栄光への道：GloRillaのデビューアルバム『GLORIOUS』の全貌
テネシー州メンフィス出身のラッパー、GloRilla（グロリラ）は、2022年にHitkiddとのコラボシングル『F.N.F. (Let's Go)』をリリースし、TikTokで驚異の140億回再生を記録、一気に注目を集めました。この曲は彼女にとって初の全米チャート入りを果たしただけでなく、グラミー賞にノミネートされる快挙を成し遂げ、彼女のキャリアにおける大きな飛躍のきっかけとなりました。その勢いを受け、メンフィスのベテランラッパーであるYo Gottiが主宰するレーベル、Collective Music Group (CMG)との契約が実現しました。
さらに同年9月には、カーディ・Bとのコラボシングル『Tomorrow 2』を発表し、全米チャートトップ10にランクイン。このヒットにより、彼女が一発屋ではないことを証明し、11月にはこの2曲を含むEP『Anyways, Life's Great』をリリースしました。
2023年には、ミックステープ『Ehhthang Ehhthang』を発表。その中からMegan Thee Stallionとコラボした『Wanna Be』や『Yeah Glo!』がシングルカットされ、いずれもR&B/Hip Hopチャートでトップ10に入るヒットを記録。また6月には、XXL誌の『フレッシュマン・クラス』に選出され、次世代のフィメールラッパーとしての地位を確固たるものにしました。
そして、2024年10月には、待望のデビューアルバム『GLORIOUS』をリリース。この作品を通じて、GloRillaがアーティストとしてどのように進化し、独自のスタイルを確立してきたのかをより深く掘り下げていきたいと思います。彼女の音楽の魅力、そしてその背後にあるストーリーにぜひご注目ください。
レーベル : Interscope Records, CMG
リリース日 : 2024年10月11日
名前 : GloRilla
本名 : Gloria Hallelujah Woods
年齢 : 25歳
出身地 : テネシー州メンフィス
学ぶことの重要性：グロリラの成功法則
近年の音楽シーンでは、SNSをきっかけに新たなアーティストが次々とブレイクしていますが、その一方で「一発屋」として終わってしまうことも多く、持続的なヒットを生み出す難しさが浮き彫りになっています。そんな中、グロリラはTikTokでのバイラルヒットを起点に、Don Toliver、Lil Durk、Latto、Ciaraといった著名アーティストたちと次々にコラボを実現し、目覚ましい活躍を遂げています。
彼女は成功の秘訣について「失敗や経験を通じて学ぶことが重要」と語り、最初は多くのことを知らなかったものの、経験を積むことで成長し、次に何をするべきかが見えてきたと振り返っています。
失敗から学ぶの。人生とは、いろいろなことを経験し、次に何をすべきか、何をすべきでないかを知ることよ。人生とは学び続けるということね。私がブレイクした最初の1年は、わからないことがたくさんあったわ。学ぶためには、経験する必要があったの。そのおかげで、私はより良いアーティストになれたわ。今では何をすべきか、何をすべきでないかを知っているからね。
グロリラはまた、「業界にはあまり友達がいない」と明かしつつも、Megan Thee Stallionとは特別に親しい関係を築いています。彼女が語るには、「飛行機に乗る前にMeganがFaceTimeで電話をくれて、ユーモア溢れる会話をしたのがきっかけで親密になった」のだとか。この友情は公私にわたって続いており、2024年にはMeganのツアーのオープニングアクトに抜擢され、彼女からは「物事にあまり左右されないこと」を学んだと話しています。
さらに、グロリラは彼女のレーベルのボスであるYo Gottiからも重要なアドバイスを受けており、その厳つい外見とは裏腹に学びと経験を重んじる姿勢が感じられます。
Gottiは私に『気を抜くな。常にアクセルを踏み続けろ』と言ってくれたわ。一瞬でも気を抜くと、すべてが坂道を転げ落ちるように落ちていく…成功は、継続性と長く続けられるかどうかにかかっているの。
グロリラの栄光：デビューアルバム『GLORIOUS』の裏側
2022年から2023年にかけて、グロリラはグラミー賞やBETアワードへのノミネート、フレッシュマン・クラスへの選出といった輝かしい成果を収め、2024年には待望のデビューアルバムをリリースするに至りました。
もともとは昨年にデビューアルバムを発表する予定でしたが、多忙のため延期に。まずはミックステープをリリースし、リスナーに再び自分の存在を感じてもらいたいという意図があったようです。
去年、本当はデビューアルバムを出す予定だったんだけど、まだいろんなことに慣れていなくて、すごく忙しかったの。年明けにはプロジェクトはほぼ完成してたんだけど「まずはアルバムの前にミックステープを出さなきゃ」って思ったの。1年間何もリリースしてなかったからね。だから、ミックステープを先に出して、みんなに自分をもう一度感じてもらって、それがアルバムの準備になるって考えたの。ミックステープはうまくいったし、アルバムへの準備としても成功したと思うわ。
新アルバム『GLORIOUS』は、直訳すると「栄光」を意味します。グロリラはこのアルバムについて、強い自信を持っており、世界に向けて自らの成功を示す意図で『GLORIOUS』というタイトルを選んだと語っています。
2024年9月にアルバムのアートワークが先行公開されると、ファンからはキーシャ・コールの『The Way It Is』やリアーナの『Music Of The Sun』といった2000年代のアルバムを彷彿とさせると話題に。ミームが次々と作られ、彼女自身もレトロな雰囲気を意識していたと語ります。
ジャケットを考えていたとき、派手すぎず、ちょっと懐かしい感じを出したかったんだ。それが本当に自分らしいし、まさにそのイメージを目指していたんだよ。彼らはすぐにそのイメージをキャッチしてくれたんだ。
収録曲について
新作『GLORIOUS』には全15曲が収録され、エグゼクティブプロデューサーをYo Gottiが務めています。客演には、Megan Thee Stallion、Latto、Sexyy Redなど、今をときめくフィメールラッパーが参加。また、Muni Long、Fridayy、BossMan Dlowといったアーティストも加わり、制作には40組以上のプロデューサーが関わっています。
『HOLLON』
2曲目に収録された『HOLLON』は2024年9月にリリースされたグロリラの先行シングルで、Unkの「Hold on Ho」をサンプリングした楽曲です。このトラックは、南部特有のヒップホップビートと激しいハイハット、ホーンサンプルを取り入れた2000年代のクランクを彷彿とさせる仕上がりで、彼女独自のアップテンポなエネルギーが強調されており、すでにクラブヒットしています。
歌詞では、自己主張や自信、仲間との連帯感、さらに大胆なライフスタイルをテーマにしており、他者の期待に応じることなく自分のスタイルを貫く姿勢が描かれています。この曲でグロリラは、力強くも楽しげな雰囲気を伝え、リスナーに強いエネルギーを与える内容となっています。
GloRilla - Hollon
Unk feat. Baby D, DJ Montay & Parlae - Hold on Ho (2006)
『TGIF』
4曲目『TGIF』は、2024年6月にアルバムから最初のシングルとしてリリースされ、R&B/Hip Hopチャートで5位にランクインするなど、リリース直後から注目を集めました。
この楽曲の「It's 7 p.m. Friday / It's 95 degrees / I ain't got no nigga and no nigga ain't got me」(「午後7時、気温は35度、私に男はいない、私は誰のものでもない」)というバースがTikTokで広まり、16万本以上の動画で使用されるなど話題を呼んでいます。
さらに、この楽曲の人気をさらに押し上げた要因として、リアーナがこの曲でダンスする動画をSNSに投稿したことが挙げられます。彼女の隣で呆れた表情のA$AP Rockyが映っているこの動画は、Instagramで1億7000万回以上再生され、『TGIF』のバイラルヒットに貢献しました。
『TGIF』では、グロリラが女性の自信と自由なライフスタイルをテーマに、自らの魅力を存分に表現し、他人の嫉妬や批判を気にせずに進む強さを強調しています。彼女はパーティーを楽しみながらも男性との関係に縛られず、自分の楽しさを優先する姿勢を貫いています。
GloRilla - TGIF
『DON’T DESERVE』
7曲目『DON’T DESERVE』は、Muni Longとのコラボレーションにより生まれた楽曲で、2000年代を彷彿とさせるメロディアスなビートが特徴です。Muni Longのソウルフルな歌声が際立ち、アルバムの中でも特に魅力的な一曲となっています。
歌詞では、女性同士の友情と支え合いがテーマになっており、友人がふさわしくない男性と付き合っていることを心配し、彼女に自分の価値を認識させて悪い関係から抜け出すよう励ます内容が描かれています。友情の大切さや女性同士の絆が強調され、ポジティブなメッセージと共に、力強い女性像が浮かび上がる一曲です。
GloRilla feat. Muni Long - DON’T DESERVE
『HOW I LOOK』
10曲目『HOW I LOOK』は、業界内でも親しいMegan Thee Stallionとのコラボレーション曲で、プロデューサーにはFutureやDaBabyのヒットを手掛けたGo Grizzlyが参加しています。この楽曲は、2人の迫力あるラップが際立ち、自分にふさわしくない関係を断ち切る強い女性像を描いています。余計な争いを避け、自分を大切にして前に進む姿が表現され、他人に流されず自分を信じて行動することの大切さが力強く伝わってきます。
GloRilla feat. Megan Thee Stallion - HOW I LOOK
『QUEEN OF MEMPHIS』
アルバムのラストを飾る『QUEEN OF MEMPHIS』は、グロリラと同じく「フレッシュマン・クラス2023」に選出されたFridayyとのコラボレーション曲です。プロデューサーには、Ciara、Ludacris、The Notorious B.I.G.などのヒット曲を手掛けたJazze Phaが起用され、Fridayyの歌声を引き立てる爽やかなビートが印象的です。
この楽曲では、2人が過去の苦難や妬みを乗り越えて成功を掴んだ姿が描かれています。グロリラは仲間への思いと成功を願い、Fridayyは孤独や失った人々を胸に神への感謝を表明し、強く生きる決意を示しています。
GloRilla feat. Fridayy - QUEEN OF MEMPHIS
おわりに
『GLORIOUS』は、グロリアの情熱と個性が存分に表現された、魂のこもった作品です。アルバムを通して感じられるのは、彼女が掲げる「他人に流されず、自分の道を貫く」というメッセージ。その意志の強さが、楽曲全体に生き生きと響き、リスナーの心を力強く揺さぶります。
歌詞には自己主張、友情、愛といったテーマが多面的に描かれ、日常の葛藤や成功を通して成長していく彼女の姿が、鮮やかに浮かび上がります。また、メンフィスで培った彼女の誇りと、音楽業界での試練を糧に成長し続けるその姿勢は、他の女性アーティストたちとの連帯感と共鳴し、互いを支え合う絆が彼女をより一層強くしています。
『GLORIOUS』には、彼女が同世代の女性たちに贈る力強いエールが込められており、まさに「栄光」への新たな一歩。その先に待つ未来と、そこから響くメッセージがどのようなものになるのか、ますます期待が高まります。
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