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アルバム『Multiverse』をドロップしたWiz Khalifaが自身のキャリアを振り返る

Wiz Khalifa(ウィズ・カリファ)は2008年のシングル「Say Yeah」で世間の注目を集め、Atlantic Recordsからのデビューシングル「Black and Yellow」(2010)は、彼の故郷であるピッツバーグへのトリビュートソングとして全米チャート1位を獲得しました。
同曲が収録されたアルバム「Rolling Papers」(2011)は、全米チャート2位を記録し、その後もT-Pain「5 O'Clock」Snoop Doggとの「Young Wild & Free」など多数のヒット作へゲスト出演を果たしています。

また、2013年に亡くなった俳優ポール・ウォーカーへのトリビュートとして捧げたシングル「See You Again」(2015)は、12週に渡って全米チャートで首位を獲得し、YouTubeでの再生回数は55億回と驚異的な数字を記録しています。

そんな彼が、2022年に7枚目のソロスタジオアルバム「Multiverse」(2022)をドロップ。

ここでは、これまでのキャリアについてウィズ・カリファと共に振り返ります。

レーベル  : Asylum Records, Atlantic Records, Taylor Gang & Taylor Gang Records
リリース日 : 2022年7月29日
名前    : Wiz Khalifa
本名    :    Wiz Khalifa / Cameron Jibril Thomaz
年齢    : 34歳


出身地   :    ペンシルベニア州ピッツバーグ

これまでのキャリアについて

「Roll Up」「No Sleep」などのヒットシングルを擁した前述のアルバム「Rolling Papers」(2011)は、彼の名を全米中に広め、一躍ラップスターの仲間入りを果たした作品となりました。
リリースから10年以上が経ちましたが、ウィズ・カリファにとっても特別なアルバムであったことを明かしています。

俺にとって、本当に特別なアルバムだよ。
あのアルバムで初めて1位を獲得して、まだストリーミングが普及する前だったと思うんだ。
俺の部屋の一角には、あのアルバムで最初にドロップしたシングルのうち4、5曲がすぐにマルチプラチナになったというプレートが飾ってあるんだ。
俺は「よっしゃ!俺たち、すごいことやってるんだな」って。
このラップゲームで、ただやってきて曲を作って去っていくだけでなく、もっと大きなことを成し遂げようとする人間の1人であることを、ちょっと確信したんだ。
そのおかげで、俺は自分の中で一人前になったし、期待も大きくなった。

Wiz Khalifa - Black And Yellow (2011)

こうして、ラップゲームで成功すると確信していたウィズ・カリファは、翌年にアルバム「O.N.I.F.C.」(2012)「Blacc Hollywood」(2014)でR&B/Hip Hopチャートで3作連続で1位を獲得しています。

2015年、彼の代表曲であり、日本人も一度は耳にしたことのある「See You Again」(2015)について「あの曲で俺はこの世のものとは思えなくなった」と明かしています。

あの曲は俺をこの世のモノとは思えないほどにしてくれた。
それまでは普通の人間だったのが「モノ」のように見られるようになったんだ。
1位を獲得した週数は、12週くらいだったと思うけど、ほとんど記録を塗り替えたけど、タイになったんだ。
YouTubeで最もストリーミングされた曲のひとつであり、史上最も視聴された曲になったと思う。
朝起きて「世界で最も視聴される曲を作るぞ」なんてことはないだろうけど、俺にはそれが起こったんだ。
この曲にはとても感謝しているし、背後にあるメッセージは、時代を超越したものなんだ。
それは、人々が喪失感を乗り越えるのを助け、人々を癒し、悲しみを癒すんだ。
残念ながら、そういう状況は常に続くんだけど、その瞬間に心に響く曲があって、その曲の作者として心に響くというのは、本当に大きな特権なんだ。

Wiz Khalifa feat. Charlie Puth - See You Again (2015)

また、ゲスト参加したCharlie Puthについても触れ「彼のイメージを壊したくはないんだけど、ただ、彼をすごく酔わせたことを覚えている」と当時の様子を明かしています。

そう、彼はクールな男なんだ。
彼のイメージを壊したくはないんだけど、ただ、彼をすごく酔わせたことを覚えているんだ。
『See You Again』を練習していた時、ハッパを入れたレモネードを飲んだら すごく気に入ったんだ。
彼のピアノは本当に才能があって、グルーヴを生み出すんだ。
ハイになって、最高にスムーズなグルーヴを思いついたんだ。
俺は「もっと吸えよ」って思ったね。
彼は無邪気でクールで、しかも経験に対してオープンでとても楽しい時間を過ごしたよ。
それがいつも心に残っているんだ。

好きが高じてマリファナビジネスに参入

ウィズ・カリファは、マリファナの日とされる4月20日に合わせて、2020年にEP「The Saga of Wiz Khalifa」をリリースしており、これまでも頻繁にこの日に楽曲を発表するほどの愛煙家で、2016年には自身のブランド「Khalifa Kush」を立ち上げています。

種からマリファナの栽培を始め、ウィズ・カリファ自身がテスト開発をしているこのブランドは、2022年までに全米中で販売され、ある州では医療薬局の棚に並ぶと報じられています。

Khalifa Kush

マリファナ讃歌「Young, Wild & Free」をヒットさせ、ビジネスにも参入した彼ですが、マリファナを正しく使うことで誤解が解けると明かしています。

俺のように自由でオープンな姿を見てくれる人たちがいるから、マリファナを利用しているんだ。
マリファナを吸っている人たちを批判したり、汚名を着せたりする必要はないんだとね。
マリファナには、その特権を乱用する人もいれば、マリファナによってみんなが一つになれるということに関して、正しく行動しない人もいる。
俺の動機が純粋で本物だと知っていれば、俺のそばで楽しく遊ぶこともできるし、すべてが一つになるんだ。

スヌープ・ドッグとの共演で彼の虜に

2012年にはYGTygaなど西海岸出身のラッパーも出演した映画「Mac & Devin Go to High School」で主演を務め、サントラに収録されたシングル「Young, Wild & Free」(2011)は、グラミー賞で「ベスト・ラップ・ソング」にノミネートされました。

彼は、ダブル主演で共演したSnoop Doggについて「思いやりがあって、寛大」だと明かしています。

印象的だったのは、Snoopがいかに思いやりがあって、寛大かということ。
俺は初めて参加したので、何を期待していいのかわからなかったけど、彼は俺の衣装がよく見えるように、そして俺のセリフが俺が演じようとしている人物に合っているように、手を差し伸べてくれたんだ。
俺は、そのようなことを、その道のプロから言われたことがなかったんだ。
でも、彼は純粋に俺が映画で良く見えることを気にかけてくれているのが分かったんだ。

Snoop Dogg & Wiz Khalifa feat. Bruno Mars - Young, Wild and Free (2011)

あまり知られていませんが、Snoop Doggは90年代から30本以上の映画出演をこなしており、初めての経験ばかりで戸惑うウィズ・カリファをリードしていたようです。

また、Snoop Doggには「いい奴になれって教えてくれたんだ」と明かし、仕事以外でも彼の人柄に惹かれたことを明かしています。

Snoopに出会ってから、俺は彼を尊敬するようになったんだ。
彼はとてもリッチで、誰よりもずっとクールだ。
時には、みんなの反応や何かに「自分はこの地位にいるのだから、そうでなければならない」と思うこともあるかもしれない。でも、そうである必要はないんだ。
彼は、金持ちで、有名で、カッコよくて、真のインスピレーションを与えるためには、嫌な奴になる必要はない、いい奴になれって教えてくれたんだ。
Snoopがあれだけカッコいいなら、みんなもカッコいいはずだ、と安心させてくれたんだ。
彼はハードルを上げたんだ。

おわりに

Snoop Doggと出会い、彼の魅力に惹かれたウィズ・カリファですが、俳優としての経験も人間的な成長の糧になったと明かしています。

俳優という職業は、あなたがラッパーであろうと、ミュージシャンであろうと、その分野で人気があろうと、関係なく、時間通りに来て、自分の仕事をしなければならないんだ。
また、みんながいる時間だけそこにいて、本当に仕事をしなければならない。
何も渡されないし、与えられないし、ちょっと違うけど、すごく楽しい。
ラップのスーパースターであることとだけでなく、目的を持っているのが好きなんだ。
でも、俺はビルドするのが好きで、成長するのが好きで、それは俺の成長の一部なんだ。

前述のCharlie PuthSnoop Doggなど、幅広いジャンルのアーティストと共演してきた彼は「人気のある人はみんな好きだよ」と明かすも、現在は自分の作品のインスピレーションになるものを聴いていると語っています。

人気のある人はみんな好きだよ。
IGで聞くクリップの中には、シカゴのNggas、ニューヨークのNggas、フロリダのNggas、アトランタのNggas、デトロイトのNggas、ベイのNggas、たくさんのNggasがいるよね?
そうだろ?
でも俺は、今年に入ってから自分の世界に入り込んで、これから作る音楽のインスピレーションになるようなものばかり聴いているんだ。
すべてを取り入れるのは難しいけど、それが俺の現状だよ。

前作「Rolling Papers 2」(2018)では10組以上のゲストアーティストを迎え、バラエティ豊かな作品になりましたが、約4年振りのニューアルバム「Multiverse」では2組しか参加しておらず「自分の世界に入り込んだ」と自身の世界観を保つためにソロ曲が多いのかもしれません。

次回では、その「Multiverse」の真相に迫ります。

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