ありそうです。
はい。でも何していいかよくわからなくてペンディング、みたいになりがちなんですが。
なので、僕も修士から博士に進む過程で、あえてラボを変えた意図は
その辺にありまして。
一応WETもDRYも両方できるであろうラボに移ったわけです。
とはいえ、先ほど申し上げましたように、市販のツールを使う程度だったので、digzymeに入社するまではコードを書くという意味ではpythonも触ったことがない状態でした。
ーー驚きました。
なので、digyzmeに入ってから全部、渡来さん、中村さんに教わったんですよね。当時、某ファミレスで(笑)プログラミングを教わる会というのをたまに開いてもらって、宿題を出してもらい、ちょっとずつ上達する、みたいな。
ーーそうだったんですね。ちなみに、WETの経験があるからこそ、DRYの開発に活きてくる部分もあるんでしょうか。
そうですね。WETの人たちがDRYのツールを使うときの気持ちがわかる、
という部分はかなり大きい気がします。
ーーなるほど。もう少し詳しく教えていただいても良いでしょうか?
では、関連して、そもそもWETでやっていることをDRYでやる、ってどういうことなのか?ということも説明しましょうか。
まず、WETの「実験」部分をDRYで行うのは無論無理です。
DRYで行えるのは、それ以外のいわゆる調査の部分。
例えば、digzymeだと『酵素の探索』がまさにそれなんですけれど、『今回のお題で、何の配列を出したらいいか?』っていうのは、本来は『研究職』という大きい枠の中の人の、作業のひとつです。
ですが、digzymeはDRYとWETという二つの基盤があるので、この『酵素の探索』はDRYの人が担当しています。
どうやったら良い配列が取れそうか?という曖昧な内容も、DRYで自動化してサクッと判断できるようにしておくと、そのあとすぐWETで実験できますし、また、実験の数も減らせるというようなメリットが沢山あります。
『酵素の改変』も同じですね。『ここを改変したらいいよね』っていうのがDRYですぐわかる。
でも本来は、これら全てが大きな枠での『研究職の人』の仕事なわけです。
なので、WETの経験があれば自ずとDRYの開発にも活きてきます。
ーーなるほど!理解できました。ありがとうございます。
話は少し戻りますが、博士課程でなされていた、海のウイルスの研究についてお聞きしてもいいでしょうか?
海に関わらず、変なところにいるウイルスの研究がしたかったんです。
そのなかで、先ほども申し上げました通りDRYもできそうな研究室を選んだら海洋分子微生物学研究室という選択になりました。
ーーなるほど。『海の』ウイルスという部分にはそこまでこだわりがなかったということですね。
変なところにいるウイルスの研究がしたい!と思われたキッカケって何だったのでしょうか?
そうですね(笑)その理由を説明しようとすると、小学生の頃にまで遡るんですが・・・
当時ちょっとだけ話題になった『the FUTURE is WILD』(※人類滅亡後に、どんな生物が地球上で栄えるのかシミュレートした話題の書。象と見違えんばかりの巨大イカなど出てくる生物のCGも魅力的。/ドゥーガル・ディクソン (著), ジョン・アダムス (著), 松井 孝典 (著), 土屋 晶子 (著))という本がありまして。
そのなかで未来の生物が想定して描かれていたりして・・・
ーー未来の生物・・・
はい(笑) 当時そういう本が、あったんですよね。
また、逆に、古生物の本が好きだったり・・・生物の進化上、古生物を追っていくとどんどん小さくなるんですけど・・・
最初、微生物からスタートして大きくなってく・・・
その過程が、我々が生きている今の状況と全く違うので、単純にモンスターチックで面白いなと笑
なので『極限環境微生物』みたいな分野があるのでそれでもよかったんですけど、それよりもう一歩捻った感じのものが好きになってしまいまして。
ーー捻った感じ、で、ウイルスに。
例えば、ウイルスが哺乳類を作ったかもしれないという説があったりするんですが。。。
胎盤を作る部分の遺伝子が、レトロウイルスというウイルスで構成されていたりするんですけど、実はそれが急に生まれた原因はウイルス進化説に基づいている、、、とか。
ーーウイルスって何者なのかは私も気になります。かなり奥深いんですね。
はい。そのなかでも、特に変わったウイルスを扱うのは面白そうだなということが進路選択のキッカケになりましたね。
いかがでしたでしょうか?
中編では、礒崎さんの過去の経験を中心に深掘りいたしました!
続いての後編では、お仕事で大切になされていることや、今後チャレンジしたいことを中心にインタビューしていきますのでお楽しみに!
※後編に続きます!
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