「アフリカと世界をつなぐ音: バーナ・ボーイの "I Told Them..." アルバム解説」
ナイジェリア生まれの歌手Burna Boy(バーナ・ボーイ)は、アフリカのアーティストの中でも国際的に高い評価を受けており、彼の4枚目のアルバム「African Giant」(2019)は、グラミー賞の「最優秀ワールド・ミュージック・アルバム」にノミネートされ、続く5枚目のアルバム「Twice as Tall」も、同賞を受賞しました。
2022年には6枚目のアルバム「Love, Damini」をリリース。このアルバムは、アフリカ出身のアーティストとしては初めて、全米アルバムチャートでの最高位デビューを果たしました。その成功により、2023年にはローリング・ストーン誌によって「史上最も偉大な200人の歌手」の1人に選ばれました。
そして、2023年8月、彼は自身7枚目のアルバム「I Told Them...」をリリース。この記事では、彼の最新作に焦点を当て、詳細を掘り下げてみたいと思います。
レーベル : Atlantic Records, Bad Habit Records, Geffen Records, On A Spaceship Records, Simple Stupid Records & Ztekk Records
リリース日 : 2023年8月25日
名前 : Burna Boy
本名 : Damini Ebunoluwa Ogulu
年齢 : 32歳
出身地 : ナイジェリア
アルバムのリリースに至るまで
2023年6月、ロンドンのスタジアムでバーナ・ボーイのコンサートがあり、8万枚のチケットがすぐ売り切れました。彼はイギリスのスタジアムでメインのアーティストとして公演した最初のアフリカ人となり、ロンドンスタジアムの公式アカウントも彼の偉業を称えました。
バーナ・ボーイは、これに対して以下のようにSNSに投稿しました。
同月には、アルバムからのリードシングル「Sittin’ On Top Of The World」をリリース。
この曲は、R&BシンガーBrandyのシングル「Top of the World」(1998)を大胆にサンプリングしたもので、Brandyのセカンドアルバム「Never Say Never」(1998)に収録されています。
さらに、同じ月には21 Savageがゲスト参加したリミックスが発表され、アルバムにはリミックスバージョンのみが含まれています。
Burna Boy feat. 21 Savage - Sittin’ On Top Of The World
Brandy feat. Mase - Top Of The World (1998)
7月に、セントクリストファー・ネイビス出身のアーティスト、Byron Messiaがニューヨークのラジオ局でも注目を浴び、シングル「Talibans」のリミックス「Talibans II」をリリースしました。この曲は、バーナ・ボーイのアルバムからのセカンドシングルとして提供され、アルバムにはボーナストラックとしても収録されています。
Byron Messia & Burna Boy - Talibans II
アルバムについて
「I Told Them...」というアルバムタイトルは、バーナ・ボーイが自身の過去のツイートを思い返し、かつての言葉が現実化していることに気づいた瞬間の感動から生まれました。
ニューアルバムには、全15曲が収録されており、J. Cole、Dave、GZA、RZAなどがゲストとして参加しています。このアルバムに関して、バーナ・ボーイは、自身と彼のチームが感じていることを、より理解しやすい方法で表現することができたと語っています。
収録曲について
「Normal」
2曲目の「Normal」は、Afrobeats調の要素を取り入れつつも、対照的な重いベース音が絶妙に調和し、クラブで踊りたくなるような爽やかなトラックに仕上がっています。
この曲のプロデューサーは、Spotifyで13億回以上のストリーミング数を誇るBad Bunnyの「Tití Me Preguntó」を手がけた、ブルックリン生まれのプエルトリコ系ドミニカ人プロデューサー、MAGです。
Burna Boy - Normal
「Cheat on Me」
6曲目の「Cheat on Me」は、2023年にCentral Ceeとのコラボシングル「Sprinter」が公開からわずか3ヶ月で1億回再生を記録した、イギリス出身のラッパーDaveをフィーチャーしています。さらに、「Cheat on Me」は、同じくイギリス出身のシンガーKwabsの2015年の楽曲「Cheating on Me」をサンプリングしており、そのタイトルからも想像できるように、元ネタに大きくインスパイアされています。
Burna Boy feat. Dave - Cheat On Me
Kwabs - Cheating On Me (2015)
「Big 7」
8曲目の「Big 7」は、アルバムからの3枚目のシングルで、7月に先行リリースされました。この曲は、硬いドラム音を特徴としながらもR&Bの要素を取り入れ、軽快なAfrobeatsスタイルに仕上げられています。さらに、この曲はオランダのラップデュオQlas & Blackaの「Willemstad」(2020)をサンプリングしており、早回しされたコーラスが心地よいグルーヴを生み出しています。
曲のタイトル「Big 7」は、おそらく彼の7枚目のアルバムに関連していると考えられますが、それ以上の深い意味や背景についての情報は提供されていません。
Burna Boy - Big 7
Qlas & Blacka feat. Boechi - Willemstad (2020)
「Thanks」
14曲目の「Thanks」は、アメリカのラップスターであるJ. Coleをフィーチャーしています。バーナ・ボーイは、今年はじめに行われたJ. Coleのレーベルが主催する「Dreamvilleフェス」で彼と共演し、その経験からJ. Coleに深い魅力を感じたと語っています。
Burna Boy feat. J. Cole - Thanks
おわりに
バーナ・ボーイの今作には、Brandyを含む多くの楽曲がサンプリングされ、10曲目の「City Boys」ではJeremihのヒットシングル「Birthday Sex」を使い、異なる音楽シーンに意識的にアプローチし、より幅広いオーディエンスにアピールしようという試みが見受けられます。
この試みは、彼が自分をきちんと理解してもらい、さらに高く評価してもらいたいという強い願いから始まりました。彼は単なる評価ではなく、納得のいく意義深い評価を求めているようです。特に、彼の母国ではそのような評価を得るのが難しいと感じているようで、彼は競争や利害を超えた真心のこもった評価が最も価値があると考えています。
また、早くも新アルバムが前作「Love, Damini」の成功を越え、UKアルバムチャートで1位になったことは、彼の世界的な成功と進化を明確に示しています。
アトランティック・レコードUKの副社長、Austin Daboh氏の発言によれば、バーナ・ボーイの成功の背後には、彼の音楽的な成長だけでなく、彼のチームやレーベルとの強固な協力関係があることが伺えます。
「I Told Them...」、バーナ・ボーイの最新アルバムを紹介させていただきましたが、いかがでしたか?
このアルバムを通して、彼の音楽的な進化や世界的な成功が鮮明に感じられたと思います。
アフリカの伝統と現代のグローバルなビートを融合させた、彼のサウンドは、彼の豊かな才能と情熱を明確に示し、聴く人々に感動を与えてくれました。
バーナ・ボーイがこれからもユニークな作品を提供してくれることを、私たちは楽しみにしています。
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