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自動ってことは、定刻になったら勝手に出発するの?

事務局のハラマルです。
自動運転について、私にでも分かるような資料があると、誰かの役に立つのではないか?ということで、関係者の方などに聞いて私なりに理解した内容を、できるだけ分かりやすく伝えていくというチャレンジです。
今回も、個人的な意見や感想を述べさせてもらっています。


バス事業者の方たちが気にしていること

この自動運転EVバス実証に関して、乗車された方、乗車しようかどうか迷っておられる方といった「利用者」側の方からは、バス乗車時やバス停付近で御案内しているときに、多くの質問をいただいています。

多くの方が気にされているようなことに関しては、noteにまとめてきましたので、是非、そちらを御覧いただければと思います。

一方で、バス事業者の方や、市町職員、視察の関係者など、将来的に自動運転サービスを「提供」される可能性がある側の立場の方などとも、多くの方と意見交換させていただきました。

それぞれで気になる箇所は様々だと思います。
が、特に、この質問は特徴的です。利用者側の方からは滅多に聞かれませんが、バス事業者の方から多く聞かれています

「無人になった場合、発車時刻になったら勝手に出発するんですか?」

よく考えてみると

ただ、質問の内容をよく考えてみると、「発車時刻になったら発車する」というのは非常に当たり前のことです。
「じゃなかったら、いつ発車するの!?今でしょ!」(古い…)と言われても仕方ありません。

しかしですよ。
バス事業者の方が気にされているのは、「発車時刻に機械的に発車するようになったら困るんじゃないかなぁ?」という思いがあるからこそではないでしょうか?
これを気にされるということは、つまり、バスの運転手さんたちは、普段、とても気を遣って運転されているということなんだと思います。

例えば。
通学でいつもバスを使っている生徒がバス停にいなかったら。
「あれ?今日は遅刻かな?休みかな?」と気にされながら、時間ギリギリまで待ってあげる。
バス停に走って向かっている人が見えたら、その方たちが乗車できるように待ってあげる。

きっと、そういったことを普段からされているからこそ、「時間通りに発車しても大丈夫なのか?」という疑問になるのでしょう。

一方で、時刻表どおりに運行しないと、会社や電車に遅刻する人がいるかもしれません。だから、ダイヤを守るということも、非常に重要なミッションです。

乗っている乗客のためにも時刻表を守る、乗れなくて困らないように新しい乗客にも配慮する、そうした気遣いを、バランスを取りながら、職務に当たっていらっしゃるのでしょう。

どうでも良い話ですが、私が昔やったスーパーファミコンの某ゲームで、味方全員が爆発に巻き込まれそうになっていて、脱出時間の本当にギリギリまで待ったら、途中犠牲になった仲間が戻ってくるというイベントがありました。
私はカウントダウンのプレッシャーに耐え切れず、全滅を恐れて、ギリギリまで待ってあげることができませんでした(笑)

なんか、そんなことを思い出しました。
私が運転手だったら、ダイヤを守ることにハラハラし過ぎて、全然気を遣うことはできないだろうな…。

で、答えは?

さて、それで、自動運転バスが無人になったときに、どうなるのか?について、マクニカ社の方に、フランスではどうなのか聞いてみました。

時間になったら自動で発車します。」というのが答えでした。

確かに、乗客の顔を覚えるということができるという乗客数、バス停に向かって走っている人が見えるという環境であれば、いろいろ運転手が気を遣うことができるかもしれません。
が、日本でも、都市部の地下鉄なんかでは、そんな気遣いするようなこともできずに機械的に発車しています。
そりゃ、システマチックにしたら、そうか。

でも、どうにかならないんでしょうか?
例えば、遠隔監視員が遠隔で見ていて、バス停に走って向かっている人を見かけたら、少し発車を遅らせるとか?
いやいや、1人の遠隔監視員が複数台の運行を監視するようになったら、とてもそんなことできないですね。

車両本体にはそんな機能がないので、例えば、外付けで、バス停付近を見ているカメラにAIを組み込んで、「発車時間に遅れそうだから走っている」人を見つけることができるようになれば、待ってあげるということはできるかもしれません。
でも、そんな機能、誰も開発していなさそうですね…。

じゃあ、こんな人間的な温かみのある対応は、もう終わってしまうんでしょうか?
私が思うに、「いや、そういう路線は、人間が引き続き運転した方が良いです。」が答えではないかと思います。

なぜ無人運転に挑戦しようとしているかというと、運転手不足でこのままいくと、路線バスが全然維持できないからです。
でも、だからといって、急に全ての路線を無人運転にできるわけではありません。向いている路線、向かない路線と言うのが当然あります。
無人運転に向いている路線を機械にやらせ、人間は、人間が運転すべき路線を運転する、というのが正しい姿なのではないでしょうか

そう考えると、例えば、今回実証している市街地の循環線なんかは、(今後バスが複数台になったら)○分置きに運行しているので、遅れても次の便があります、ということで機械的に出発しても良いような気もします

一方、特定の方が乗車されることが想定されているような路線や便なんかでは、今日は乗る/乗らないの意思表示をするような、例えばデマンド型もあるでしょうし、運転手が気を遣うという従来の方法もあるかもしれません。

デジタルにした途端、人間の温かみがなくなるのではないかという心配をされる方が多くいらっしゃると思います。
ですが、実際にはそうではなくて、デジタルがやるべき部分と、人間がやるべき部分をきちんと役割分担して、補完し合うというのが理想の姿だと思います。

まとめ

自動運転EVバスは、無人運転になったら、きっと、発車時刻どおりに機械的に発車するようになると思います。

けれど、それで全ての路線を無人運転に置き換えるわけではありません。
人の温かさが必要とされている路線は、人が担っていく、そのためにもその他の負荷は軽くしていく、そういう方向でデジタル技術の導入は進んでいくと期待したいです。

それと、バスの運転手さんたちの、日頃の気遣いを改めて認識しました。
いつもありがとうございます。