TikTokからグラミーへ！ジョーダン・アデトゥンジが広げる音楽の可能性『A Jaguar’s Dream』
ロンドンで生まれ、ナイジェリアにルーツを持つJordan Adetunji(ジョーダン・アデトゥンジ)。幼少期に北アイルランドのベルファストへ移住し、音楽活動を本格的に始めました。彼が生み出す、ラップとギターを融合させた独自のスタイルは瞬く間に注目を集め、TikTokを通じて大きな人気を誇ることに。そんな彼の才能が、Bring Me the HorizonのリードボーカルであるOli Sykesの目に留まり、RCA Recordsとの契約を結ぶことに繋がりました。
しかし、ジョーダンの成功はそれに留まることなく、シングル「Kehlani」のヒットをきっかけに、300 EntertainmentとWarner Records UKと契約。音楽シーンでの勢いを一層強めました。
そして、2025年。彼が待望の2作目となるミックステープ『A Jaguar’s Dream』をリリース。本記事では、「Kehlani」の成功を支えた背景や、新作に込められた想い、そして制作の裏側に迫ります。
レーベル : 300 Entertainment, Warner UK
リリース日 : 2025年1月24日
名前 : Jordan Adetunji
本名 : Jordan Adebowale Adetunji
年齢 : 25歳
出身地 : 北アイルランド、ベルファスト
「Kehlani」の大ヒットとその影響
ジョーダン・アデトゥンジが広く知られるきっかけとなったのが、シングル「Kehlani」です。この楽曲は、アメリカのR&Bシンガー、ケラーニの名前を冠しており、彼女の自信に満ちた姿勢やカルチャーへの影響力にインスパイアされて制作されました。
「ケラーニに関する曲を作るのは、俺にとって迷うことのない決断だった。彼女の自信やカルチャーへの影響力が本当に好きなんだ！ 自信って最高だよね。特に、普通じゃないことに挑戦し、大きな野心を見せる彼女の姿勢が好きなんだ。この曲を自分の部屋で作ったとき、スニペット（短い動画）を投稿したら、その反響がすごくて。すぐに新しいバースを録音して、2日以内に全てのプラットフォームでリリースしたんだ。それが自分にとって自然な流れだったんだよ。」
リリースから3日後には、アメリカ国内でのストリーミング数が11万5000回を超え、さらにケラーニ本人がTikTokにリップシンク動画を投稿したことで人気は爆発。その結果、R&B/Hip Hopチャートで3位、UKシングルチャートではトップ10入りという快挙に繋がりました。そして3ヶ月後には、ケラーニ本人を迎えたリミックスも公開され、ジョーダンは300 EntertainmentとWarner Records UKと契約を結びました。
Jordan Adetunji feat. Kehlani - KEHLANI REMIX
また、この曲はグラミー賞「最優秀メロディック・ラップ・パフォーマンス部門」にノミネートされる快挙を達成し、さらに結婚式のファーストダンスに使われるなど、文化的影響を与えました。アデトゥンジ自身もその反響に驚いています。
ミックステープ『A Jaguar’s Dream』への想い
アデトゥンジは『A Jaguar’s Dream』というタイトルに込めた思いをこう語っています。
ジャガーはどんな空間にも踏み込んで制覇する存在だから、俺も音楽的にすべてを制覇したいと感じている。この作品で、俺がどんな空間に踏み込んでいるのか、そして俺の考えや生き様を見せたかった。音楽で自分の夢を叶え、それを表現するんだ。
本作には、Lil Baby、Bryson Tiller、KWNなど、豪華なアーティストたちが参加しています。アデトゥンジは、数字のためにコラボを強引に決めるのではなく、心から尊敬するアーティストたちとの自然な流れでコラボを選びました。
最高だよ、本当に素晴らしい！多くのコラボは自然に実現した感じがする。数字のために意味のない人たちとコラボしたくなかったんだ。実際に自分が聴いているアーティストたちと一緒にやることに意味があったから、KWNを参加させることができて本当に良かった。それが自然な流れだったんだよ。
収録曲ピックアップ
『Too Many Women』
イギリス出身のアーティスト、KWNが参加したこの楽曲は、Sheck Wesの「Mo Bamba」やLil Nas Xの「INDUSTRY BABY」などのヒット曲を手掛けた実力派プロデューサー、Take a Daytripによって共同プロデュースされました。アデトゥンジは、KWNの音楽に深く感銘を受け、コラボを実現させました。
「KWNを見かけたとき、その音楽に感動したんだ。実は彼女は『KEHLANI』のビデオのリミックス撮影にも参加していたんだ。それから、ニューヨークのバークレイズ・センターで行われたKehlaniのショーで再会し、インスタグラムで声をかけたんだ。彼女はバースをつけてくれて、この形になったんだ。本当にワクワクするものになったね。」
Jordan Adetunji feat. feat. KWN - Too Many Women
『305』
Bryson Tillerが参加し、JNR CHOIのヒットシングル「TO THE MOON」を手掛けたプロデューサー、Parked Upが共同プロデュースを担当。この曲は、ジョーダンのお気に入りの一曲であり、特にMiamiに行くことを夢見て作られました。
これはアルバムの中でも特にお気に入りの曲の一つなんだ。スタジオでDanny CasioとParked Upと一緒にいて、まずメロディを口ずさんでから、それに言葉を乗せていったんだ。でも最初から、この曲はMiamiに行くことを思い描いて作ったもので、その時点ではまだ一度も行ったことがなかったんだよ。
Jordan Adetunji feat. Bryson Tiller - 305
『Options』
2024年10月にリリースされたリードシングル。アデトゥンジは「Kehlani」で話題を呼んだ後、すぐにLil Babyから声をかけてもらい、コラボが実現したことを明かしています。
この曲でLil Babyとコラボできたのも嬉しいことだった。彼は「KEHLANI」が話題になった後、最初に声をかけてくれたアーティストの1人だったんだ。
彼は素晴らしいアーティストで、面白くて、とても頭のいい人物だった。ロンドンで彼に会ったんだけど、その時すごく温かく迎えてくれて、「このまま突き進め」って励ましてくれたんだ。
この曲は、恋愛における選択肢、つまり「オプション」をテーマにしています。アデトゥンジは、自分も相手も選択肢があるけれど、一緒にいるなら他の選択肢は関係ないと言っています。
Jordan Adetunji feat. Lil Baby - Options
R&Bをベースに歌い上げる――自身のルーツを踏まえた曲の数々
『A Jaguar’s Dream』には、彼の多様な音楽的ルーツが反映された楽曲が揃っています。その中でも注目すべきは、彼のナイジェリアのルーツや現代的な音楽シーンに対する独自のアプローチです。
Break The System: アデトゥンジが自身のナイジェリアのルーツを踏襲し、アフロビーツ調のリズムで力強く表現した一曲。リズム感が光るこのトラックは、彼の音楽的アイデンティティを見事に表現しています。
Dirty Diana: こちらは、「KEHLANI」を彷彿とする、疾走感のあるSexy Drill調のビートが特徴的な楽曲。アデトゥンジのセクシーで力強い歌声が、スピード感とエネルギーを与えています。
Attractive: 夢中になっている女性に対する男性の気持ちを歌ったラブソング。ミッドテンポのビートに乗せて、アデトゥンジは透明感のある歌声で感情を表現し、リスナーを魅了します。
TikTokの影響とアーティストとしての未来の展望
『A Jaguar’s Dream』は、全10曲がそれぞれ3分以内でまとめられ、合計でも25分以内で聴き終わるという、非常にコンパクトな構成が特徴です。この短い時間に凝縮された楽曲たちは、現代の音楽消費スタイルにぴったりとマッチしており、そのテンポ感は一気に聴き終えてしまう魅力を放っています。このようなスタイルの背後には、アデトゥンジがTikTokで注目を集めたという事実が大きく関わっていることは間違いありません。
TikTokは、音楽を広めるための強力なツールとなり、短尺の動画がもたらした影響は計り知れません。その可能性を最大限に活かしながら、アデトゥンジはSNS時代における音楽の拡がり方について深い洞察を示しており、彼はこう語っています。
「TikTokを批判する人たちは、おそらく自分が成功していないことに苛立ち、そういった意見を持つんだろう。でも、実際に音楽を広めているのはアルゴリズムじゃなくて、本物の人間なんだ。」
おわりに
『A Jaguar’s Dream』は、Jordan Adetunjiの音楽的ルーツや独自のスタイルがぎゅっと凝縮された素晴らしいミックステープです。全体に流れる洗練されたリズム感は、現代の音楽消費スタイルを完璧に反映させつつも、彼の強いアーティスト性を色濃く感じさせます。
TikTokでの成功をきっかけに注目を集めたアデトゥンジですが、その成功に甘んじることなく、それを一過性のものにするのではなく、むしろ自分の音楽性をより深く、確かなものに磨き上げています。その姿勢は、彼の今後の活動において大きな強みとなり、音楽シーンでのさらなる飛躍を予感させます。
この作品を通じて、アデトゥンジがどのように自らの夢を実現し、音楽シーンを切り開いていくのか。その未来には、ますますの注目が集まることでしょう。
今回紹介した楽曲のDJプロモーション音源はこちら⬇️⬇️⬇️
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