平均年齢は53歳!!西海岸のOG達がタッグを組んだアルバム!! MOUNT WESTMORE - SNOOP CUBE 40 $HORT(2022)
西海岸の重鎮であり、アメリカのラップカルチャーに欠かせないSnoop Dogg(スヌープ・ドッグ)、Ice Cube(アイス・キューブ)、Too $hort(トゥー・ショート)、E-40がスーパーラップグループMOUNT WESTMORE(マウント・ウエストモア)を結成し、アルバム「SNOOP CUBE 40 $HORT」をドロップしました。
ここでは、このアルバムについて解説します。
レーベル : Def Jam Recordings & MNRK Music Group
リリース日 : 2022年12月9日
名前 : WESTMORE
結成 : 2020年
メンバー : Ice Cube, Too $hort, E-40, Snoop Dogg
彼ら4人の功績とは?
彼らのアルバムに触れる前に、これまでのウエストコーストヒップホップについて簡単におさらいしておきましょう。
西海岸のシーンは、80年代に東海岸ヒップホップの台頭を受けて、ギャングスタラップの先駆者で知られるIce-Tがデビュー、社会現象となったN.A.W.の躍進が、今日の西海岸のラップカルチャーの礎となりました。
90年代に入り、N.A.W.のメンバーであるDr. Dreがアルバム「The Chronic」で1990年代の西海岸サウンドの特徴となるGファンクを誕生させます。
さらに、Dr. Dreの秘蔵っ子スヌープ・ドッグやアイス・キューブ、2Pacなど、現在のラップシーンに欠かすことのできない人物がソロキャリアで成功し、その人気は、東海岸ラップシーンを凌駕することになりました。
また、オークランド出身のトゥー・ショート、E-40は、80年代からベイエリアのラップシーンを牽引し、2000年代にはE-40のシングル「Tell Me When to Go」(2006)が彼ら独自の「ハイフィー」サウンドを全米中に広め、2Pacの死後勢いを失っていたシーンに再び勢いを与えることに成功しました。
グループの結成、アルバムのリリースに至るまで
2020年、このスーパーラップグループはパンデミックの隔離期間中に意気投合し、グループを結成したとトゥー・ショートは明かしました。
この時期に共作できたことで新たなチャンスが生まれ、50曲ほどをレコーディングしたと、トゥー・ショートは続けます。
一方、スヌープ・ドッグはグループの立ち上げについて「これは完璧なタイミングなんだ」と明かしています。
2021年10月、スヌープ・ドッグのDef Jamのコンピレーションアルバム「Snoop Dogg Presents Algorithm」のリリースと合わせて、シングル「Big Subwoofer」をリリース。(アルバム未収録)
MOUNT WESTMORE – Big Subwoofer (2021)
2022年6月、この曲を含むデビューアルバム「BAD MFs」をDeath Row Recordsよりリリース。
このアルバムは、ブロックチェーン上のNFTとして独占的にリリースされました。
収録曲について
このアルバムについて、アイス・キューブは1バースずつのレコーディングだったため、苦労することはなかったと語っています。
アルバムの2曲目「Motto」は、ハイフィーのパイオニアと言われる名プロデューサーRick Rockがプロデュースし、ベイエリアらしいサウンドに仕上がっています。
MOUNT WESTMORE - Motto
続く4曲目の「Too Big」は、イントロにDr. Dreが参加し、ベイエリア出身の若手注目株P-LOがプロデュースとゲスト参加しています。
MOUNT WESTMORE - Too Big
5曲目の「Activated」は、G-Funkサウンドを全開にした曲で、曲中でのトークボックスがより西海岸らしさを感じさせます。
また、DJ Battlecatがエンジニアを務めており、得意のトークボックスも公にはされていませんが、彼のものかもしれません。
MOUNT WESTMORE - Activated
ヒップホップの年齢差別の現状を語る
西海岸のレジェンドが集結した今作は、Dr. DreやRick Rock、DJ Battlecatなどの名プロデューサーが名を連ね、往年のヒップホップヘッズにはたまらない1枚となりました。
また、このアルバムでアイス・キューブは若い世代のアーティストに模範を示し、ファンを大切にすることの重要性を伝えたかったようで、単にアルバムをリリースするだけでなく、さまざまな側面を持っているようです。
「若手の見本」を掲げる彼らの平均年齢は53歳のベテランであり、輝かしい功績の裏で年齢差別を受けてきたようです。
トゥー・ショートは、なぜヒップホップだけがあからさまな年齢差別を受けるのかと疑問を呈しています。
30年以上のキャリアを持ち、シーンの発展に大きく貢献してきた彼だからこそ、ベテランを蔑ろにするような誤ったカルチャーが根付かないために、自分たちに何ができるかを模索しているようにも感じられます。
また、西海岸のラップシーンの最重要人物である4人は、それぞれが若い世代の手本であり、彼らの作品はヒップホップカルチャーの未来を導くものであると感じられます。
彼らのラップシーンへの思いが詰まったこのアルバムに、是非触れてみてはいかがでしょうか。
今回紹介した楽曲のDJプロモーション音源はこちら⬇️⬇️⬇️
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