ダイアナ妃をモチーフにしたアートワークが印象的な新作アルバム!! SZA - SOS (2022)
SZA(シザ)のデビューアルバム「Ctrl」(コントロール)(2017)は、全米チャートで3位を記録し、5枚のシングルすべてが(RIAA)によりプラチナ以上の認定を受ける大ヒット。グラミー賞では「最優秀新人賞」を含む5部門でノミネート、音楽誌ローリングストーンの「史上最高のアルバム500枚」に選出されるなど、鮮烈なデビュー作となりました。
また、リリースから5年後の2022年には、新曲7曲を収録したデラックスエディションを発表し、ケンドリック・ラマーとの2018年のシングル「All the Stars」はグラミー賞で4部門にノミネートされるなど、多くのオーディエンスが唯一無二の歌声に酔いしれました。
そんな彼女が、このたび5年振りにセカンドアルバム「SOS」(2022)をドロップ。
ここでは、このアルバムについて解説します。
レーベル : RCA Records & Top Dawg Entertainment
リリース日 : 2022年12月9日
名前 : SZA
本名 : Solána Imani Rowe
年齢 : 33歳
出身地 : ミズーリ州セントルイス
リリースに至るまで
2020年、自身の作品としては3年振りにThe Neptunesがプロデュースし、
Ty Dolla Signが客演参加したシングル「Hit Different」をリリース。
(アルバム未収録)
この曲のリリースの少し前、シザは自身のレーベルTop Dawg Entertainmentの代表であるパンチが新曲のリリースを意図的に遅らせているとTwitterで主張し、そして彼らとの関係を「敵対的」と呼び、Twitterで「#FreeSZA」というハッシュタグを作成するほどに険悪な雰囲気となっていました。
そんな中、ようやくリリースされたこの曲について「抱えきれないものがあったから、何か自分の気持ちをみんなと共有したかったんだ」と明かし、作品を公開できないことへの不安を吐露しました。
SZA feat. Ty Dolla $ign - Hit Different (2020)
また、この曲のMVの最後にはアルバムからのリードシングル「Good Days」の一部が収録され、同年のクリスマスにシングルとしてリリース。
イギリスのシンガーJacob Collierがバックコーラスを務めたこの曲は、全米チャートで自己最高位の9位を記録し、意外にもシザにとってソロでは初のトップ10入りとなりました。
グラミー賞の「最優秀R&Bソング」部門にもノミネートされたこの曲について、彼女は「私たちが皆つながりを見つけ、感じようと奮闘していることを思い出させてくれる」と明かしています。
SZA - Good Days (2020)
2021年、 Doja Catとのシングル「Kiss Me More」は、世界各国のチャートで上位にランクインし、グラミー賞では3部門にノミネートされました。
その中で「ベスト・ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞」を受賞し、ドージャとSZAの両者にとって初のグラミー賞受賞となりました。(アルバム未収録)
同年、アルバムからのセカンドシングル「I Hate U」(2021)をリリース。
この曲は8月にSoundCloudで突如公開され、12月にストリーミングプラットフォームで正式にリリースされました。
リリースと同時に全米のSpotifyとApple Musicのストリーミングチャートで首位を獲得し、Apple Musicでは初週に女性アーティストによるR&B楽曲の最多ストリーミング記録を更新しています。
SZA - I Hate U (2021)
また、シザはイギリスで毎年開催されている野外フェス「Wireless Festival 2022」でこの曲を披露し、女性たちがフック部分の「F*ck You~♪」を大合唱するなど、海外でも高い人気があることが伺えます。
2022年10月、アルバムから3枚目のシングル「Shirt」をリリース。
この曲は、前述のシングル「Good Days」のMVの後半でも一部公開されていたほか、リリース前に彼女のInstagramで動画を公開していました。
TikTokでは、彼女のファンアカウントがこの動画のショートバージョンを再投稿し、1270万再生、170万「いいね!」を獲得し、話題となりました。
当時、シザは曲名を明かしませんでしたが、ファンが「Shirt」と仮に命名すると、彼女は「それがいいと思う」と答え、曲名が決定しました。
MVには巨匠Dave Meyersが監督し「I Hate U」にも出演していた俳優LaKeith Stanfieldが出演しています。
SZA - Shirt (2022)
アートワークはダイアナ妃にインスパイアされた?
11月、シザはアルバムタイトル「SOS」のフットボールシャツを着た今作のアートワークをTwitterで公開。
このジャケットについて、編集された写真ではないかと多くの人が推測しましたが、後にドイツの写真家Daniel Sannwaldが撮影したもので、1997年に休暇中のイギリスのダイアナ元妃がパパラッチに撮られた写真がモチーフになったと明かされています。
タイトルの意味とアルバムについて
タイトル「SOS」については、自身のニックネームから取ったようで、その意味についてシザが語っています。
そんな裏話もあった彼女の新作は、前述のリードシングル3曲を含む全23曲を収録し、Travis Scott、Ol’ Dirty Bastard、Don Toliver、Phoebe Bridgersがゲスト参加しています。
アルバム2曲目「Kill Bill」は、アルバムのほぼ全曲を手掛けたRob Biselと、Post Malone、Swae Leeの「Sunflower」やシザの前作のアルバムも手掛けたCarter Langがプロデュース。
どこか「Sunflower」に似た、ダサかっこいいビートと彼女の歌声がマッチした1曲となっています。
SZA - Kill Bill
6曲目「Blind」は、リードシングル「Shirt」のMVの後半でも披露されており、ギターの音色に合った、彼女のメリハリのある歌声が心地よい1曲です。
SZA - Blind
13曲目の「F2F」は打って変わってロック調のナンバーで、音楽界で最も仲の良い友人の1人であるLizzoが作詞を担当した曲です。
SZA - F2F
14曲目の「Nobody Gets Me」は、アルバムから4枚目のシングルで、リリースと同時にMVが公開されました。
この曲は、元婚約者との出来事について歌っているようで、シザは次のように明かしています。
SZA - Nobody Gets Me
20曲目「Open Arms」は、前作のアルバムから「Love Galore」でも共演したTravis Scottがゲスト参加。
この曲は、彼女の祖母であるNorma Roweの言葉から始まりますが、シザはこの曲のリリースのちょうど3年前、2019年に祖母を亡くしています。
おそらく、シザは最愛の祖母がくれた良いアドバイスの数々を回想しており「Love Galore」や「Garden (Say It Like Dat)」など他の曲でも祖母のアドバイスを取り入れているようです。
SZA feat. Travis Scott - Open Arms
おわりに
今作でも、シザはナイーブな感情をさらけ出し、女性ならではの目線で歌っており、それが同性からの圧倒的な支持を得ているようです。
また、彼女は早くも今作のデラックスエディションの制作を考えているようで、彼女のインスタグラムのストーリーでは、TDEのパンチとのメッセージのやりとりを公開しています。
ここでパンチは、「デラックスエディションに何曲追加したいか」と尋ねていて、シザは「笑…たくさん」と答えており、かなり期待ができそうです。
ともあれ、23曲も収録されているので、まずはじっくりと聴いて、彼女が伝えたいことへの理解を深めてみてはいかがでしょうか。
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