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「俺は作品を発表するたびに進化している」2年振りのアルバムについてその口を開く! A Boogie wit da Hoodie - Me vs. Myself (2022)
ニューヨークの最北端に位置するブロンクスは、ヒップホップのパイオニアであるKRS-OneがDJ Scott La Rockを含む彼のグループBoogie Down Productionsが誕生した地として知られています。
グループ名にちなんでブロンクスは「ブギー・ダウン・ブロンクス」と呼ばれ、大学の世論調査ではブロンクス区民の4割がこの愛称を好んでいるようで、ブロンクスとヒップホップは切っても切れない関係にあることがうかがえます。
今回紹介するA Boogie wit da Hoodie(エイ・ブギー・ウィット・ダ・フーディ)もブロンクス出身のラッパーで、名前の「A」は彼のファーストネームの略で「Boogie」は彼の故郷にちなんだ「ブギー・ダウン・ブロンクス」から引用し「wit da Hoodie」は彼が常にパーカーを着ていることに由来しています。
そんな彼が、約2年振りとなるアルバム「Me vs. Myself」(2022)をドロップ。
ここでは、このアルバムについて解説します。
レーベル : Atlantic Records & Highbridge The Label
リリース日 : 2022年12月9日
名前 : A Boogie wit da Hoodie
本名 : Artist Julius Dubose
年齢 : 27歳
出身地 : ニューヨーク、ブロンクス
ドレイクとアルバムリリース日が重なり延期に
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前作のアルバム「Artist 2.0」のリリースから数日後、次のアルバムに関する情報をツイートしており、この時点でアルバムタイトルが決定していたようです。
アルバムをサポートしてくれているみんなに感謝するよ。
俺がこれでやろうとしていることをみんなが尊重してくれて嬉しいね🖤
俺をカテゴリーでくくることはできないよ!
アーティスト性😉が全てだ。
今年は「A boogie VS Artist」をドロップしたいんだ。
でも君が準備ができている場合のみね。
幽霊になる前に、君の耳を真っ直ぐなアートで溢れさせたいね🖤
Thanks to everyone supporting the Album.I’m glad you guys respect where I’m going with this shit🖤YOU CANT PUT ME IN A CATEGORY! ARTISTRY😉is EVERYTHING
— ABOOGIEWITDAHOODIE (@ArtistHBTL) February 24, 2020
I wanna drop A boogie VS Artist this year. But only if ya ready.Before I go ghost I wanna flood your ears with straight ART🖤
その1年後、Lil Durkをフィーチャーしたシングル「24 Hours」(2021)をリリースし、これが今作のリードシングルとなりました。
また、2021年にリリースされたEP「B4 AVA」にも「24 Hours」は収録され、このEPに収録された「Man in the Mirror」も今作に収められるなど、このEPはアルバムの前哨戦的な位置づけとなりました。
A Boogie Wit Da Hoodie feat. Lil Durk - 24 Hours (2021)
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A Boogie Wit Da Hoodie - Man in the Mirror (2021)
2022年4月、シングル「Playa」をリリースし、同日にH.E.R.が参加したリミックスもリリース。
このリミックスは、今作のボーナストラックとして収録されており、Big Punの名曲「Still Not a Player」(1998)のリリックが引用されています。
A Boogie Wit da Hoodie feat. H.E.R. - Playa (2021)
Big Pun feat. Joe - Still Not a Player (1998)
2022年9月、Instagramでアートワークとアルバムリリース日が11月4日であることを公開。
しかし、発売日がDrakeと21 Savageのアルバム「Her Loss」と重なることが判明し、自身のインスタグラムのストーリーで変更を明らかにしました。
申し訳ないけど、アルバムは12月にドロップすることになったんだ。
Drakeは同じ日にドロップしていたから、それと一緒はちょっとね😭
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10月には、Roddy Ricchをフィーチャーしたセカンドシングル「B.R.O. (Better Ride Out)」をリリース。
これまでにも度々コラボレーションしていたRoddy Ricchについて、彼は次のように語っています。
俺らのケミストリーは他と比にならない。
そう意味では彼はLil Durkに似ている。
ケミストリーはクレイジーで、どの曲も常に盛り上がっているね。
俺とRoddyは2日か3日でテープを作ることができた。
俺たちにとってメロディーを作るのは簡単すぎるんだ...
俺と一緒にプロジェクトをする人はみんな、文字通り1週間で終わらせるよ。
A Boogie Wit Da Hoodie feat. Roddy Ricch - B.R.O. (Better Ride Out) (2022)
続けて同月に、Tory Lanezをフィーチャーしたシングル「Take Shots」(2022)をリリース。
この曲は、Wizkidを手掛けるKofoとP2Jがプロデュースしており、現在世界的に注目を集めるアフロビーツに目を向けていることが見て取れます。
A Boogie Wit Da Hoodie feat. Tory Lanez - Take Shots (2022)
11月にはヒットメーカーWheezy、Don Cannonらがプロデュースしたシングル「Ballin」をリリース。
A Boogie Wit Da Hoodie - Ballin (2022)
アルバムについて語る
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2020年のアルバムリリース以降、シングルをリリースするたびに、新作アルバムを待ち望むファンからのコメントが次々と寄せられていたようです。
これについて彼は、ファンのためにリリースしたい気持ちがあること、申し訳ないと思っているが現実的には難しいと語っています。
Instagramにシングルをドロップしても「アルバムはどこ?」って言われ、アルバムをドロップしたら「次のアルバムはいつ出るの?」っていうコメントがあるんだ。
来年はファンのために次々にドロップできるといいんだけどね。
長い間待たせるのは嫌だし、自分勝手なのはわかってるけど、そんなことはできない。
そんなに長い間、ファンに怒られるわけにはいかないんだ。
また、前作から2年が経ち、この間に3通りのアルバムを作っていたようですが、完成には至らず、やっとできた今回のアルバムの出来に満足しているようです。
俺たちはついにこれをやったんだ。やっとここまで来たんだ。
このアルバムは3回くらい作ったんだけど、どのアルバムもいいものになりそうなところまで来てね、今は最初の2バージョンよりもっと良くなっているよ。
ニューアルバムは、全22曲が収録され、前述のLil Durk、Roddy Ricch、Tory Lanez、H.E.R.に加えKodak Black、G Herbo、Don Qがゲスト参加。
トラックリストを見ると、1曲目が「Artist」、2曲目が「A Boogie」として分かれていますが、これについてエイ・ブギーは次のように解説しています。
トラックリストを見ると、1曲目がArtistの曲で、2曲目がA Boogieだね。
つまり、文字通り俺対俺なんだ。
違うキャラクター同士が背中合わせになってるんだ。
EP(2021年のB4AVA)で初めて、A boogieとArtistを分けたんだ。
こっちに3曲、あっちに3曲と入れたね。
今回は、ファンに実際のバトルを聴いて、気分転換をしながら聴いてもらいたいと思ったんだ。
アルバム4曲目で、A Boogieサイドの「Water (Drowning Pt. 2)」は、彼の代表曲「Drowning」(2017)の続編で、前作に続いてKodak Blackをフィーチャーしています。
また、今後MVも撮影されるようで、近日中に公開されるかもしれません。
これはパート2みたいなものなんだ。
Kodakと俺は今、ダイヤモンドレコードを作りたいと思っててね。
だから「Water」に関しては「Drowning」と同時にダイヤモンドにするつもりなんだ。
今回はビデオを一緒に作って、両方のファン結びつけるつもりだよ。
みんなに言っていたけど「この曲がメインになるんだ。この曲で勝負だ」ってね。
だから、この曲のために頑張るつもりだよ。
A Boogie Wit da Hoodie feat. Kodak Black - Water (Drowning Pt.2)
A Boogie Wit Da Hoodie feat. Kodak Black - Drowning (2017)
おわりに
前作「Artist 2.0」では、ビートにピアノを多く取り入れていましたが、今作ではギターの音色が目立っています。
これについて「ピアノはもう飽きた」と、ひとつの楽器を探求することに限界を感じたようです。
わざとやった、嘘をつくつもりはないよ。
なぜか人に寂しい思いをさせるのが好きなんだ、クソみたいにわがままなんだけどね。
アルバムを作ろうと思った時に楽器ごと切り替えたのは「ピアノはもう飽きた。このテーマはギターでやるんだ」ってね。
この先もアルバムごとに、テーマを(新しい楽器で)切り替えていくつもりだったんだけど、何かひとつをやりすぎるのは嫌だったんだ。
また、今作と6年前にリリースしたデビューミックステープ「Artist」(2016)とを聴き比べてもらいたいと言い、彼はリリースごとに自身の成長を実感してきたようです。
アルバムごとに一歩も二歩も前に進んでいるような気がするよ。
ファンの中には昔の曲を好む人もいるよ。
その当時の思い出があり、その音楽が永遠に結びついているからね。
でも、実際はもっと良くなっているんだ。
ファンのみんなには、最初のミックステープ「Artist」をかけた後「Me Vs. Myself」を聴いてほしい。
クオリティも言葉遊びも、すべてが良くなっていることを約束するよ。
同じ人間とは思えないだろうね。
これまでにリリースした全てのアルバムが全米チャートトップ5入りを果たし、そのメロディアスなラップスタイルで多くのオーディエンスを虜にしてきたエイ・ブギー・ウィット・ダ・フーディ。
作品を発表するたびに進化していると語ったニューアルバム「Me vs. Myself」で、その成長ぶりをチェックしてみてはいかがでしょうか。
今回紹介した楽曲のDJプロモーション音源はこちら⬇️⬇️⬇️
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