スマートバス停って何?
事務局のハラマルです。
自動運転について、私にでも分かるような資料があると、誰かの役に立つのではないか?ということで、関係者の方などに聞いて私なりに理解した内容を、できるだけ分かりやすく伝えていくというチャレンジです。
今回も、個人的な意見や感想を述べさせてもらっています。
甦る苦い思い出
スマートバス停について説明する前に、何でこういうことを考えたのか、というきっかけになった、苦い思い出を紹介します。
確か数年前のことだったと思いますが、私はいつものように、レノファ山口FCのホーム戦観戦のために、電車に乗ろうとしていました。(みんなも、公共交通機関を使って観戦に行こうね!)
電車を待っていると、予定時刻になっても電車がやってきません。
おかしいな…?とは思いましたが、私が利用する最寄りの駅は、無人駅ですし、次の電車の発車時刻を示す電光掲示板にも、何の注意書きも表示されていません。
なので、しばらく大人しく待っていると、予定時刻よりだいぶ遅れて電車がやってきました。
が、どうやら私が待っていた駅でしばらく停車するようです。
車掌さんらしき人に、何があったのか聞いてみたところ、「え?ホームページに書いてあると思うから、それを見て」と言われました。
え…?HP?慌ててHPを見てみましたが、何も書いていません。
「HPに書いてないんですけど…」と言おうと思ったら、もう車掌さんはどこかに行っていました。
しばらくするとHPが更新され、確か、信号のエラーか何かで、確認のために運休する、復旧見込は未定、という記載が表示されました。
それを見て、私もようやく事態を把握し、超ダッシュで一旦帰宅し、そこから自家用車でみらスタに向かい、無事に試合観戦はできました。
試合観戦に間に合ったから良いものの、冷静に考えると、通常通りに電車が来るものと思い込んで駅まで来ている乗客が、わざわざHPを見て「私が待っている電車はちゃんと来るかな?」と確認するっていう行動は取らないだろうな、でも、無人だったらどうやってお知らせをしてもらえば良かったんだろうか…?と、いろいろ考えてみたことがありました。
自動運転バスのプロジェクトの御案内を頂いた際に、この経験を思い出しました。
バスの場合も、バス停に案内人がいるわけではないから、急に運休とかあったらどうやって乗客にお知らせしたら良いんでしょうか?
「ちゃんとバスが来るかどうか、HPで確認してください」しか手段がないのでしょうか…?
なぜスマートバス停?
と言っても、具体的な解決策のアイデアなど持っている訳でもなく、ぼんやりとどうにかならないのかなぁと考えていたのですが、とあるデジタル技術の展示会で出会ったのが「スマートバス停」でした。
この「スマートバス停」を使えば、バス停に来られている方に対して、リアルタイムで情報を届けられるじゃないですか!
しかも、良く説明を聞いてみると、全てのスマートバス停に対して一斉に情報更新をかけられるとのことで、バス停がいくつあったとしても、瞬時に情報伝達することが可能です!
これはすごい!
これがあれば、「不安があればHP見てください」だけでなく、過去の私のように、HPを見ることを思いつかないような「既にバス停に来ていて、ちゃんと時刻通りバスが来るものと思い込んでいる人」にも、急な運休等があれば、その情報をお伝えできるじゃないですか!
ということで、早速、「スマートバス停」を提供されているYEデジタル社さんに飛び込んで、いろいろ情報交換させていただきました。
スマートバス停とは
いろいろお聞きしたスマートバス停について、整理してみます。
まず、スマートバス停は、バス停をデジタル化したもので、既に全国でも導入が進んでいるそうです。特に、北九州市なんかでは、西鉄バスさんが大規模に導入されているようです。
「バス停をデジタル化」と言うと、バス停に貼り付けてある紙の時刻表がデジタル表示になる、というイメージを持つかと思います。
まぁ、そうなんですけどww、それだけでなく、通信環境も備わっていて、クラウドで管理されています。
そうすることによって、何ができるようになるかと言うと、先ほど説明したような、急なお知らせなども全てのスマートバス停に一斉に配信することができます。
また、普段の利用においても、今の時間帯だけ、時刻表の文字を大きく表示することができます。
バス停の時刻表って、大抵は表形式で、横に文字を追っていかないといけないのですが、間違った時間帯の時刻を見ることも防げます。
もちろん、外国語表記や外国語併記(数秒ごとに切り替え)もできます。
それから、緊急時だけでなく、平常時にも、いろいろなお知らせを表示することもできます。
例えば、今回の実証では、徳山駅前に設置していますが、自動運転バスの乗り場とは少し離れているため(理由は後程説明します)、バス停の位置を最初に目に入るようにしています。
自動運転バス実証のチラシも表示しています。
交通結節点であれば、他の交通手段の時刻表を表示することもできます。
このスマートバス停一つで、乗り継ぎまで確認できたら便利ですよね。
そうして、こうした画面設計が、自由にカスタマイズできるんです。
今回も、YEデジタルさんと相談しながら画面設計をしました。
最初、私は、この機能を皆さんに伝えたいという思いから、例えばJRとの乗り継ぎや、その他の情報も含めていろんな情報を表示しようと思いましたが、作ってもらったサンプルがセンスなさ過ぎでww
分かりやすく言うと、関係のないポスターが乱雑にたくさん貼られているようになって、何が何やら分からなくなってしまいました。
そこから、ここはこうした方が良いよ、といったアドバイスをいただき、修正していただいて、現在の画面設計に落ち着きました。
いろいろできるからと言って、全てをやったら良いかというと、そうじゃないですよね。まずは、どんな情報をお伝えするべきか、が重要ですね。
新しいデジタル技術を使おうとすると、ついつい欲張ってしまいますが、まずは、今回は実証実験であることをきちんと伝える必要があります。
さらに、全てのバス停を一斉に情報更新できるということは、ダイヤ改正時等のバス事業者の手間が大幅に軽減されます。
バスのダイヤ改正は大変な作業です。なぜなら、全てのバス停で時刻表が違うので、全てのバス停に貼り付けてある時刻表を全て個別に用意した上で、全て貼りかえる必要があります。
高速バス路線があれば、高速道路上のバス停までも行く必要があります。
噂に聞いたところでは、とあるバス事業者さんは、ダイヤ改正の度に、社員総出で夜中に作業をして、炊き出しをしていた、という話もお聞きしました。
そんな作業が、事務所のPC操作一つでできるようになるんです…。
この省力化は大きなメリットだと思います。
花火大会や夏祭りなどで、特定の日だけ、ダイヤが変わるという際も、バス停に掲示物を貼りに行く必要はありません。
そして、バス停の利用者も、見やすく分かりやすい、となると、言うことありませんね!
そして設置したスマートバス停
というようなことから、スマートバス停を設置してみたい!と思ったのですが、生憎、元々想定していなかったので予算がありません。
YEデジタルさんに、すみません、お金がないんです、と正直にお話ししました。
そうしたら、何と、御厚意で、実証期間中に躯体を無料でお借りさせていただけることとなりました!大変感謝です。
ただ、設置したい徳山駅前に、電源を取ることが可能な箇所が限られており、その中で仮設置可能な場所、ということになりました。
この結果、徳山駅前の在来線から出て「みゆき口」の階段を下りた先に仮設置させていただきました。
今回の実証で良い成果が出れば、本設置ということも考えられるので、その際は、もっとちゃんとした形での設置を検討したいです。
設置場所も、どこが一番良いのか、ということも考えてみたいです。
自動運転EVバスに乗車される方も、そうでない方も、通りがかった際には、このスマートバス停を見ていただき、興味を持っていただければと思います。
また、県内の交通事業者や行政の方にも見ていただき、他の地域での導入に繋がれば、と思います。
今回取り組んでいるのは自動運転EVバスの実証ですが、こうした周辺のデジタルサービスの実証という意味合いもありますので、皆さん、アンケートで感想を教えていただければ幸いです。