自身のコンプレックスを武器に・・・ニューアルバムをリリースしたLizzoに迫る
ポップからR&B、ネオソウルまで、複数のジャンルにまたがる音楽スタイルを持つLizzo(リゾ)。
シングル「Truth Hurts」が、全米チャート1位を獲得し、メジャーデビューアルバム「Cuz I Love You」(2019)は、グラミー賞2部門にノミネートされました。
2021年にはNo.1フィメールラッパーの呼び声が高いCardi Bとのシングル「Rumors」をリリースするなど、常に多くのオーディエンスから注目を集めています。
そんな彼女が、約3年振りのニューアルバム「Special」(2022)をドロップ。
ここでは、彼女の魅力とこれまでのキャリアについて振り返ります。
レーベル : Nice Life Recording Company, Atlantic Records
リリース日 : 2022年7月15日
名前 : Lizzo
本名 : Lizzo / Melissa Viviane Jefferson
年齢 : 34歳
出身地 : ミネソタ州ミネアポリス
ミッシー・エリオットに影響を受ける
ミシガン州デトロイトで生まれたリゾは、10歳の時にテキサス州ヒューストンに移住し、フルート奏者としてクラシック音楽を学びます。
また、14歳の時に友人たちとラップグループCornrow Cliqueを結成し、この時にJay-Zの「Izzo」からとって、現在のステージネームのLizzoというニックネームがついたようです。
また、当時チャートを席巻していたフィメールラッパー"Missy Elliott"に大きな影響を受けたと語っています。
その後、彼女は音楽の奨学金でヒューストン大学へ入学し、さらにフルートのスキルとクラシック音楽をさらに深めました。
フルートは彼女のキャリアに欠かせないもののようで、Instagramにはフルート用のアカウントを開設しているほか、また自身のアルバムの中でもフルートを演奏しています。
21歳の時に、父親の死をきっかけに音楽業界に飛び込もうと、1年に渡って車中泊の生活を送り、友人に「音楽シーンがきっと気に入るだろう」と勧められた、ミネアポリス郊外のエディーナに移住。
そこでは、ある夜はパンクバンドのオープニングアクト、次の夜にはエレクトロニックバンドとコラボレートするなど、様々なジャンルのショーに出演し、下積み時代を経験します。
また、Princeで有名になった伝説のライブハウス、ファースト・アベニューでライブを行った際には、準備のために映画「Purple Rain」を観て、映画の中でプリンスがしたように手漕ぎボートでミネトンカ湖の真ん中に行き、身を清めたとか。
こうして、日々ライブをこなす彼女は、3人組女性ラップグループThe Chaliceを結成し、2012年にはアルバム「We Are the Chalice」をリリースし、地元で脚光を浴びることとなります。
また、グループでの活動の傍ら、ソロ活動も行っており、2013年にアルバム「Lizzobangers」をリリースし、シングル「Batches & Cookies」はYouTubeで100万再生を記録しています。
Lizzo feat. Sophia Eris - Batches & Cookies (2013)
同年に、シンガーのHar Mar Superstarとアメリカとイギリスでツアーを敢行し、Time誌はChance the Rapperと共に「2014年に注目すべき14人の音楽アーティスト」の1人に選出。これをきっかけに、アルバム「Lizzobangers」はVirgin Recordsから再リリースされました。
2014年には、Princeが発表したアルバム「Plectrumelectrum」でゲストに抜擢され、翌年にリゾはセカンドアルバム「Big Grrrl Small World」(2015)をドロップ。
Spin誌はこのアルバムを「2015年のベストヒップホップアルバム50選」の17位に選出しました。収録曲で自身の肌の色を歌にした「My Skin」について、彼女は次のように明かしています。
Lizzo - My Skin (2015)
2016年にAtlantic Recordsと契約を交わしたリゾは、初のメジャーデビューEP「Coconut Oil」(2016)をリリースし、これがローリングストーン誌の「2016年のベスト20ポップ・アルバム」で14位に選出されました。
アルバムに収録された「Good as Hell」は、2019年にラジオ・シングルとして再リリースされ、全米シングル・チャートで3位、YouTubeでは初リリースから3年後には1億回再生されるなど、話題となりました。
Lizzo - Good As Hell (2016)
リアーナ以来の快挙を達成!
2019年にはメジャーデビューアルバム「Cuz I Love You」をリリースし、全米チャート4位を記録。
大胆なヌード姿のアートワークについて本人は次のように話しています。
このアルバムのデラックス盤に収録された、「Truth Hurts」は、2017年に発表されたシングルながら、Netflix映画「Someone Great」(2019)に収録されたことで人気を集め、2019年の全米シングルチャートで1位を獲得。
黒人ソロの女性R&Bシンガーとしては、2012年にヒットしたRihannaのシングル「Diamonds」以来となる全米シングルチャート1位を獲得する快挙となりました。
また、このアルバムはグラミー賞の「ベスト・アーバン・コンテンポラリー・アルバム」部門を受賞し、リゾを一躍スターダムへと押し上げました。
しかし「Truth Hurts」のリリース時の2017年、彼女のキャリアはドン底にあり、アーティストを辞めようとしていたことを明かしています。
Lizzo - Truth Hurts (2017)
幼少期から悩んでいた体の大きさを武器に・・・
子供の頃から体格に悩んでいた彼女は、メインストリームで注目されるようになり、「ボディ・ポジティブ」の提唱者となりました。
「ボディ・ポジティブ」とは、体の大きさや体型、肌の色、性別、身体能力などに関係なく、すべての体を受け入れることに焦点を当てた社会運動です。
そのためリゾは、サイズ14号以上(日本サイズだと17〜19号)の女性で構成され、アクロバティックな動きで観客を熱狂させるプロのダンスグループThe Big Grrrlsをバックダンサーに起用しています。
おわりに
2020年8月、リゾはアマゾン・スタジオと制作契約を結び、2022年に放送された新プロジェクト「Lizzo's Watch Out for the Big Grrrls」を発表しました。
これは13人の女性が、番組のホストでもあるリゾのダンサーになることを競うアメリカのリアリティテレビシリーズで、プライムタイム・エミー賞では、「優秀コンペティション番組」部門を含む6部門でノミネートされています。
こうして次々と活躍の場を広げてきたリゾは、体の大きさや、肌の色など自身のコンプレックスを逆手にとり、その歌唱力とキャラクターで多くの女性を虜にしてきました。
リゾがよく口にする『マジック』は、キャリアをあきらめかけた最悪なタイミングで彼女に訪れ、成功へと導いたのでした。
次の記事では、そんな彼女の3年振りのニューアルバム「Special」について解説します。
今回紹介した楽曲のDJプロモーション音源はこちら⬇️⬇️⬇️
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