「これは私の最初の作品であり、私にとっては素晴らしい旅の始まりに過ぎない。」 待望のデビューアルバムが遂に! RAYE - My 21st Century Blues (2023)
前回の記事でご紹介したイギリス、ロンドン出身のシンガーRAYE(レイ)。
ここでは、彼女がこの度ドロップしたアルバム「My 21st Century Blues」(2023)について解説します。
レーベル : Human Re-Sources
リリース日 : 2023年2月3日
名前 : RAYE
本名 : Rachel Agatha Keen
年齢 : 25歳
出身地 : イギリス、ロンドン
リリースに至るまで
2022年6月、レイは大手レーベルを離れ、インディーズのアーティストとして初のシングル「Hard Out Here」をリリースしました。
アルバムからのファーストシングルとなったこの曲について、レイは誰かの意見を気にすることなく「自分のストーリーを語りたかった」と明かしています。
RAYE - Hard Out Here
その2ヶ月後には、セカンドシングル「Black Mascara.」をリリース。
アルバムの中では数少ないダンサブルなビートに仕上がったこの曲は、彼女の心の中にある「ブルース」への影響を歌った曲のようです。
RAYE - Black Mascara.
10月には、アルバムから3枚目のシングルで、ニュージャージー州ノースバーゲン出身のシンガー070 Shakeをフィーチャーした「Escapism」をリリース。
この曲は、レイにとってインディーズとなり初めてUKチャート入りを果たし、TikTokではこの曲のハッシュタグを使った動画が6億8000万再生されるというバイラルヒットとなりました。
このヒットにより、Spotifyでは2億回以上のストリーミングを記録し、世界22カ国のチャートでトップ10に入り、UKシングルチャートでは1位を獲得。
レイは、敢えて多くの人が共感できる「Escapism (逃避)」というテーマをこの曲に選び、これがオーディエンスの心に響いたようです。
RAYE, 070 Shake - Escapism.
アルバムについて語る
待望のアルバムのリリースについて、レイは「とても興奮しているわ」と明かし、自分のビジョンに対して妥協することなく作り上げたこのプロジェクトに、最もやりがいに感じたようです。
そう明かした今作は、15曲が収録されており、前述の070 ShakeやイギリスのシンガーMahaliaがゲストとして参加しています。
アルバム発売前日に発表したシングル「Ice Cream Man.」は、4年前から未発表曲として温められていたもので、リリース前に行われていたツアーでは「Ice Cream」という曲名でライブで披露していました。
また、この曲を含む数曲は、このアルバムのために歌詞を書き直し、再レコーディングされたようです。
RAYE - Ice Cream Man.
7曲目の「The Thrill Is Gone.」は、ブルースの巨匠B.B. キングの代表曲「The Thrill is Gone」(1969)と同じタイトルで、彼女はかつてTwitterでブルースから強い影響を受けていることを示唆する写真を投稿していたことがあります。
そのような背景もあり、変則的なジャジーなビートを見事に自分のものにしたこの曲は、彼女の歌唱力が試されるとともに、レイの潜在能力を最大限に引き出すものとなりました。
RAYE - The Thrill Is Gone.
B.B. King - The Thrill Is Gone
13曲目の「Worth It.」は、アルバム全体の重いビートを相殺するかのように、彼女が優しく歌い上げたミッドテンポのトラックが心地よい1曲に。
RAYE - Worth It.
アルバムにおける、このような様々なビートへのチャレンジは、ガーナ系スイス人の母とヨークシャー出身のイギリス人の父を持つことが背景にあり、自分が常に属しているカルチャーを尊重したいという思いがあるようです。
そのためには、ルールや制約から解放されたインディーズのアーティストとしてリリースする必要があったと明かしています。
おわりに
今作は、これまでのダンスポップとは一線を画し、よりシリアスでレイのファンを驚かせる作品に仕上がりました。
これらは、彼女が本来表現したかったサウンドであり、「これこそが真の芸術性である」と本人は語っています。
また、このアルバムは早くもUKインディペンデントチャート1位、UKアルバムチャート2位を獲得していますが、彼女の中ではチャートの順位がゴールではなく、質の高い音楽を提供することが自分の役割だと考えているようです。
10代の頃から業界に身を置き、多くのヒット曲を生み出し、裏方としてライターとしても引っ張りだこのレイ。
しかし、このアルバムを聴くと、彼女のこれまでの作品がいかに大衆向けであったかを知り、いかに彼女が音楽を探求してきたかがわかる気がします。
彼女の世界観にどっぷり浸かれるアルバム、おすすめです。
関連記事はこちら
今回紹介した楽曲のDJプロモーション音源はこちら⬇️⬇️⬇️
※ DIGTRACKS.comは、音楽プロモーター、音楽業界に携わるプロフェッショナル(DJなど)専門のデジタル・レコードプールサービスです。
ご利用の際は必ず「ご利用規約」をご確認ください。