再び音楽の質が問われる時代に!?3年前の曲がApple Musicで1位を獲得!Chris Brown - Under the Influence (2019)
押しも押されもせぬ大スターとなって久しい2022年、自身のニックネームを冠した10枚目のアルバム「Breezy」をリリースしたChris Brown(クリス・ブラウン)。
このアルバムは全米チャート4位を記録、デビュー週に5曲がシングルとしてチャートインし、クリス・ブラウンはエルヴィス・プレスリーを抜き、8人目となる最多チャートイン記録を持つアーティストとなりました。
そんな彼の、2019年に発表したアルバム「Indigo」のエクステンデッドバージョンから「Under the Influence」が"今"シングル化され、人気を集めています。
ここでは、このタイミングでリリースに至った経緯について解説します。
レーベル : Chris Brown Entertainment, RCA Records
リリース日 : 2019年10月4日
名前 : Chris Brown
本名 : Christopher Maurice Brown
年齢 : 33歳
出身地 : バージニア州タッパハノック
Chris Brown - Under the Influence (2019)
収録先のアルバム「Indigo」とは?
2017年のアルバム「Heartbreak on a Full Moon」に続く2枚組アルバムとして、2019年6月にリリースされた本作。
デビュー週に全米チャート1位を獲得し「Fortune」(2012)以来7年振り3回目の首位の獲得となりました。
アルバムからは、5枚のシングルがリリースされ、Gunnaとの「Heat」はR&B/Hip Hopエアプレイチャート1位、Drakeとの「No Guidance」は全米チャート5位を記録してグラミー賞「ベストR&Bソング」にノミネートされています。
さらに、リリースから4ヶ月後には、エクステンデッドバージョンがリリースされ、10曲を追加した全42曲が収められています。
アルバムのリリース後、2ヶ月に渡る「Indigoat Tour」が行われ、Tory Lanez、Ty Dolla $ign、Joyner Lucas、Yella Beezyがオープニングアクトを飾り、37公演で3000万ドル以上の興行収入を上げ、ツアーは成功を収めています。
このツアーはTravis Scottのツアー「Astroworld – Wish You Were Here Tour」Eminemの「Rapture 2019」に次いで、2019年に3番目に成功したヒップホップツアーとなっています。
3年前の曲のヒットに本人も驚く
表題曲「Under the Influence」は、リリースから3年の月日が経っていますが、ここ数ヶ月TikTokで人気を集め、アプリ内でのハッシュタグ「#undertheinfluence」の動画は10億回再生を突破しています。
この影響にレコード会社が黙るはずもなく、2022年9月シングルとして再リリースされ、Apple Musicのグローバルチャートで1位を獲得し、クリス・ブラウン本人もInstagramで驚いています。
また、この曲は全米チャート36位を記録し、さらに、10月10日には早くもRIAAからプラチナ認定(アメリカ国内だけで100万枚に相当する売上)を受け、キャリアシングル累計売上枚数は9200万枚に達しました。
これにより、デジタル時代での男性R&Bアーティストとしては、ジャスティン・ビーバー(1億950万枚)、ザ・ウィークエンド(9800万枚)に次ぐ第3位の売上を記録しています。
余談ですが、全てのアーティストを考慮した場合、彼は歴代デジタル音楽セールスランキングで11位となり、トップ10には錚々たるスターが名を連ねています。
Eminem (1億6600万)
Drake (1億6400万)
Rihanna(1億5550万)
Kanye West (1億3500万)
Taylor Swift (1億3400万)
Beyonce (1億1400万)
Justin Bieber (1億950万)
Katy Perry (1億950万)
The Weeknd (9800万)
Post Malone (9500万)
Chris Brown 9200万枚
気になるリリックは?
スローなビートにソウルフルな歌声を乗せたこのR&Bナンバーは、ナイジェリアのシンガーDavidoが共同作詞しています。
曲中では、ロビタシン(咳止めシロップ)に溺れた男性が、ガールフレンドを自分の家に誘っている様子を歌っています。
ロビタシンはMDMAと似た効果をもたらすと言われており、しばしば娯楽薬として使用されているようです。
また、25ドル程度で購入できるため、ティーンエイジャーが気軽に入手でき、一時的な快楽を求めることで使用する傾向が高いと言われています。
TikTokの影響で旧譜がヒット?
「Under the Influence」は、今年に入ってからニューヨークやロサンゼルスなど主要都市のラジオ局でエアプレイされ、これまでにSpotifyでは4億回のストリーミングを記録して、収録されていたアルバム「Indigo」では「No Guidance」に次ぐ人気曲となりました。
このように過去の楽曲が再び人気を集める事例はたびたび起きており、The Weekndのアルバム「Starboy」(2016)に収録されている「Die for You」(2016)は、2021年末から2022年にかけてTikTokでバイラルヒットし、再び全米チャートにチャートインしています。
また、このヒットにより、2021年にアルバム発売5周年を記念したMVがサプライズ公開されています。
The Weeknd - Die For You
これまでに、TikTokのバイラルヒットで次々と新しいスターが誕生してきましたが、その熱はついに旧譜にまで及び、今回、知られざる名曲を世に送り出す引き金となりました。
この流れは今後さらに加速し、楽曲そのもののポテンシャルや純粋な良さが改めて重要視される時代に突入したのかもしれません。
関連記事はこちら
※ DIGTRACKS.comは、音楽プロモーター、音楽業界に携わるプロフェッショナル(DJなど)専門のデジタル・レコードプールサービスです。
ご利用の際は必ず「ご利用規約」をご確認ください。