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Blxst:映画のようなコンセプトアルバム『I’ll Always Come Find You』が話題に
カリフォルニア州ロサンゼルス出身のラッパーBlxst(ブラスト)は、2020年にRed Bull RecordsからリリースしたソロデビューEP『No Love Lost』が一躍注目を集めました。このEPはHeatseekersチャートで3位を獲得し、後にリリースされたデラックスエディションにはTygaとTy Dolla $ignをフィーチャーした『Chosen』が追加収録され、TikTokでバイラルヒットとなり、彼自身初の全米チャート入りを果たしました。
Blxstは『No Love Lost』の成功を契機に、多くのファンに認知されるようになり、Rick Ross、Nas、Chris Brown、YGなどの楽曲にも参加し、フックガイとしてラップシーンで注目の的となりました。2021年には、Coi Lerayや42 Duggらと共にXXL誌による「フレッシュマン・クラス」に選ばれ、その翌年にはケンドリック・ラマーのアルバム『Mr. Morale & the Big Steppers』(2022)にゲストとして参加。このアルバムはグラミー賞「年間最優秀アルバム」を含む8部門にノミネートされるなど、Blxstはさらに多くの注目を浴びる存在となりました。
そして、2024年7月には最新アルバム『I’ll Always Come Find You』を発表。今回の記事では、この最新作に焦点を当て、その魅力を詳しく探っていきます。
レーベル : Evgle LLC, Red Bull Records
リリース日 : 2024年7月19日
名前 : Blxst
本名 : Matthew Dean Burdette
年齢 : 31歳
出身地 : カリフォルニア州ロサンゼルス
コンセプトアルバムへの挑戦:ブラストが創り出す映画のような世界
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現在31歳のブラストは、2000年代を代表するカニエ・ウェストのアルバム『Graduation』と50セントのアルバム『Get Rich or Die Tryin’』に大きな影響を受けたと語っています。
カニエ・ウェストの『Graduation』と50セントの『Get Rich or Die Tryin’』は絶対に言わなきゃいけないね。アーティストが自分のプロジェクトを単なるオーディオ体験ではなく、人生よりも大きなものにするのが好きなんだ。それはより大きな意味を持ち、完全な冒険となる。この2枚のアルバムは、まさにそれを俺に与えてくれたんだ。
ブラストは、お気に入りのアルバムがすべてコンセプトアルバムであることから、自身もコンセプトアルバムを作ることを目標にしていました。さらに、彼は将来的には俳優としても活躍したいという夢を持っていることを明かしました。
ブラストの最新アルバム『I’ll Always Come Find You』は、彼が創り出したキャラクターである「バーディー」を中心に、映画のような世界を描いています。バーディーは、父親の突然の死後に父親の運転手サービスを引き継いだ若者です。ブラストは、過去のプロジェクト『No Love Lost』や『Before You Go』とつながるストーリーで、バーディーという内なる子供のキャラクターと、年を重ねたビッグEというキャラクターを登場させています。
バーディーの物語は、別世界の俺を表しているんだ。俺の以前のプロジェクトに注目してみると、それぞれがストーリーを結びつけ、映像が互いに整合している。それはまるで文章のようにつながっているんだ。『No Love Lost』、『Before You Go』、そして今作『I'll Always Come Find You』。新しいアルバムは、俺の潜在意識の中のさまざまなキャラクターにインスパイアされているよ。バーディーは俺の内なる子供を表しており、そして年上の俺であるビッグEがいる。
アルバムの多くのスキットはそれを生き生きと表現し、君をその世界に招き入れてくれるんだ。俺はディズニー映画の大ファンで、それを音楽に取り入れたかったので、バーディーというキャラクターを思いついたんだ。それはとても理にかなっていて、心に響いたんだ。
『I'll Always Come Find You』で理想のアルバムを実現
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ニューアルバムの制作について、ブラストは、音楽に初めて恋をした子供の頃の自分に立ち返り、そのインスピレーションを引き出すことが大事だったと語っています。
転機は、音楽に恋をした頃の子供の頃の自分に立ち返り、そのさまざまなインスピレーションを引き出したことだと言えるね。『No Love Lost』と『Before You Go』では、自分を象徴するサウンドをうまく作り上げたと思うけど、それが俺の全てではないんだ。『I'll Always Come Find You』では、本当に夢のようなアルバムを作るためのリソースを手に入れることができたと感じたね。夢のようなアルバムとは、コンセプトアルバムのようなものだと俺は思っている。
例えば、(ケンドリック・ラマーの)『good kid, m.A.A.d city』のように、何年も経った後でも、また違った角度からその魅力を感じられる。今回のアルバムでも、ファンにそう思ってもらいたいんだ。
また、西海岸のベテランラッパーであるE-40やスヌープ・ドッグは、新アルバムのスキットを担当しています。ブラストは、彼らが参加したスキットの重要性について次のように述べています。
(スキットは)このアルバムで伝えようとしていることのディテールをより際立たせていると思う。彼らは曲のためにここにいるんだけど、スキットという接着剤があって、それがストーリーを増幅させるんだ。
アルバムコンセプト
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新作には、4つの章にわたって全20曲が収録されており、2 Chainz、Offset、Ty Dolla $ign、Anderson .Paakといったシーンを支えるアーティストから、Joyce Wrice、Amanda Reiferなどのシンガー、さらにはラテン界からBecky Gまで、多彩なゲストが参加しています。
客演について、ブラストは以前はストーリーにぴったりのアーティストを選ぶことが多かったようですが、今回は自分と自然に合うアーティストを見つけることに集中したと明かしています。アルバムに参加してくれたアーティストたちは、彼と個人的に繋がりがあったり、彼の音楽のファンであったりする人々です。
正直、最初は「自然なサウンドって何だ?」って考え始めたんだよね。誰が自然に俺と繋がってくれるか?みたいな。それまでは、「このアーティストはこのストーリーにぴったりだな」って思ってたけど、今回は誰が本当に俺と共鳴してるかを見極めようとしたんだ。だって、みんなに声をかけて、参加してもらうのは大変だからさ。アルバムに参加してるみんなは、本当に俺と個人的に繋がってるか、俺の音楽のファンだったかだね。
ヒーローの旅というコンセプトを見ればわかるけど、常にその旅を進む上でナビゲートしてくれる一人の人物がいるんだ。俺は各フィーチャーをそういう風に捉えてる。彼らは、俺が次のステージに進むのを助けてくれる、旅の途中で出会ったいろんな人たちなんだ。
収録曲について
『Long Way』
3曲目『Long Way』は、バルバドス出身のシンガーAmanda Reiferとのコラボ曲です。ブラストとAmanda Reiferは、ケンドリック・ラマーのアルバム『Mr. Morale & the Big Steppers』に収録された『Die Hard』でも共演し、グラミー賞にノミネートされました。
ブラストは、グラミー賞にノミネートされたエネルギーが活きてる、早い段階で彼女とのコラボレーションを実現したかったと明かしています。
グラミー賞にノミネートされたそのエネルギーをキープしたかった。だから、早い段階で雰囲気を作りたくて、Amandaと一緒に作業したんだ。実は、『Die Hard』の成功以来、お互いに会うのは今回が初めてだったんだ。そして、Sounwaveがこのアルバム全体をプロデュースしてくれた。彼は『Die Hard』も手がけているよ。いい組み合わせだったし、こうしてアルバムをスタートできてよかったよ。
この曲では、ブラストが自身の成功とそれに伴う経験について語っています。彼は成功を収める一方で、周囲の人々が彼を軽んじていた過去を振り返り、名声を手に入れた今でも、過去の苦難や失敗を忘れずに、自分の道を進んでいることを語ります。さらに、Nipsey HussleやDrakeo The Rulerなどの故人に対するリスペクトも表現されています。
Blxst feat. Amanda Reifer - Long Way
『Risk Taker』
8曲目の『Risk Taker』は、Offsetとのコラボレーションで、2024年5月にアルバムからのリードシングルとしてリリースされました。この曲はアフロビーツのリズムに乗せて、リッチでリスクを恐れないライフスタイルを楽しむこと、そして愛する人に最高のものを提供することをテーマにしています。
ブラストは、自分の持つお金や贅沢よりも、愛する人と一緒に過ごすことの方が大切だと歌い上げます。一方、Offsetは、彼女を特別扱いし、豪華な旅行や高価なプレゼントで喜ばせたいと表現しています。このコラボレーションによって、彼らはそれぞれの視点から愛する人を大切にし、贅沢なライフスタイルを楽しむことの魅力を描き出しています。
Blxst & Offset - Risk Taker
『Dance With The Devil』
13曲目『Dance With The Devil』は、アンダーソン・パークとの曲で、2024年6月にリードシングルとしてリリースされました。ブラストは、アンダーソン・パークのアルバム『Malibu』に収録された『The Bird』にちなんで、首に鳥のタトゥーを入れるほどの彼の大ファンだそうです。
俺はアンダーソン・パークの大ファンなんだ。彼は今の自分のアーティスト像に大きな影響を与えてくれた一人だと思ってる。俺が音楽を始めた頃は、プロデューサー、ソングライター、ラッパーとして、すべての音楽制作の部分に手をかけていたんだ。エンジニアリングやミキシングまでも自分でやってた。だから、彼と一緒に仕事をすることは、俺が正しい道を歩んでいるという再確認みたいなものだった。実際、彼のアルバムの一つからインスピレーションを受けて、首にタトゥーまで入れてるんだ。彼をどれほど尊敬しているか、そのタトゥーが物語っていると思う。そして、彼が俺のデビューアルバムに参加してくれたことは、本当に大きな出来事だったよ
曲中では、過去の恋愛に対する複雑な感情と葛藤が描かれています。アンダーソン・パークは、恋人の新しい態度に驚きつつも、その関係を終わらせることが最善だと考えています。一方、ブラストは過去の関係を懐かしみながらも、最後にもう一度踊りたいと思っています。しかし、自分が本当にすべてを尽くしたのかどうかに疑問を感じ、その責任が彼女にあるのだと結論づけます。この曲全体を通して、過去の恋愛に対する複雑な感情と、再びその関係に向き合うことの難しさが表現されています。
Blxst & Anderson .Paak - Dance With The Devil
『I Need Your Love』
18曲目『I Need Your Love』は、Ty Dolla $ignとのコラボ曲で、ハウス調のビートに2人の歌声が乗ったダンサブルなナンバーです。ブラストは、Ty Dolla $ignについて、どのサウンドでもロサンゼルスのスタイルを保ち、多次元的であると語っています。
彼は本当に無限の可能性を持ってるんだ。多次元的な存在でさ。同じ出身地で、どこに行ってもLAのスタイルを貫いてるし、彼を一つの枠に収めるなんてできないよ。何より、彼が模範を示してリードしてくれるところが最高なんだ。みんなが左に行くとき、彼はいつも右に行くんだ。予測不可能な動きをするけど、それが無理やりじゃなくて、自然と完璧にブレンドされてる。そして、そのソウルフルなところも魅力的なんだよね。彼が「クロスオーバー」するたびに、その魂と声のトーンが、俺たちが彼を愛する理由に直結してるんだ。
この曲は、恋愛に対する切実な欲望や感情の葛藤を描いています。歌詞では、ブラストが恋人の愛と理解を求めながら、自己破壊的な感情や欲求に対処しようとしている様子が表現されています。一方、Ty Dolla $ignは現在の瞬間を楽しむと同時に、愛を失うことへの不安を感じています。
Blxst & Ty Dolla $ign - I Need Your Love
おわりに
このほかにも、新アルバムには、2000年代を彷彿とさせるFatman Scoopによる煽りが印象的なノスタルジックなナンバー『Too Many Friday Nights』、FeidおよびBecky Gとのレゲトンナンバー『Rewind』、そして日本人とのハーフで知られるシンガーJoyce Wriceとのスローナンバー『Better Off Friends』など、幅広いサウンドが詰め込まれています。このアルバムは、彼の多彩な音楽スタイルと深い感情を存分に味わえる作品となっています。
ブラストは今回のアルバムについて、「これまでとは全く異なるリソースを使用し、多様な影響や文化を取り入れた」と語っています。
彼の言葉からは、アルバム制作に対する情熱と真摯な姿勢が感じられます。
以前のプロジェクト『No Love Lost』を思い返すと、それは自分の部屋で、ノートパソコンのビートを使って作ったんだ。『Chosen』があんなに成功するなんて、本当に驚いたよ。想像もしていなかった…。そして、今この新しいアルバムで、一周回って全く新しいリソースを手に入れた。ずっと頭の中で夢見ていたものを作り上げるために、相応しい機会を自分に与えたかったんだ。様々な影響や文化を取り入れ、異なるプロデューサーと協力し、世界中を旅してレコーディングすることができた。アルバムの半分はパリとロンドンで録音したんだよ。これは俺の真のデビュー作だから、俺が持っているすべての側面を見せたかった。全部を見せたいんだ。
このように、ブラストの音楽に対する真摯な姿勢は、多くの人々にポジティブな影響を与えています。
そんな彼が若い頃の自分に伝えたいメッセージとは何でしょうか。最後に彼の言葉をお届けします。
"これから何が起こるかわからないよ "と言ってあげたい。 それさえ聞ければ、続けることができると思う。 音楽を始めてからずっと、自分自身を驚かせてきた。 毎日目が覚めると、自分の夢を生きている。 スヌープ・ドッグや50セントの曲の歌詞を覚えるために、リビングに座って歌詞を書き留めていたのを覚えている。 今ではスヌープ・ドッグとの曲("Go To War")もあるし、LAでのショーに彼を呼べるなんて。 今の時点で限界はない。 子供の頃の夢はもう達成した。 だから、若い頃の自分に「がんばれ!」と言いたいね。
ブラストの言葉は、音楽の世界だけでなく、人生のあらゆる場面で私たちに勇気と希望を与えてくれるでしょう。
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