"テイクオフの影を追って: オフセットとクエイヴォの真実の告白"
ジョージア州ローレンスビルで結成されたラップグループMigos(ミーゴス)は、2010年代における「トラップミュージック」の普及に大きく貢献をし、その後の音楽シーンに大きな影響を齎しました。
彼らは「Bad and Boujee」(2016)や「Walk It Talk It」(2018)などのヒットシングルを世に送り出し、アルバム「Culture」「Culture II」は共に全米チャート1位を獲得。そして、2021年には3年ぶりのアルバムを発表し、シリーズのクライマックスとなる「Culture III」は多くの注目を浴びました。
しかしながら、彼らの成功の背景には、メンバー間の不和の噂も時折囁かれていました。
その後、Quavo(クエイヴォ)とTakeoff(テイクオフ)はコラボレーションアルバム「Only Built for Infinity Links」(2022)をリリース。しかしそのわずか数週間後、悲劇が彼らを襲います。テイクオフが銃撃事件により失われたのです。
そして今回、クエイヴォがソロアルバム「Rocket Power」(2023)をリリースしました。この記事では、テイクオフの突然の死による衝撃や、ミーゴスのこれまでとこれからについて、詳細に迫っていきます。
レーベル : Capitol Records, Motown Records & Quality Control Music
リリース日 : 2023年8月18日
名前 : Quavo
本名 : Quavious Keyate Marshall
年齢 : 32歳
出身地 : ジョージア州ローレンスビル
Takeoffの銃殺事件
2022年、グループ内の不仲が注目される中、オフセットがソロシングルをリリースすると、それに対抗するかのように、クエイヴォとテイクオフも同日にコラボシングルをリリース。このような動きから、グループの解散の噂が立ち上がりました。
クエイヴォはこの時の気持ちを「俺たちはデュオとしての道を追求したい」と表現し、同年10月にクエイヴォとテイクオフのアルバム「Only Built for Infinity Links」が発売されました。
2022年11月1日、ヒューストンの810 Billiards & Bowlingで行われたパーティー後、衝撃の事件が発生。テイクオフが銃撃により命を落としました。
事の発端は口論で、その中でテイクオフが誤って撃たれた模様。近隣の看護師が発砲音を聞きつけ、現場に駆けつけましたが、到着時には既にテイクオフは亡くなっていました。この事件では、クエイヴォの同僚と女性2人も銃撃を受けて負傷しています。
数週間後、警察は事件の容疑者を拘束。2023年5月26日、犯人はテイクオフの死を引き起こした罪で起訴され、有罪判決を受ければ、刑期は5年から終身刑になる可能性があります。
皮肉なことに、この事件のわずか数時間前には、クエイヴォとテイクオフのコラボアルバムからの楽曲「Messy」のMVが公開され、わずか数時間で数百万回が再生され、YouTubeのトレンドでトップに躍り出ました。
Quavo & Takeoff - Messy
テイクオフの死の翌日、彼が所属するレーベルであるQuality Control Musicは、Instagramアカウントを通じて以下の声明を発表しました。
この声明は、彼の突然の死に対するレーベルの深い悲しみと哀悼の気持ちを表したもので、ファンや関係者に向けて感謝の意も込められています。
私たちの愛する兄弟であり、Takeoffの名で世界に知られるKirsnick Khari Ballの死を、傷ついた心と深い悲しみとともに悼みます。
無意味な暴力と流れ弾が、この世からまた1つ命を奪い、私たちは心を痛めています。
私たち全員がこの重大な喪失を受け止め続ける中、彼の家族と友人を尊重していただければと思います。
音楽業界だけでなく、多くの著名人もテイクオフの訃報に深い悲しみを覚えました。NBA選手であり、ミーゴスのファンであるレブロン・ジェームズもその1人で、彼はテイクオフへの敬意を示すために以下のような行動をとりました。
彼は試合前にはテイクオフのスタイルにならい、スーツ姿で現れました。これにより、彼はテイクオフへの哀悼の意を表し、彼の音楽と人格への尊敬を示しました。
俺はとても長い間、彼らの曲を聴いてきた。
2010年に(マイアミ)ヒートに移籍した1年目から聴いていたよ。
当時の俺を知っている人に聞いてみてくれ、Migosが誰なのか全く知らなかった。
俺がウェイトルームやロッカールームでMigosをかけると、彼らは文句を言ってきたんだ。
でも俺は言ったんだ、これから彼らは大物になるって。
クエイヴォ、オフセットが口を開く
クエイヴォは、SNSを通じてテイクオフとの関係についての考えをシェアし、その後彼に感謝の気持ちを述べました。
ずっと君が実際に俺にとって何なのかを考えてきたんだ。
甥だというのは違うんだ。俺たちはその言葉「甥」が嫌いだった。
また、「UncとPhew」と言われると気が滅入る。
だってずっと俺たちはそれよりもっと近しい関係だとわかっていたし、それが俺を年を取ったように感じさせたから。
でも君が俺の兄弟じゃないこともわかっていた。
だって君は姉の息子だから、俺は兄弟とは言えなかった。
今、やっと理解できたんだ…
君は俺たちの天使で、俺らをずっと生きている姿で見守ってくれていたんだ。
ここにいる間、誰もが君の愛とハグを感じさせてくれて、俺らの夢を叶えてくれたんだ。
オフセットも、テイクオフの死に対して深い悲しみと喪失感を抱いており、その感情を言葉にすることが難しいことをSNSを通じて明かしています。
俺の心は打ち砕かれ、言いたいことは山ほどあるけど、言葉が見つからないんだ。
この全てが夢であることを願いながら眠ったり起きたりしてきたけど、これは現実で、現実は悪夢なんだ。
君と会うたびに、俺に※ダップではなく......ハグをしてくれた。
もう一度ハグできたらいいのに。
最後にもう一度タバコを吸えたらいいのに。最後にもう一度だけ。
最後にもう一度パフォーマンスができたらいいのに。
君みたいな魂の持ち主は今は天国にいると思う。
俺たちがどれだけ君を愛し、君を恋しく思っているか、わかってほしい。
君が残していった心の穴は、決して埋まることはないだろう。
※親友同士の挨拶として、拳を軽く突き合わせること
2023年1月、クエイヴォはシングル「Without You」をリリースしました。この曲は、テイクオフへの深い思いを込めて制作され、以下のような歌詞が含まれています。
「目から涙がこぼれてくる / 何度泣いたかわからないよ / 君のいない日々は同じじゃない」
このように、クエイヴォはテイクオフへの感情を率直に表現し、彼の存在が彼にとっていかに大きなものであったかを表現しました。
このシングルは、テイクオフへの敬意と共に、その不在によって抱える喪失感を歌い上げています。
Quavo - WITHOUT YOU
さらに、この曲は2月に行われたグラミー賞でも特別な瞬間として取り上げられ、クエイヴォはウィズ・カリファとチャーリー・プースが2015年に発表した「See You Again」をカバーしながら、「Without You」を披露しました。
「See You Again」は、ウィズ・カリファとチャーリー・プースによるポール・ウォーカーを追悼する楽曲として知られており、そのカバーと「Without You」の披露によって、テイクオフをはじめとする音楽界の偉大なアーティストたちへの感謝と追悼の気持ちが表現されました。
このような特別なパフォーマンスは、彼らが遺した音楽が永遠に記憶されることを示すものとなりました。
しかし、この素晴らしいショーの直前のステージの裏では、クエイヴォとオフセットが揉めていたことが発覚。2人の喧嘩は激しくなり、他の人々が介入して2人を引き離す場面があったと言われています。
原因としては、グラミー賞の関係者がオフセットに特別出演を依頼したにも関わらず、クエイヴォが彼の出演を拒んだため、そのことが口論の発端となったと報道されています。
2023年2月、クエイヴォは「Without You」に続いて、テイクオフへの2曲目のトリビュートとしてシングル「Greatness」をリリースしました。この曲は、クエイヴォのアルバム「Rocket Power」(2023)からのリードシングルとして位置づけられ、テイクオフがこの世にいなくてもなお、彼を感じ続け、その存在が自身の成功を支えていることを歌っています。
Quavo - Greatness
BETアワードでサプライズ共演を果たす！
2023年6月、BETアワードが開催され、テイクオフへのトリビュートとして、1年以上ぶりにクエイヴォとオフセットがサプライズで共演し、感動的なパフォーマンスを披露しました。このパフォーマンスでは、ミーゴスとして全米チャート1位を獲得した楽曲「Bad and Boujee」や、クエイヴォとテイクオフによる2022年のコラボアルバム「Only Built for Infinity Links」からの楽曲「Hotel Lobby」が披露され、テイクオフの映像がスクリーンに映し出されました。
また、このパフォーマンスについて、オフセットは自身のSNSを通じて、パリからの飛行機で夜9時に到着した後、彼とクエイヴォがわずか16時間足らずで内容をまとめ上げたことを明かしました。この短い時間での準備にもかかわらず、彼らは感情豊かなトリビュートパフォーマンスを成功させ、テイクオフへの敬意を示しました。
僕たちは本物のスターだから、これをやるんだ。
俺たちはこの音楽をやっている。俺たちはマイクを握った中で最も偉大なグループだ。ブラザーのTakeに捧げるよ。
俺たちはブラザーのTakeのためにやったんだ。
俺とQuayは背筋を伸ばして、兄弟で立ったんだ...
応援してくれたみんなに感謝している。
これは映画であり、バイブだった。カルチャーのために必要だったんだ。
おわりに
テイクオフの突然の死により、多くの人々は深い衝撃を受けました。その後も注目の連続で、ミーゴスの事実上の解散や、グラミー賞でのクエイヴォとオフセットの対立は多くの感情を呼び起こしました。それでも、彼らの再結成は多くのファンにとって喜びの瞬間となりました。
2023年8月にリリースされたクエイヴォのソロアルバム「Rocket Power」は、テイクオフの死を取り上げる一方で、オフセットとの関係には明確に触れられていません。
また、このアルバムは、クエイヴォの新しい音楽的方向性を示すものとして注目されており、彼のソロとしての進化や「Rocket Power」にかける期待や詳細については次回の記事で詳しく取り上げていきます。
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