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強迫性障害を乗り越え、ついに5枚目のアルバムをリリース! NF - HOPE (2023)
ミシガン州グラッドウィン出身のラッパーNF(エヌエフ)は、2015年にデビューアルバム「Mansion」をメジャーレーベルからリリースしました。その後、翌年にはセカンドアルバム「Therapy Session」(2016)を発表し、このアルバムはゴスペル音楽協会のGMA Dove Awardsで「Best Rap/Hip Hop Album of the Year」を受賞するなど、高い評価を受けました。
続く2017年に発表した3枚目のアルバム「Perception」は、全米チャート1位を獲得し、シングルカットされた「Let You Down」は、メインストリームチャートで1位を獲得し、さらに現在までにSpotifyで10億回以上再生される大ヒット。
2019年に発表した4枚目のアルバム「The Search」でも全米チャート1位を獲得し、2021年にはミックステープ「Clouds」をリリースしています。
そして今回、彼がリリースした最新アルバム「HOPE」(2023)から収録曲の解説と紹介をします。
レーベル : Capitol Records & NF Real Music
リリース日 : 2023年4月7日
名前 : NF
本名 : Nathan John Feuerstein
年齢 : 32歳
出身地 : ミシガン州グラッドウィン
リリースに至るまで
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前作のミックステープ「Clouds」(2021)をリリースした後、しばらく音楽活動を休止していたNFですが、2023年2月16日にリリースしたシングル「HOPE」でカムバックを果たしました。
この曲は、アルバムからのリードシングルであり、プロデューサーには彼の代表曲「Let You Down」を手がけた事でも知られるTommee Profittが共同プロデューサーを務めました。
NF - HOPE
この曲をリリースした翌日、彼はTwitterでアルバムのアートワークと発売日を発表し、3月にはセカンドシングル「Motto」をリリースしました。
NEW ALBUM HOPE OUT APRIL 7https://t.co/I0rQecIgkb pic.twitter.com/FapDrMpXgl
— NF (@nfrealmusic) February 16, 2023
この曲のミュージックビデオはテネシー州ナッシュビルで撮影され、世界中から集まった1000人近いNFのファンがエキストラとして出演しています。
またMVの中で、グラミー賞を思わせるシーンがあり、彼が授賞式で悪ふざけをする様子が描かれており、NFは「業界をからかいたくなるんだ」と明かしています。
時々、この業界をからかいたくなるんだ…
年を取れば取るほど、特定のことに対して興味を持たなくなっている気がするんだ。
一部の人は、(そのMVで)「君は特定のアーティストを批判している」と思ったかもしれないけど、そうではないんだ。
アーティストであれば、グラミーを手に入れたら、多くの人にとってそれは凄い出来事だろう。
もし俺がグラミーを受賞したとしても、それについて全く気にしないわけではない。
でも単に前ほどそういったことに興味がなくなってきたんだ。
アリーナを完売させたり、舞台裏で大きなことをやっている方が、グラミーを受賞するよりもずっと良いと思うんだ。
ある人は「君はグラミーを持っていないからそう言っているだけだ」と言うかもしれないけど、それは違うんだよ。
NF - MOTTO
持病の悪化で制作が困難になったことを明かす
![](https://assets.st-note.com/img/1681702289919-g5i9zmr0SB.jpg?width=1200)
前作アルバム「The Search」からおおよそ4年が経ち、NFはその間に1枚のミックステープのリリースに留まり、制作が難航していました。彼はこの期間中、強迫性障害の悪化によりアルバム制作に苦労していたと伝えています。
俺はひどい強迫性障害を抱えているんだ。
インタビューでも話したことがあるけど、このアルバム以前は、俺の仕事にそれほど影響を与えていなかった。
影響するとしても、完成できないほどひどくはなかった。
でも、今は少し悪化していて、作品を仕上げるのに苦労しているよ。
何かが十分でないと思ったら、それに執着してしまうんだ...
だから、完成できなかった曲がたくさんあるよ。
強迫性障害は、箱のようなものを作り出すんだ。
それはここから出てはいけないという境界線なんだ。
なぜそれがうまくいかないのか、その理由がここにあるんだ。
そして、最終的には何も書けなくなってしまったんだ。
何ヶ月も曲が書けなかったね。
2010年代に瞬く間に脚光を浴びた彼は、多くのオーディエンスから受ける期待とプレッシャーにより、満足のいく曲が仕上げられない葛藤に頭を抱えていたようです。
そうした中、彼は試行錯誤を繰り返しながら制作した今作は、これまで以上に困難なものだった模様。
俺はただ、毎日、書こうとすることで、自分を苦しめていたんだ。
普段はそんなことはしないんだけど、絶望的になってしまった時には、インスピレーションを待とうとしたこともあったよ。
書いて書いて、何か浮かび上がるまで書き続けたんだ。
普段はそうやっているんだけど、何ヶ月もその状態が続いた後に「3日間くらい休んだ方がいいのかもしれないな」と思ったんだ。
でも、それもうまくいかなかった。だから、どうやったのかもわからない。
ただ、最終的に「よし、これならできる」と思えるまで続けてきたんだと思う。
でも、どうすればそれを変えられるか、前向きに考えなければならないね。
レコーディングや作曲をするのが好きだったんだけど、今回のプロジェクトでは、それがとても難しいものに感じられた...
前作から時間が経っていたから、プレッシャーが今まで以上に大きくなっていたんだ。
でも、俺は未来にワクワクしているよ。
そして、このアルバムをみんなに聴いてもらえることも楽しみにしているよ。
パワフルな曲があるのは間違いないと思うからね。
アルバムについて
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NFは自分との闘いの末にようやくリリースにこぎつけたこのアルバムには、Cardae、Julia Michaelsのみがゲスト参加した全13曲が収録されています。
アルバム3曲目の「CAREFUL」は、メリーランド州シュートランド出身のラッパーCardaeとNFによるパワフルなラップが特徴的な曲に仕上がりました。
この曲では、ミズーリ州カンザスシティ出身のベテランラッパーTech N9neの「Tell Everyone」(2023)のビートをサンプリングしています。
NF, Cordae - CAREFUL
Tech N9ne - Tell Everyone
アルバムのリリースと同時にMVが公開された5曲目の「Happy」は、メロディアスに歌い上げる一方で、自身の苦悩やトラウマを認めながらも、プライドが邪魔をして前に進めないことを歌にしています。
NF - HAPPY
8曲目の「GONE」には、カリフォルニア州サンタ・クラリタ出身のシンガーJulia Michaelsがゲスト参加しています。
Julia Michaelsは、シンガーとして多数の楽曲をリリースしているだけでなく、ソングライターとしても活躍しており、これまでにジャスティン・ビーバーの「Sorry」やセレーナ・ゴメス、エド・シーランなど、トップアーティストのソングライティングに携わってきました。
この曲で初めて共演したNFは、直接会ったことはないものの、彼女の才能に魅了されたと語っています。
彼女とは会ったことはないんだけど、とてもひどいボイスメモを送ったので、恐らく彼女をびっくりさせたと思う(笑)
それは、ただのコード進行と俺がアイデアを歌っているだけだったんだ。
俺は頭の中で何をやりたいかわかっているけど、もし俺がアーティストで、こんなものを送られてきたら『このアイデアをもっと詳しく説明してくれないかな?ちょっと心配なんだけど』って思うだろう。
でも、彼女はクールだったよ。
俺が『これが雰囲気だよ。どう思う?』って送って、実際にスタジオで録音を彼女に送ったら、彼女は素晴らしいバースを書いてくれたんだ。
彼女は凄いよ、本当に。
彼女がライターであることは一瞬で分かるよ。
NF, Julia Michaels - GONE
おわりに
NFは、実生活をベースに曲を作るため、これまでのプロジェクトは「本みたいなもの」だと話すも、クリエイティブな部分を見せるためには、時にはポジティブなマインドでいることも必要だったと明かしています。
本のようなものだね。
でも、映画のように、物事を適切にペース配分することが大切なんだ。
ただ、自分の実生活について書いているから、映画ではある一定のペースで進むはずなのに、自分の生活ではそのようなペースにならないと感じることもあるよ。
クリエイティブな面でも、鬱になるような曲を何枚も書きたくはないんだ。
でも、もしそれが自分の気持ちだとしたら、どうすればそういう風に書かないことができるのか、わからないんだ。
というのも、クリエイティブな面では、みんなに俺とは違うものを聴いてもらいたいと思うんだ。
俺自身も違ったものを聴きたいからね。
(このアルバムを作っているとき)時々「ああ、ポジティブでなければならない」と言い聞かせていたんだ。
でも、より良くなろうとする旅の途中だから、いつもポジティブな気分にはなれないんだ。
ひどい日もあるし、素晴らしい日もあるってね。
プライベートでは2021年に息子が生まれ、今年の3月には32歳を迎えたNFは、ラッパーとしてだけでなく、父親としても新たなステップを踏み出しています。
この4年間、謎に包まれていた彼の想いや今後の展望が詰まったフルアルバムで、NFの世界観に浸ってみてはいかがでしょうか。
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