『呪術廻戦』をサンプリング!!日本フリークなMegan Thee StallionのNEWアルバム
テキサス州ヒューストン出身の女性ラッパー、Megan Thee Stallion(ミーガン・ジー・スタリオン)は、ソーシャルメディアでフリースタイルビデオが話題となり、2018年にレーベル、1501 Certified Entertainmentと契約を結びました。
2019年にリリースされたミックステープ『Fever』は、多くの音楽メディアから高い評価を受け、BETヒップホップアワードの「ベスト・ミックステープ賞」を獲得しています。
翌年、2020年に発表されたシングル『Savage』はTikTokでバイラルヒットとなり、数週間後にはビヨンセをフィーチャーしたリミックスが登場。このリミックスの収益金は、彼女たちの故郷であるヒューストンのコロナウイルス救済活動に寄付されました。この曲は、ミーガンにとって全米シングルチャートで初の首位獲得をもたらしました。
さらに、同年カーディ・Bとのコラボシングル『WAP』で再び全米チャート1位を獲得し、年末には待望のデビューアルバム『Good News』を発表。
ミーガンは第63回グラミー賞で、1999年のローリン・ヒル以来となる「最優秀新人賞」を受賞した2人目の女性ラッパーとなり、2020年にはTime誌の「世界で最も影響力のある100人」にも選出されました。彼女の注目度は音楽界を超えて広がり、多くのファンを魅了し続けています。
2022年には、1501 Certified Entertainmentからの最後のアルバム『Traumazine』をリリースし、その後インディペンデントの道を歩み始めました。そして、2024年6月には3枚目のアルバム『MEGAN』を発表。今回の記事では、この最新作に焦点を当て、その魅力を詳しく探っていきます。
レーベル : Hot Girl Productions
リリース日 : 2024年6月28日
名前 : Megan Thee Stallion
本名 : Megan Jovon Ruth Pete
年齢 : 29歳
出身地 : テキサス州ヒューストン
ミーガン・ジー・スタリオン、契約の闘いを終えて独立へ
冒頭でも触れたように、グラミー賞で「最優秀新人賞」を受賞し、Time誌にも選出されるなど、2020年には輝かしい成功を収めたミーガン・ジー・スタリオン。
しかし、その一方で彼女は2018年から所属していたレーベル1501 Certified Entertainmentとの契約に関して問題を抱えていました。この1501 Certified Entertainmentは、元メジャーリーガーのカール・クロフォードが設立したレーベルであり、ミーガン・ジー・スタリオンが瞬く間に成功を収めると同時に、その名を一躍有名にしました。
しかし、成功を収めるにつれて、ミーガンは1501 Certified Entertainmentとの契約内容に不満を抱くようになります。特に、レーベルが彼女の収入の大部分(レコーディング収入の60%、ツアー収入の30%、マーチャンダイズ収入の30%)を取り、その契約の再交渉を拒否したことが問題となりました。これに対抗するため、2020年3月、ミーガンは1501 Certified Entertainmentとカール・クロフォードを訴え、訴訟と一時的接近禁止命令を求めました。
その少し前の2019年、ミーガンはJay-Zが設立したマネジメント会社Roc Nationとマネジメント契約を結びました。この契約は、Roc Nationがキャリアの指導やブランディング、プロモーション活動を担当するもので、彼女にとって大きな転機となり、レーベルとの対立を解決するための重要なステップとなりました。
裁判官はミーガンとRoc Nationを支持し、2020年3月6日に彼女が新たなプロジェクトをリリースすることを認めました。こうしてリリースされたEP『Suga』は、当初デビューアルバムとして発表される予定でしたが、レーベルとの紛争によりEPとしてリリースされました。
また、2021年に発表したコンピレーションアルバム『Something for Thee Hotties』は、彼女が過去にYouTubeでリリースしたフリースタイルや未発表曲を集めたものでした。1501 Certifiedは、このプロジェクトの44分38秒の音源が、彼女とのレコーディング契約で定められた45分に満たないと主張し、この作品をアルバムとして認めないとしました。これにより、ミーガンは『Something for Thee Hotties』に加えてさらに2枚のアルバムをリリースしなければならなくなり、2022年2月18日、ミーガンは『Something for Thee Hotties』がアルバムの定義を満たしていると主張し、レーベルに対してさらに法的措置を取ることとなりました。
2022年8月、ミーガンは2枚目のスタジオアルバム『Traumazine』を発表。訴訟についての発表とともに、音楽をリリースすることの難しさに対する失望と精神的な苦痛を表明しました。
アルバムリリースの翌週、ミーガンは新たな訴えを起こし、契約下での彼女のパフォーマンスに対する認識と100万ドルの損害賠償を求めました。
2023年10月、1501 Certifiedの弁護士は、「ミーガン・ジー・スタリオンと1501 Certified Entertainmentは、法的な相違を解決するために相互に合意に達したことを発表できることを嬉しく思います。合意の一環として、両者は友好的に別れることに同意しました」と発表しました。
これにより、ミーガンは晴れて1501 Certifiedとの契約を解消し、インディペンデント・アーティストとしての新たな道を歩むこととなりました。
Warner Music Groupとのパートナーシップ:ミーガン・ジー・スタリオンの未来
法的手続きが完了すると、ミーガンは音楽とエンターテインメントの会社「Hot Girl Productions」を設立し、自身のInstagramライブでインディペンデント・アーティストとしての活動を開始したことを明かしました。
2024年2月2日、ミーガンはWarner Music Group(WMG)との配信契約を締結。これにより、ミーガンはWMGを通じて配信とリソースを得る一方で、自身の作品のマスターと出版権を完全に所有することとなりました。
WMGのレコーディング・ミュージック部門のCEOであるMax Lousada氏は、ミーガンのこれまでの実績を賞賛し、今後も長期的なキャリアを見据えながらサポートしていくことを明かしました。
収録曲について
今作には全18曲が収録されており、南部のベテランアーティストUGKやBig K.R.I.T.、若手ラッパーのGloRillaやKyle Richh、さらにはシンガーのVictoria Monét、そして日本人ラッパーの千葉雄喜(KOHH名義で活躍)もゲストとして参加しています。
ミーガンは、このアルバムが新たな節目になると語り、プロジェクトのモチーフとして蛇を選んだ理由をこう説明しました。
『HISS』
アルバムのオープニングを飾る『HISS』は、2024年1月にアルバムからのセカンドシングルとしてリリースされました。この曲の歌詞の一部が、トリー・レインズやドレイクに対するディスと見なされ、ファンや批評家の間で話題となりました。
さらに、ミーガンは「ビッチたちはミーガンに怒ってるんじゃなくて『ミーガン法』に怒ってるんだ」とラップしています。
この「ミーガン法」は、性犯罪者が地元の法執行機関に個人情報を提供することを義務付ける連邦法を指しています。このバースは、ニッキー・ミナージュの兄ジェラニ・マラージや夫ケネス・ペティが性犯罪者として登録されていることから、ニッキー・ミナージュに対するディスと解釈されました。
これに対し、ニッキー・ミナージュはシングル『Big Foot』をリリースし、ミーガンの亡くなった母親、容姿、元恋人、そして2020年の銃撃事件について言及し、ミーガンに反撃しました。
しかし、この曲はファンからの評判が悪く、ミーガンへの攻撃は悪趣味だと批判されました。この一連の流れの中で、『HISS』は全米シングルチャートで1位を獲得し、YouTubeで公開されたミュージックビデオはトレンド1位となりました。
Megan Thee Stallion - HISS
『Where Them Girls At』
4曲目『Where Them Girls At』は、ミズーリ州カンザスシティ出身のラッパーKstylisの『Booty Hopscotch』(2014)をサンプリングしています。この曲では、ミーガンは自身の魅力や自信、そして豪快な生活スタイルを歌っています。彼女は自分の外見や友人たちの美しさを誇り、自由な性格をアピールしています。また、お金を稼ぐことや自分の魅力で人々を惹きつけることを強調し、自分のスタイルで生きることを訴えています。
Megan Thee Stallion - Where Them Girls At
Kstylis - Booty Hopscotch (2014)
『Otaku Hot Girl』
7曲目『Otaku Hot Girl』は、日本のTVアニメ『呪術廻戦』のテーマソングをサンプリングしています。そのため、ミーガンは楽曲の歌詞やMVでのコスプレに関して、日本のアニメ制作会社MAPPAから厳しい条件を課されました。自身のInstagramで、彼女はこの曲をリリースするために800万もの障害を乗り越えなければならなかったことを明かしています。
ミーガンは、曲をサンプリングさせてくれたことに感謝し、「不満はない」と述べましたが、MAPPA側がアルバム発売の1日前に名前を変えるよう求めてきたことにショックを受け、解決策を見つけるのは『気が狂いそうだった』とも語っています。
曲中では、『呪術廻戦』の登場人物である虎杖悠仁や五条悟、スクナなどの名前が歌われ、さらに『NARUTO- 疾風伝』シリーズのナルトとサスケにも言及しています。
彼女は五条悟やナルトのようなキャラクターになぞらえて自分の魅力を表現し、自分を超一流の存在として位置づけています。
Megan Thee Stallion - Otaku Hot Girl
呪術廻戦 (2021)
『Paper Together』
12曲目「Paper Together」は、ミーガンの故郷テキサス州出身のラップデュオUGKが参加している曲です。UGKのメンバーであったPimp Cは2007年に33歳で亡くなりましたが、彼の妻であるChinara Butlerは、2019年にミーガンがRoc Nationと契約した際に祝福し、Pimp Cの未発表のバースを提供することを約束しました。この曲には、その未発表のバースが含まれている可能性があり、トラックとそのテーマに影響を与えているかもしれません。
曲中ではお金と権力に関するテーマが歌われています。Pimp Cは女性を利用して金を稼ぎ、ビジネスを進めることを表現しており、ミーガンは自己の価値を認識し、しっかりお金を手に入れることの重要性を強調しています。また、Bun Bはお金を稼ぐことの重要性と、それを実現するための行動を訴えています。
Megan Thee Stallion feat. UGK - Paper Together
おわりに
新作『MEGAN』は、他にもさまざまな曲が収録されています。例えば、TikTokでのダンス動画がバイラルヒット中の『Mamushi』では日本人ラッパー千葉雄喜と共演し、そのエネルギッシュなパフォーマンスが話題を呼んでいます。さらに、Kyle Richhとのコラボレーションによるジャージークラブ調の『B.A.S.』は、クラブシーンを盛り上げること間違いなしの一曲です。そして、ポップなメロディが印象的な『Worthy』では、リスナーを明るい気分にさせる魅力的なサウンドを提供しています。これらの楽曲は、ジャンルの枠を超えて多様な音楽スタイルを取り入れており、聴く者を飽きさせません。
また、『MEGAN』は早くも全米アルバムチャートで3位を記録し、これは2024年にリリースされた女性ラップ・アルバムの中で最も成功したデビュー作となりました。この偉業は、今年リリースされた女性ラップ・アルバムとして初めてのトップ10入りという快挙でもあります。
今、ミーガンは音楽スターとしてだけでなく、起業家としても大きな注目を集めています。ファンや支持者たちは、今後の彼女の活動に大きな期待を寄せており、その成長と成功を心待ちにしています。
ミーガンの革新と独自のスタイルは、次なるステージでどのような驚きをもたらすのか、ますます目が離せませんね。
今後もミーガンの挑戦と進化を見守りながら、彼女のさらなる飛躍に期待したいと思います。
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