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第577回:『26年ぶりに海へ』

訪問介護のでぃぐにてぃ電動車椅子の代表吉田です。でぃぐにてぃの今を伝えるブログ577回。

26年前、岐阜の山育ちが憧れていた海でグデングデンに酔っぱらってちょっとした怪我をした。その日のうちに「一生歩けないし、指を動かすこともできない、車椅子の生活になるでしょう」と告知を受けた。

今も重度の四肢麻痺・障害は残ったままだ。まさかこの人生でもう一度怪我をした千葉の海に戻ってこられると思わなかった。ましてやサーフィンをするなんて。

話は去年の冬にさかのぼる、たまたまSNSで見かけた『障害者サーフィン』の記事に驚かされた。そこから知り合いを辿って、繋がった記事を書いた吉田直人さんから「ヤバい人ですよ」と言って紹介してもらったのが、『障害者サーフィン』をサポートするNPO「サーフクラシック」の代表中谷正義さんだった。

初対面の印象は「チャラいオッサン」。しかし一度話が障害者サーフィンのこととなると目の色が変わる。「俺は障害者を障害者扱いしない、真一お前も自分でできることは自分でやれ!んでなぁ来年お前を海に入れてやるよ!」

自分で言うのもなんだけどちょっとばかり重度の障害者だ。本当に海なんか入れんの?その時は半信半疑だった。ただ中谷さんの真剣な目の色に賭けてみようと思った。

そして8月14日がやって来た。千葉県屏風ヶ浦。TVの取材も入るらしい、ちょっとドキドキしながら海に向かう。

海に着くと、サーフクラッシックの仲間たちが迎えてくれた。みんないい意味で雑であったかい人たちだ。最初車椅子に乗ったままサーフィンボードに乗るとばかり思っていたけど、当日いきなり中谷さんに「ボードにのっけて直接行くけど、覚悟は良いか?やめんなら今だぞ」と告げられた。

折からの超大型台風10号の接近で波は荒い、ただ不思議と怖さはなかった。19歳で怪我した時にこの世で一番恐ろしい「絶望」と戦っといたおかげか。

サーフクラッシックの仲間と取材に入った松岡修造さんたちも、後ろからサポートしてくれて沖まで向かう。「波が来るぞー」と言われところでこっちは丸腰、手も足も出ない。鼻から口から塩水を大量に飲む。「大丈夫かー?」内心思った「大丈夫じゃねぇよ」ただ海の中にいる不思議な心地よさで苦しさはまぎれた。

波をいくつか潜り抜けてとうとうその時が来た中谷さんと2人で波に乗る。


あの瞬間のことは上手く言葉に出来ない。どこか気が遠くなるくらい遠くを漂った気がして、ふと気が付いたら一瞬で浜に戻ってきていた。

無我夢中で3度波に乗った。気持ちよかった。面白かった。サーフクラッシックのみんなが喜んでくれている。

8月14日、この日のことは一生忘れないだろう。「不可能なんてないんだよ」中谷さんが教えてくれた。起業して自分なりに頑張っているつもりだったけどまだまだ出来ることが山ほどある。障害に甘えている自分に気付かされた。

海に入ってみると人間の悩みはちっぽけだ。怪我したばかりの26年前の自分に教えてあげたい、「何だってできる、本当になんだって、人の助けを借りる勇気があれば」。

サポートしてくれたひとりひとり名前を上げられず申し訳ない。まずサーフクラシックの最高の仲間に感謝!そんで今日まで自分を支えてくれたすべての人に感謝!生きてて良かった。今は間違いなくこう言える。もう俺は大丈夫だよ!ありがとう!!

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でぃぐにてぃ
▼『世界いち気持ちいい介護』障害者の訪問介護▼株式会社でぃぐにてぃ代表▼お客様は4歳~97歳▼「介護は生活」肩ひじ張らずテキトーに面白おかしく!▼電動車椅子のバンドマン▼好きな言葉:Getting Better▼介護とRock!▼http://digunity.co.jp/