ハラマル流レノファ観戦の誘い方~デザイン思考を添えて~
デジテック for YAMAGUCHI 運営事務局 兼 Y-BASEスタッフのハラマルです。
かなり久しぶりの投稿になってしまいましたが、この間、レノファ山口が無事J2残留を決めたり(私は残留を信じていましたので、全然ドキドキしませんでしたけど)、監督交代があったり(これは予想外!残留に導いてくれてありがとうございました)と、投稿するネタはあったものの、なかなか自分の意見や考えをアウトプットできませんでした。
目の前の仕事(しかも内向きの業務)に追われると、「良質な情報をインプットしたい」という欲求が薄くなって、そうするとアウトプットもできず、自分をアップデートできない日々が続いていました。
そんな中、noteプロデューサーの徳力さんとレノファ山口さんとのコラボ企画を目にしましたので、久しぶりにアウトプット意欲が湧いてきました。このような企画を作っていただき、ありがとうございます。
さて、久々にnoteの投稿画面に向き合ってみたものの、何を書いたら良いものやらと悩みましたので、ここは初心に戻って、徳力さんの言葉を思い出して「自分のためのメモ」を作ることにしました。
テーマは「レノファの試合にお誘いするときに注意すること」、そしてデジタル活用の留意点です。
かねてからの不満
まず、私が、かねてからレノファ山口を巡る状況について、1点だけ大きな不満というか、納得できない点があります。
誤解がないように先に言っておきますと、まず、私は選手でも監督でもチームスタッフでもありませんので、ゲームの内容や試合の結果については、応援する/見守ることしかできませんし、そこは信じるのみです。
スポーツ競技である以上、当然、勝敗はどうなるか分かりませんので、負けたら残念ではありますが、不満を抱いたり、納得いかない!と感情を押し付けたりする対象ではありません。
私が不満なのは、知り合いや職場の方をレノファの試合観戦を誘うと、「え・・?」とか、「興味ない」とか、ひどいものになると「どうせ負けるんやろ?」みたいな、すごい冷めた反応が非常に多いことです!大げさじゃありませんよ!体感的には、10人誘ったら、7~8人にはこんな反応されるような気がします。(今度、データで取ってみたいと思います。)
これ、同じ体験されている方は多いと思いますし、サポーターの方には分かってもらえるのではないでしょうか。
こんな反応されると、キーっ!となってしまいますが、ここで感情的になってはいけません。
一旦、落ち着いて対応を考えましょう。
何でそんな反応になるのか、聞いて回ってみました。すると、次のような傾向があることが分かりました。
以前、動員で(又はそれに近いかたちで半ば強制的に)試合観戦に連れて行かれたが、その試合は負けた
試合を観たことがあるけれど、よく分からんかった
帰りに交通渋滞にはまった
雨が降って大変だった
意外なことに、多くの方は、観戦経験があったんです。ただ、それがトラウマまでは行かないものの、嫌な思い出になっていて、「もういいや」と思っているんです。
ここで私が思うのは、「誘われた方」ではなく「誘った方に」問題があったんではないでしょうか!?
せっかくスタジアムに来てくれているのに、どんなエスコートしてんのよ!?こんな思いさせてるってどうよ!?
もしかして、誘う方の目的が、単に「その試合にお客さんを集める」になっていませんか?そんなんじゃ、リピーターにはなってもらえませんよ。来てもらっても放置していたら、逆に、「二度と行かんわ」ってなりかねませんよ。
そうではなくて、「レノファの試合を観て楽しんでもらいたい」が目的になっていたら、こんなことになってないのではないでしょうか。
ということで、私が知り合いをレノファ観戦に誘う際は、次のことを鉄則としています。
絶対に嫌な思いはさせない
スタジアムで楽しんでもらう
できれば、それをきっかけにリピーターになってもらいたい
ハラマル流レノファ観戦の誘い方2023
この鉄則を守るために、いろいろなことを試行錯誤してきましたが、2023シーズン特に留意した点、また、その際のデジタル活用の留意点をまとめてみました。
冒頭に書いたとおり、まずは、自分がこれを忘れないようにというメモの位置づけです。ただ、これを読んで参考になる点があれば、皆さんも、周りの方を誘う際に活用してみてください。
心得① 結果だけじゃないよね?
まず、これ、非常に大事だと思います。スタジアムでの観戦の楽しみって、試合結果だけではありません。
スタジアムに行けば、出店が並んでいて、アルコールもあります。ほぼ、お祭りに行っている気分になるはずです。
ゴール裏には芝生席もあるので、そこにレジャーシート敷いて観戦すれば、ほぼ、ピクニック気分になるはずです。
グッズを身に付けて大勢で一緒に応援すれば、盛り上がること間違いありません。
これ、知っている側からすると当然なのですが、初めて観戦に行く方などは、スタジアムがどんな雰囲気なのか分かりません。ちゃんと、こうしたトータルの五感での楽しみ方をエスコートしてあげましょう。
ここを怠ると、「行った→試合観た→負けた→つまんない」ということになります。逆に、トータルで楽しんでいただけたなら、例え試合で負けても、「面白かったから、次は、スタジアムで勝利を体感したい」と思っていただけるはずです。
お誘いする際は、ここに全力を投じましょう。
ここで重要なデジタルツールは、もちろん、レノファの公式HPです。ホーム戦ごとにサイトがあり、イベントやお店の情報が載っています。
が、イベント情報の更新が直前になったり、お店のメニューや出店予定などが頻繁に更新されているわけではありません。運営側の都合もあるでしょうから、そこは仕方ないのかもしれません。
なので、注意すべきは、「はい、このHP見たら大丈夫」では、初心者にはきちんと伝わらない可能性がありますので、そこを認識した上で、例えば、「先着〇名にプレゼントあるから早く行ってみる?」など、自分でイベント内容等を把握した上で、しっかりフォローしてあげましょう。
心得② 交通手段も親身になって
これはみらスタだけではありませんが、特に山口県民は、すぐに自家用車を使いたがるので、本当に要注意です。
デジテック会員により、試合当日の駐車場の混雑状況が分かるwebサイトが開発されていますので、こちらを活用されてください。
が、ここ誤解されないでほしいのは、これはあくまで、自家用車で行かれる方用です。自家用車の場合、どうしても渋滞は避けられないので、その心の準備ができない方には、公共交通を紹介してあげましょう。
私の場合は、最初から積極的に公共交通の利用を呼び掛けるようにしていますし、何なら、お誘いした方の自宅からのアクセス(〇時〇分の電車で…)までお調べしてあげるようにしています。
ここで役立つのが、新山口駅ーみらスタ間のシャトルバスに乗れる「ぶらやま」と、近隣の方なら自転車を借りられる「シェアサイクル」です。どちらもキャッシュレス決済が使えて便利なのですが、留意事項としては、どちらもgoogleの経路検索では出てきません。
なので存在を知っておかないと、これにたどり着かない可能性があることを認識した上で、交通手段の相談に乗ってあげましょう。
こうして、自家用車利用を減らすことによって、真に自家用車で行かなければならない方のアクセスを改善し、トータルとして、「みんながスタジアムに快適に訪れ、帰ることができる」を目指したいと思っています。
心得③ 観戦場所は柔軟に
私は普段、ゴール裏で観戦していますが、他の方をお誘いする際には、席を柔軟に変える必要があると思っています。
例えば、試合をしっかり見たいという方であれば、メインやバックスタンドでの観戦がお勧めです。応援で盛り上がりたいという方であれば、その盛り上がり具合によって、ゴール裏の中心の方が良いのか、外れの方が良いのか考える必要があります。
ゴール裏席のチケットを取っていても、雨が降って、降雨の中で応援するのは嫌がりそうだなという方の場合は、当日、メインスタンドにアップグレードしたりします。
要は、観戦される方が何を望んでいるのかちゃんと把握してエスコートしてあげないと、「ゴールシーンが良く見えなかった」とか「もっと盛り上がりたかった」とか、「雨に濡れてサイアクだった」みたいなことになりかねません。
チケットを買うというお金の支払い行為が発生する以上、観戦する方の意向を最大限に尊重しつつ、金額とのバランスもみてあげて、観戦場所を一緒に選定してあげましょう。
チケットは、インターネットで買えて、それをLINEなどで共有することもできます。なので、初心者の方の分はまとめて買ってあげるということも簡単にでき、非常に便利です。
留意点は、「雨が降っているから屋根ありのメインスタンドにアップグレードしたい」というときは、当日の現地でしかできません。このため、雨が降りそうだからどうしようかと悩む場合は、直前まで購入を控えるか、当日アップグレードするか、最初からメインスタンドを購入するかのいずれかだと思います。
心得④ サッカー情報は絞って
誘う側からすると、サッカー観戦にお誘いする際、良かれと思って、いろんな情報を事前に教えてあげたいという欲求があるかと思います。
私も、以前は、「次の試合のみどころ」みたいなペーパーを自作したりしていた時期もありましたが、うまくいかなかったことが多い気がしています。
ここで役立つのは、レノファの公式デジタルコンテンツです。「試合のみどころ」やYouTubeを活発に配信してくれているので、LINEやX(旧Twitter)でフォローされている方も多いと思います。
留意事項としては、私の経験上、これらは、一定程度のサポーター向けのコンテンツのような気がしており、初心者には情報過多になってしまうことが多いように思います。
それに、あまり事前に情報を渡し過ぎると、「勉強しないと観に行けないのか」と思われてしまう危険性もあります。
なので、2023年は、当日、一緒に観戦する方が興味を持ちそうなことを1つか2つに絞って、スタジアムで雑談しながらお伝えするようにしてみました。
例えば、「あの選手はイケメン」とか「あのベンチの前に立っている監督のリアクションが面白いよ」的なものから、「私が推しているのはあの選手のああいう動き」、「あの選手が前向きにパスを出したらチャンスになるよ」的なものまで、一緒に観戦する方に合わせて、「試合全体を見つつ、1つか2つ、発見というか楽しむポイントを見つけてもらう」ようにしています。
そうすると、その方なりの、現地観戦して面白かったなという体験につながっているように感じています。
心得⑤ おもてなし
広い意味では①~④も既に含まれていますが、自分の家にお客さんを招くように、おもてなしの心で対応することが重要です。
お客様に座布団を出すようにレノファグッズ(貸出用のユニフォーム・タオル)をお出しし、おやつ(スタグル)も御案内する、粗相があればお詫びする(負けちゃったらごめんねってフォローする)。
スタグルを十分に楽しみたい方には、集合時間を早めに設定して、あまり並ばないうちに購入してゆっくり食べられるようにしてあげるなど、気の遣いどころはいろいろあります。
また、試合が終わった後に、公式HPに試合のハイライト動画がアップされて無料で見れますので、「ゴールシーンが良く見えなかった」とか、「どんな場面だったけ?」みたいな不満があれば、ここで解消しておきましょう。
この①~⑤を押さえておけば、「以前観に行ったことあるけれど、二度と行かない」みたいなことにはならないし、きっと、次も機会があったら誘ってくださいということになるんじゃないでしょうか。
それぞれ、良いデジタルツールはありますが、留意点もありますので、それを認識した上で活用しましょう。
私の周りも、まだ数は多くはないですが、このような対応で喜んでくれる方がいらっしゃっるので、それがモチベーションとなっていますので、2024シーズンもこの活動(?)を続けたいと思っています。
本質的には・・・
さて、ここまでお読みいただいた方の中には、「いや、サッカーの中身じゃなくて、スタジアムの雰囲気とかで楽しんでもらおうっていうのは邪道じゃない?」と思われる方も多いかもしれません。
はい、私もそう認識しています。
ちょっと話を遡ると、私も、そもそもはレノファに興味がない時期がありました。特に、J3優勝した年なんかは、その輪の中に入っていたら楽しかっただろうな、という後悔しかありません。
実は、当時、幼馴染の親友から、「ムチャクチャ面白いから観に行こうよ」と誘ってもらっていたんですが、忙しさを理由に、「また今度ね」で先延ばししてしまっていました。
その親友は、病気で亡くなってしまいました。
約束を果たすことができなくなったこと、私のしょーもない理由で断ってしまっていたこと、そうした後悔の念とか申し訳ない思いから、一度、自分の足でスタジアムに行ってみようというところから始まりました。
最初は観戦の仕方も分からず、嫌な思いをしたりという経験をしました。が、そのうち、魂を揺さぶる試合に出くわし、引き込まれていきました。
例えば、2018年の東京ヴェルディ戦、前半0-2で負けていて、後半に4点取って逆転勝ちした試合(ただ、そのあと1点取り返されて、同点に追いつかれるのではないかとヒヤヒヤしたのは内緒)
例えば、4月時点で既に降格争いに巻き込まれていた2019年、薩長ダービーで、味方ゴール前のピンチから、カウンターで攻めあがったDFがゴールを決めて勝利した試合(ただ、そのあと、猛攻にあって、同点に追いつかれるのではないかとヒヤヒヤしたのは内緒)
今シーズンで言えば、残留争いの最終盤の金沢戦の激闘を制した試合(ただ、そのあと、大宮に負けて、残留争いが混沌に陥ったのは内緒)
なので、本質的には、「感動するレノファの試合に出会う」、これが一番重要ですし、これしかないと思っています。
ただ、そうは言っても、例えば、今年のホーム清水戦のように、大雨・雹・雷・大敗という四重苦を体験する試合などもあり、初めて観戦する方が必ずしも楽しめる試合内容ばかりではありません。
残留争いしている期間なんかは、どれだけ心の平静を保てるのか、修行に近いものがあります(笑)。
これはこれで、得難い体験ですし、個人的には前向きに受け止めていますが、初心者の方に、これでサポーターになってくださいというのは酷でしょう。
だから、冒頭のような冷めた反応になるのではいでしょうか。実際、コロナ禍が明けても、なかなか観客数が伸びないのは、とても残念です。
冷めた山口県民(とまでは言い過ぎ?)が、レノファで盛り上がる、そういう日が来ることを願って、レノファには良い試合をしてもらいたいし、私は細々とではありますが、新たなサポーターを発掘していきたいです。
そうして、おもてなしとかデジタルツールとか関係なく、純粋なサッカーの魅力だけで熱狂的な雰囲気ができたらいいなぁと思います。
親友への謝罪の念から始まったレノファ観戦、今や、私のライフワークとなり、こんな楽しいものに出会わせてもらった感謝の念に変わりました。
誘う側ではなく、誘われる側に立って課題を考える、これって、ユーザーに寄り添ったデザイン思考の出発点です。
デザイン思考について興味がある方は、「デジテック for YAMAGUCHI」での取組を、別のスタッフが(私と違って)分かりやすく説明していますので、こちらをご覧になって下さい!