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「やまぐちデザインシンキングカレッジ」アドバンストプログラム・最終発表会

デジテック運営事務局のちえぞうです。
年末年始はいつもより長めのお休みだったという方も多いのではないでしょうか。旅行に行かれたり、趣味の時間を過ごされたり、家族との時間を楽しまれたり、いつもは出来ない整理やお掃除をされたり…。または、日頃の疲れを癒すため、のんびりリラックスのお正月を過ごされた方もいらっしゃるかと思います。
今年は巳年。蛇は脱皮を繰り返すことから、新たな挑戦や変化に前向きになる年とされています。今年も1年頑張りましょう~!


「アドバンストプログラム最終発表会」開催

12月25日、やまぐちDX推進拠点「Y-BASE」で、アドバンストプログラムの最終発表会が開催されました。

第1期、第2期に引き続き、講評者として慶應SDMの白坂成功教授、県CIO補佐官の関治之さん、また村岡知事にご出席いただきました。年末のお忙しい中、おいでくださり大変ありがとうございました。

最初に、慶応SDMの広瀬先生から、アドバンストプログラムについて改めて振り返っていただき、受講生の皆さんはこの受講を通して、システムとして考える「システム思考」とデザイナーのような視点で考える「デザイン思考」を学び、習慣として「イノベーティブ思考が出来るようになった状態」となっているというお言葉をいただきました。
この約4か月間、民間企業や行政、学生など様々な分野の受講生が5チームに分かれて、3つの地域課題に取り組んできました。各チームとも、果たしてどんなアイデアが生まれたのか、発表順にご紹介します。

子育て家族をつなぐソリューションのご提案

最初に発表したのは、チーム「TOBFY(トヴファイ)」。
テーマは「デジタルを活用して、山口県で子育てしたいと思ってもらうためには? ~日本で一番子育てし易い県を実現する~」に取り組みました。

その解決策アイデアとして発表されたのが、家族ぐるみの出会いを実現するマッチングアプリ「TOBFY(トヴファイ)」です。
まず、課題として「近所付き合いが薄い」「親同士の連絡が取りにくい」など、子育ての「孤独」の問題に着目しました。

このソリューションでは、性格診断をし相性の良い家族とマッチングを行うことで共通の価値観を見出し、山口県の良さを生かすアクティビティを一緒に体験することで、家族が繋がり共感し合いながらお互いの価値を高めあうサービスを提案しました。

講評では、課題と分析がとてもしっかりしているというお言葉をいただきました。今後はデジタルを使った近接性がとても重要なポイントになるので、知らない家族同士をマッチングできる可能性としてこのソリューションはとても有効的ということと、さらに試してみてブラッシュアップしてほしいというコメントをもらいました。

狂い咲くやまぐちへ脱出プロジェクト

2番手は、チーム「柔らかサンタクロース」。テーマは「山口県を行くべき場所だと思ってもらうためには?「山口県に行ったことないの?マジで?」を実現する」に取り組みました。

まず、山口県の若者流出などの課題を上げ、解決策として、皆さんの本音を引き出すにはどうするかの方法として、「酔っ払っているとき」に着目しました。

カメラ付きタブレットから、酔っ払いの本音を収集し、公表できる情報なのかどうかセキュリティも担保した上で、アバター音声加工して蓄積する。集まった情報はウェブ上で公開し、山口県の課題を解決したいという人が集まり、将来的に事業化につなげる、というソリューションを提案しました。

講評では、酔っぱらいの本音を事業化するという視点がとても面白いということで、まずはどんなものが集まるのか公開するだけでも面白いし、それをどう編集して使うか、事業化していくかについても、新たな視点が見つかる可能性があるなどの意見をいただきました。

ラーケーションと言えば山口県!

3番手は、チーム「ギリギリ共育カンパニー」。テーマは「デジタルを活用して、「ラーケーションと言えば山口県!」と言われるようになるためには?~子どもたちが普通の日に家族と一緒に探求の学びを深めることを実現する」に挑戦しました。

山口県では「家族でやま学の日」として「やまぐちで学ぶ」「やまぐちを学ぶ」をモットーに、「体験」「探究」ができる日を設定しており、学校に申請すると年3日の取得が可能です。

「やま学体験」では、親子で山口県ならではの職業体験ができ、瓦そばや萩焼などの固有の技術や技能に触れられ、その機会を得ることで、こどもたちの新たな夢となる可能性も生まれるソリューションを提案しました。
対象は中学生の子どもたちとし、親にとっても山口県の魅力を改めて認識することができ、普段は見れないこどもの新たな一面を知ることができる可能性も生まれます。さらに他県の方も参加可能なので、移住・観光への貢献の効果も期待できます。
さらに、VRやARのデジタル技術によって再体験でき、専用アプリによって体験の周知や参加申込、体験のレビューも行えます。

講評では、実体験を通しながらVRやARを現地以外で使う等のデジタル技術を生かした要素を膨らませたり、コンテンツも増やすとより学びの要素が深まるのではないかとアドバイスがありました。
また現況では、小学校までは地域のことを学ぶ機会があるが、中学校に上がると進学のための勉強になっているので、地域の職業を親子で知ってもらうのは大変良い機会になると感想をいただきました。

夜泣きに着目!「ママの止まり木」

4番手のチーム「山口県の子育てを育て隊」も子育て問題に挑みました。

メンバーは子育ての中でも「夜泣き」の問題に着目し、原因がはっきりせず、時間帯が夜中で、睡眠不足が続くというところから、肉体的・精神的疲労が続くという母親の負担を軽減したいと考えました。
そこで生み出されたソリューションは、夜泣きで疲れ果てたお母さんたちが集まり、リラックス&エネルギーをチャージできる特別な施設「ママの止まり木」です。

コミュニケーションボードを施設内に設置し、悩み相談ができる。子どもを預けることができる美容室があったり、マッサージチェアがあったりと疲れたママを癒してくれる要素が盛りだくさんの施設になっています。

講評では、講評者の先生方もご自身の子どもの夜泣きについては苦労したとというご経験がお有りで、デジタルツールを使ってのマッチングという面で大きな可能性があるという声もいただきました。その上で夜に外出するという点については利用シーンを踏まえたうえで実際に試してみると良いというご意見もいただきました。

やまぐち♡はてなび -「あい」の導くはてな旅-

ラストは、チーム「シンー夢の国山口」です。テーマは「山口県を行くべき場所だと思ってもらうためには?「山口県に行ったことないの?マジで?」を実現する」に挑みました。

山口県には、地元の人しか知らない観光地が多くあることを挙げたうえで、それを余すことなく観光客へアピールできるように、AIを使いながら、個人の希望を活かしたナビゲートをするソリューションを提案しました。

広瀬先生が被験者となり、AIに扮したメンバーが、先生の希望をヒアリングすることで場所を特定し、その通りに運転するといつの間にか目的地に到着!ということで、会場は大いに盛り上がりました。

講評では、シークレットツアーのようなドキドキ感もあり、山口県の土地勘が無い人にも、希望に沿った移動を可能にするということが出来て、とても面白いというコメントをいただきました。
また、到着後のフィードバックによってより精度を上げていくと使うということで、使えば使うほどマニアックで満足度の高い場所へ連れて行ってくれるという可能性についてもお褒めの言葉をいただきました。

講評者から受講生へ

最後に、今回講評をしていただいた3名の皆さまに、全体講評をいただきました。

関補佐官
皆さんのアイデアが楽しく、また仲良さそうなのがすごく印象的だった。子育ての課題など、ストレートに事業にならない難しさもあるが、まずは仲間で考えることと、発表して聞いてもらうことが第一歩で、そこからコミュニティとして広がってやり続けていくことが必要。まずはこのプログラムをやり切ったということを自身が誇りに思い、身につけた武器が錆びないうちに続けていってほしい。ぜひ、サービスとしてやってみる、チャレンジしてみていただけると嬉しく思います。

白坂委員長
5チームとも、ここまで来るのは大変だったと思う。まずは、そのアイデアを試して社会に還元することがとても大切。次に、学んだ仲間たちやコミュニティを大事にし、業務で困ったときにも聞いたりして巻き込みながら影響していくと良い。他のスポーツと同じように、システム×デザイン思考も日頃から活用して、学んだことを考えなくても無意識に使えるようになると、自然体でコンテンツ側の議論ができるようになるので、是非使い続けてほしいと思います。

村岡知事
どれも素晴らしい発表だった。今年で3年目になるが、山口県や地方が抱える課題を、デザインシンキングという手法で解決できるフィールドがあるということを改めて感じた。新しい視点やアプローチなど、学んだことをそれぞれの所属で活かし、切磋琢磨し、サポートし合ってほしい。
先生方や1期生、2期生の皆さんのサポートにも大変感謝している。山口県で人材が育っていることを楽しみにしているところであり、それぞれの職場や地域が良くなることを期待しています。

講評者の皆さんのお言葉どおり、全チームとも素晴らしい発表でした。受講生の皆さん、大変お疲れ様でした。

最終発表会の模様をもっと詳しく知りたいと思われている方は、今回もアーカイブをご用意していますので、3期生のプレゼンを是非ご視聴ください!

https://www.youtube.com/watch?v=10F_zjJALmA

アドバンストプログラム第3期も、2月の交流会が最後のイベントとなります。交流会についても、またnoteでお伝えしたいと思います。どうぞお楽しみに!