アフリカ人女性として初めてビルボードHOT100で1位を獲得、最も身近な真実を表現するTemsとは?
Wizkidのシングル「Essence」で一躍その名が知られるようになったTems(テムズ)は、2021年にDrakeのアルバムに抜擢されたほか、翌年にはFuture、Beyonceといったトップアーティストのアルバムにも参加。
また、10月に音楽業界にカムバックシングルとしてリリースされたRihannaの「Lift Me Up」(2022)に楽曲提供をするなど、今、マルチな才能で注目を浴びている1人です。
ここでは、これまでの彼女のキャリアを振り返りたいと思います。
レーベル : RCA Records, Leading Vibes
名前 : Tems
本名 : Temilade Openiyi
年齢 : 27歳
出身地 : ナイジェリア、ラゴス
プロデュース業を学んだ学生時代
ナイジェリア人の母と、イギリス人の父の間に生まれたテムズは、生後間もなくイギリスに渡りましたが、5歳の時に両親が離婚すると、母や弟と共にナイジェリアに戻り、転居を繰り返し生活していたようです。
幼少期にBeyonceに心を奪われ、海外の音楽にハマり、中でもAdeleの「Hometown Glory」がお気に入りだったそうです。
高校では合唱団に入り、大学では経済学を学んでいた彼女は、在学中にプロデュース業を学び、音楽の知識を増やしていくことに。
退職し、音楽の道へ
大学卒業後、生活のために就職を選択した彼女ですが、音楽への思いが尽きることはなく、23歳の時に会社を辞め、2018年にセルフプロデュースしたシングル「Mr.Rebel」をリリースして本格的なキャリアをスタートさせます。
Tems - Mr.Rebel (2018)
本人は「あまり自慢できる曲ではない」と明かしましたが、この曲はナイジェリアのアワード「The Headies」で2部門にノミネートされています。
その翌年に発表したシングル「Try Me」(2019)は、YouTubeで1000万再生を記録しており、彼女の知名度が爆発的ににナイジェリア国内で広まっていきます。
Tems - Try Me (2019)
FutureがサンプリングしたデビューEPとは?
2020年、アメリカのシンガーKhalidとイギリスのエレクトロニックミュージックデュオDisclosureのシングル「Know Your Worth」のリミックスにDavidoと共にゲスト参加。
また、同年に待望のデビューEP「For Broken Ears」(2020)をリリース。
このEPには、ナイジェリアのApple Musicチャートで1位を獲得した「Damages」や、2022年に全米チャートで1位を獲得したFutureのシングル「WAIT FOR U」でサンプリングされた「Higher」などが収録されています。
「WAIT FOR U」がヒットしたことで多くの人が「Higher」を評価し始めましたが、彼女自身はずっとこの曲を評価してきたと語ります。
Tems - Higher (2020)
Future feat. Drake, Tems - WAIT FOR U (2022)
また、テムズがこのEPをリリースした目的は、自分の色やスキルを見せたい、そしてファンのことをもっと知りたいということだったようです。
また、収録曲「Free Mind」は2022年にシングル化され、Hot 97などのラジオ局でヘビープレイされており、全米Afrobeatsチャートでは1位を獲得しています。
Tems - Free Mind (2020)
マーベル映画に大きく貢献する
転機となる2021年、Wizkidのシングル「Essence」にフィーチャーされ、Justin Bieberが参加したリミックスは全米チャート9位を記録。
同年、Drakeのアルバム「Certified Lover Boy」(2021)にフィーチャーされ、アルバムリリース後にはDrakeと食事を楽しんでいる姿も目撃されています。
同月にはRCA Recordsと契約を結び、自身初のメジャーレーベルからセカンドEP「If Orange Was a Place」(2021)をリリース。
リードシングル「Crazy Tings」はUK Afrobeatsシングルチャートで3位を記録し、2022年のThe Headiesでは「Best R&B Album」を受賞しています。
Tems - Crazy Tings (2021)
2022年には、前述のFutureのアルバム「I Never Liked You」から「WAIT FOR U」にサンプリングされ、アフリカ人女性として初の全米チャート1位を獲得したほか、Beyonceのアルバムにもゲスト参加するなど、今年に入ってからは客演で多くの作品に名を残しています。
7月には、Bob Marleyの名曲「No Woman No Cry」のカバーを歌い、マーベル映画「ブラックパンサー・ワカンダ・フォーエバー」のトレイラーにKendrick Lamarの「Alright」と共に使用されています。
Tems - No Woman No Cry
さらに、10月に発売されたRihannaのシングル「Lift Me Up」(2022)に楽曲を提供し、これが映画のサウンドトラックに収録されるなど、この映画に大きく関わっているようです。
おわりに
Wizkid、「Essence」をはじめ、「Free Mind」「Higher」まで、メインストリームレベルで認知されるまでにかなり長い時間がかかりましたが、その事について彼女はこう話しています。
また、音楽を作る上で一番大切にしてる事は、内に秘めた情熱や気持ちだと語っています。
今までにリリースされた曲数は少ないものの、その歌声は聴く者を魅了し、瞬く間にナイジェリアの輝く星となったテムズ。
ヒットを狙うという、あざとさとは到底無縁な、"自分の最も身近な真実を表現する"という彼女の作曲スタイルは、今後も重宝され、シーンに大きな影響を与えそうです。
また近々リリースされるであろうデビューアルバムにも大いに期待を寄せたいところです。
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