衝撃のアートワーク:『PARTYNEXTDOOR 4 (P4)』が引き起こした波紋
今回紹介するPARTYNEXTDOOR(パーティネクストドア)は、ジャマイカ人の母とトリニダード人の父を持ち、カナダ・トロントで育ったシンガーです。彼は、ドレイクのレーベル、OVO Soundと契約した最初のアーティストとしても知られています。2013年にEP『PARTYNEXTDOOR』でデビューし、その後の2016年にリリースされたアルバム『PartyNextDoor 3』は、全米チャートで3位にランクインし、数多くのR&Bファンを魅了しました。
彼は自身の楽曲だけでなく、カニエ・ウェスト、ドレイク、SZAなど、多くの著名アーティストとのコラボレーションで成功を収めています。シンガーでありながら、ソングライターとしても非凡な才能を発揮しており、リアーナの『Work』やDJキャレドの『Wild Thoughts』など、彼が携わった楽曲が全米チャートでトップランクを獲得しています。
そして、2024年4月には彼のキャリア4枚目となるアルバム『PARTYNEXTDOOR 4 (P4)』がリリースされました。本記事では、この最新作に焦点を当て、その魅力に迫ります。
レーベル : Santa Anna Records & OVO Sound
リリース日 : 2024年4月26日
名前 : PARTYNEXTDOOR
本名 : Jahron Anthony Brathwaite
年齢 : 30歳
出身地 : カナダ、トロント
パーティネクストドア、音楽への熱意を再び燃やす
先に触れたように、パーティネクストドアはドレイクのレーベル、OVO Soundに加入して数々の成功を収めてきましたが、これまでリリースされたアルバムは3枚にとどまり、2020年の『Partymobile』以降のフィーチャリング参加曲もわずか3曲となっています。
この活動の少なさは、彼自身が恋愛や人間関係によって音楽制作を疎かにしていたことに起因しているといいます。パーティネクストドアは、自らの能力を十分に発揮していなかったことを認めており、今後は恋愛を控え、音楽活動に集中することで、より質の高い作品を創出したいと考えてるようです。
彼のデビューアルバム『PartyNextDoor Two』(2014年)に収録されている「Her Way」は、リリースから約10年後の2023年にTikTokで大きな注目を集めました。特に、この曲のスピードアップバージョンが、これまでに170万本以上の動画で使用され、バイラルヒットとなったのです。2023年1月には、このスピードアップバージョンが正式にリリースされ、彼の母国カナダで最も人気のあるTikTokの曲として認められ、アメリカでは第3位の人気曲となりました。
この現象により、パーティネクストドアの過去の楽曲のストリーム数は驚異的に増加しました。2022年のアメリカでのストリーム数が6億4580万であったのに対し、2023年には11億にまで増加しました。
PARTYNEXTDOOR - Her Way [Sped Up]
過去の作品からの教訓と、予想外のファンやオーディエンスの増加を踏まえ、PARTYNEXTDOORは新しいアルバムについて、自身のキャリアで最も集中したプロジェクトであり、最も誇りに思っている作品だと述べています。
エイプリルフールのジョーク? 新アルバムカバーが物議を呼ぶ
2024年4月1日にSNSで公開されたPARTYNEXTDOORの新アルバム「PARTYNEXTDOOR 4」のアートカバーは、裸の女性がシーツの上で後ろ姿を向けている姿が描かれており、まるで行為中のようだと話題になりました。発表日がエイプリルフール当日であったため、多くのファンはジョークだと思い込みましたが、翌日にはアルバムの事前注文が開始され、さらに大きな話題となりました。
そして、そのアートワークの女性は、Lanazia Greeneという人物で、彼女はこのアートワークのモデルになる前から、Instagramのアカウント名をMaamiNextDoorで活動しており、20万人以上のフォロワーを抱えるモデルとして活動していました。
このアートワークが公開されると、SNSでは彼女に多くのコメントが寄せられたようです。
物議を醸したアートワークについて、彼女はポジティブに捉えているようで、今回の撮影や経験はドープであると語っています。
収録曲について
約4年ぶりのアルバムであり、自身の名を冠したシリーズの4作目となる今回のアルバムには、全14曲が収録されています。興味深いことに、このアルバムは彼の作品の中で唯一、ゲストアーティストが不在となっています。
『L o s e M y M i n d』
アルバム2曲目『L o s e M y M i n d』は、2024年4月にアルバムからの先行シングルとしてリリースされました。この曲では、ラッパーDMXの代表曲とも言える『Party Up』(1999)のシャウトがサンプリングに使われています。歌詞では、パーティネクストドアが複数の女性との関係に悩み、感情の葛藤や豪華なライフスタイルについて歌っています。また、DMXのクラブアンセムを引用したことで、彼の感情の高ぶりや、同時に女性たちをコントロールできないもどかしさが描かれています。
PARTYNEXTDOOR - L o s e M y M i n d
DMX - Party Up (1999)
※『 L o s e M y M i n d』の1:09〜
『C h e e r s』
4曲目『C h e e r s』は、ドレイクとのレーベルOVO Soundを設立し、グラミー賞では15回以上のノミネート歴を持つ40や、このアルバムの半分以上を手掛け、ドレイクの作品を数多く手掛けたAlex Lustigを含む5名のプロデューサーたちによってプロデュースされました。
この曲では、パートナーと楽しい時間を楽しむことが重要視されています。曲のタイトルにもあるように、一緒に飲み、楽しい時を祝福し、過去のことではなく現在や未来に集中し、お互いを大切にすることが強調されています。また、誤解や問題が生じた場合でも、信頼とコミュニケーションの重要性が示唆されています。
PARTYNEXTDOOR - C h e e r s
『F o r C e r t a i n』
9曲目『F o r C e r t a i n』は、今のトレンドを押さえたアフロビーツ調のナンバーとして仕上がっています。この曲では、ヒット曲を手掛けたOG Parkerや、ナイジェリア出身でDavidoやOlamideなどの楽曲を手がけたKDDOが共同プロデュースに携わっています。
歌詞では、初対面のときは相性が合わなかったけれども、その人に引きつけられる不思議な感情を表現しています。時間が経つにつれて、その人を求める気持ちが強くなり、彼女にしたいという強い願望が歌われています。また、プレッシャーや不安定な感情も描かれており、関係を深めるために努力している様子が描かれています。
PARTYNEXTDOOR - F o r C e r t a i n
『R e s e n t m e n t』
アルバムのエンディングトラック『R e s e n t m e n t』は、2023年7月にアルバムから2枚目のシングルとしてリリースされました。この曲で彼は、裏切りや失望を経験した後の心の痛みと怒りを表現しており、リリックではこれらの感情を深く掘り下げています。それは、人間関係の終わりと新たな自己発見の旅をテーマにしており、聴き手に強い共感を呼び起こす内容となっています。
PARTYNEXTDOOR - R e s e n t m e n t
おわりに
パーティネクストドアの新作は、従来の配給元であったWarner RecordsからSanta Anna Recordsへと移行しました。OVO Soundはドレイクが2012年にWarner Recordsの子会社として設立したレーベルで、以前はTodd Moscowitz氏が共同社長兼CEOを務めていました。
Santa Anna Recordsは、Todd Moscowitz氏がソニー・ミュージックと共に設立した新しいレーベルで、この新レーベルからパーティネクストドアのアルバムがリリースされることになりました。
Moscowitz氏はドレイクとの再協力を喜び、カナダ音楽シーンのさらなる拡大を期待しています。
2010年代に多くの新進気鋭のR&Bシンガーを輩出したOVO Soundが、Santa Anna Recordsとの新パートナーシップを通じて2020年代もその勢いを保てるかは注目の的となっています。
そして、今回のアルバムには、過去の反省と成長、新たな挑戦が込められており、ゲストアーティストを起用せず、自身の才能を最大限に発揮した14曲は、彼の音楽への情熱と進化を如実に示しています。
これからのパーティネクストドアの活躍と、彼がどのように音楽シーンに影響を与えていくのか、今後の展開が非常に楽しみなところです。
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