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「本当に本当に本当に大好きだ」Questloveが絶賛!! リル・ヨッティの第2章が幕を切って落とされる!! Lil Yachty - Let’s Start Here. (2023)
2016年、Kyleのシングル「iSpy」、DRAMのシングル「Broccoli」にフィーチャーされ、後曲は全米チャート5位を記録し、グラミー賞「ベスト・ラップ/ソング・コラボレーション」にノミネートされたLil Yachty(リル・ヨッティ)。
さらにこの年は、ヒップホップメディア誌XXLの「Freshman Class 2016」にLil Uzi Vert、21 Savage、Kodak Blackらと共に選出され、XXLのYouTubeチャンネルで公開された「Freshman Cypher」は、現在までに2億回再生され、同チャンネルの再生回数で断トツの数字を残しており、めざましい活躍を見せました。
2020年には、彼の人気シリーズ「Lil Boat」の3作目にして最終作となったアルバム「Lil Boat 3」をリリースし、その半年後には「Lil Boat 3.5」と題したアルバムのデラックスエディションをリリースしています。
そんな彼が、約2年半振りとなるニューアルバム「Let’s Start Here.」(2023)をドロップ。
ここでは、このアルバムについて解説します。
レーベル : Quality Control, Motown Records, Capitol Records
リリース日 : 2023年1月27日
名前 : Lil Yachty
本名 : Lil Yachty / Miles Parks McCollum
年齢 : 25歳
出身地 : ジョージア州アトランタ
リル・ヨッティが注目される理由とは?
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冒頭で紹介したヒットシングルで注目を集めたリル・ヨッティですが、3枚目のアルバム「Nuthin' 2 Prove」(2018)以降は全米チャートトップ10圏外となり、なかなか結果を残せていないように感じます。
しかし、その裏ではCity Girlsの「Act Up」やMegan Thee Stallionの「Hot Girl Summer」などのヒットシングルで作詞を担当し、「Act Up」ではCity GirlsのメンバーJTの最後のバースを除く全てのリリックを書いたことが明らかになっており、そのプロダクションスキルにも注目されています。
City Girls - Act Up
また、2021年にはカニエ・ウェストのアルバム「Donda」に抜擢されたほか、昨年はドレイクと21サヴェージのコラボアルバム「Her Loss」で6曲を作詞、2曲をプロデュースしており、彼の才能が業界に認められていることが窺えます。
リリースに至るまで
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2022年5月、ニューアルバムの存在を明らかにし、11月にシングル「Poland」をリリース。(アルバム未収録)
シンセが鳴り響くレイジビートに、彼らしいメロディアスなラップを乗せたこの曲は、1分にも満たないコンパクトの曲となりましたが、リリース前からラッパーたちのネット上での評価が高く、それがきっかけでSNSを中心にバイラルヒットしました。
みんながアルバムを欲しがっているのを知ってるから、ツイートしないようにしてるんだ...。
また戻って来るよ...最高のアルバムを約束する。
I try not to tweet cus I know y’all want album… I’ll come back with that.. best one yet promise.
— C.V Thomas (@lilyachty) May 2, 2022
Lil Yachty - Poland (2022)
また、この曲は彼が所属するレーベルQuality Control MusicのCEOであるPierre "Pee" Thomasが、ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相からポーランドへの招待メールを受け取ったことを明らかにしています。
その「Poland」のSoundCloudの説明文の中で、アルバムのリリースが2023年であることを明らかされていましたが、2022年12月にアルバムの全貌がリークされました。
その翌月には、アルバムのアートワーク、タイトル、リリース日がヴァイナルリリースサイトを通じてリークされ、その1週間後にアルバムのトレーラーがYouTubeで正式に公開されています。
Lil Yachty’s entire new album has leaked online 😢⛵️ pic.twitter.com/XYxfyyC8Z8
— STRAPPED! | Hip-Hop/Rap News (@STRAPPEDUS) December 26, 2022
アルバムについて
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アルバムのリリースに先立ち、リル・ヨッティは「第2章だ。お待たせしました」とコメントし、Instagramにアートワークを投稿。
前作の「Lil Boat」シリーズが終わり、このアルバムが新たな章の始まりを意味することを伝えているようです。
また、アルバム発売の数時間前には、リバティ・サイエンス・センターでリスニングパーティーが開催されました。
281兆色以上の色を表現できる照明システム、5つのスピーカーアレイと16のサブウーファーからなる3万ワットのサウンドシステムを備えたアメリカ国内最大のプラネタリウムで行われたこのパーティーには、ドレイク、オフセットらが駆け付けたようです。
その後リリースされた今作は全14曲収録され、Daniel Caesar、Justine Skye、Fousheé、Diana Gordonらが参加しており、リル・ヨッティはリリース以前からラップアルバムではないことを明言していました。
新しいアルバムはノンラップアルバムなんだ。
サイケデリックでオルタナティブなプロジェクト。
今までと異なって、全部生楽器なんだ。
リル・ヨッティは、2021年にオーストラリアのミュージシャン、Kevin ParkerによるサイケデリックミュージックプロジェクトであるTame Impalaと「Breathe Deeper (Lil Yachty Remix)」(2021)でコラボしており、当時からこのジャンルに興味があったようです。
Tame Impala, Lil Yachty - Breathe Deeper (Lil Yachty Remix) (2021)
収録曲について
アルバムのオープニングを飾った1曲目「the BLACK seminole.」は、Jojiのヒットソングを手掛けたJustin Raisen、Patrick Wimberlyが共同プロデュースしており、どこかJojiを彷彿とさせるオルタナティブR&Bサウンドに仕上がっています。
Lil Yachty - the BLACK seminole.
3曲目の「running out of time」は、にニューヨーク出身のシンガーJustine Skyeをコーラスに迎え、ベース音が心地よいミッドテンポなナンバーに仕上がりました。
また、昨年ブレイクを果たしたSteve Lacyもソングライターとしてこの曲に参加しています。
Lil Yachty - running out of time
4曲目の「pRETTy」は、リル・ヨッティがオートチューン全開で歌い上げ、スローサイケデリックなサウンドのナンバーです。
前述のSteve Lacyのシングル「Bad Habit」(2022)にもゲスト参加しているニューヨークのソウルシンガー、Fousheéが参加しています。
Lil Yachty - pRETTy
8曲目の「drive ME crazy!」は、ミッドテンポのビートとニューヨーク出身のシンガーDiana Gordonの歌声が心地よい1曲となりました。
彼女も、Steve Lacyのシングル「Bad Habit」でソングライターで参加したほか、ビヨンセのシングル「Sorry」(2016)では、プロデューサー兼ソングライターとして楽曲提供したことで知られています。
Lil Yachty - drive ME crazy!
Questloveがアルバムを絶賛!
リリース前から本人が明かしていたように、このアルバムは現在のヒップホップのスタイルとは一線を画し、まるで別のアーティストとして生まれ変わったかのような内容になっています。
またこのアルバムについて、1980年代後期に結成したヒップホップグループThe Rootsのドラマーであり、プロデューサーとして活躍するQuestloveは「本当に本当に本当にこのレコードが大好きだ」と絶賛しています。
3回ほど聴いてみて(こんなこと絶対言わないと思ってたんだけど「Lil Yachtyに期待してなかったから」じゃなくて、一般的に「MUSICに期待してなかったから」なんだ)。
どう言えばいいんだろう?
俺は本当に本当に本当にこの@lilyachtyのレコードが大好きで、アーティストの出発点となるレコードが大好きだ。
こういう(限界を超えるような)ことをやると、音楽の未来に興奮するんだ。
歴史に名を連ねるOGに高く評価されたリル・ヨッティは、アルバム制作で大きな役割を果たしたプロデューサーたちへ感謝し、インスタグラムで次のように明かしています。
このプロジェクトを始めてからほぼ2年が経ったけど、みんなと共有したいと思っていたんだ。
作成中のクリップをいくつか紹介するね...
仲間全員と一緒に取り組んだスタジオのクリップだよ。
ずっと一緒に仕事をしたいと思っていた、素晴らしいDev Hynesの曲は使わなかったけど。
Pony、Patrick、Justin、Jake、Miles、Gent、ありがとう。
君たちなしでは実現しなかっただろう。
愛に圧倒されているよ。みんなありがとう。
これは俺の次の章の始まりだ...。
2023年の目玉作となり、今後のラップシーンの概念を動かしかねない衝撃作をリリースしたリル・ヨッティ。
若干25歳の若きラッパーの第2章が本格的にスタートした今、彼の一挙一動から目が離せません。
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