オペレーターはどんな人?
事務局のハラマルです。
自動運転について、私にでも分かるような資料があると、誰かの役に立つのではないか?ということで、関係者の方などに聞いて私なりに理解した内容を、できるだけ分かりやすく伝えていくというチャレンジです。
今回も、個人的な意見や感想を述べさせてもらっています。
オペレーターの存在
今回の実証実験では、無人運転ができる車両やシステムを使っていますが、オペレーター(いわゆる、運転手)が同乗しています。
オペレーターが同乗する理由や役割については、以下の3つが大きなポイントだと思います。
①安全安心のため
オペレーターは、運行中に危険があった場合、危険を回避する操作を実施します。
基本的にはシステム的にも回避できるようになっていますが、今回の実証では安全第一が最優先ですので、システムが動く前であっても、人間が持つ経験や勘に基づいて、早め早めに、オペレーターが手動操作で危険を回避します。
また、無人運転のバスに乗ってみたいという方でも、そうは言っても、「いざというときのために、人がいないと心配」という方もきっと多いと思います。実際、「人が乗っているんですよね?」ということは、乗車前に良く聞かれます。
もう少し、無人運転の技術が一般的なものになるまでは、そうした心配・感情はなくならないのかもしれませんね。
②実証中のステップのため
2点目は、今回は、実証運行の段階であって、まだ本格導入ではありません。
このため、ルートやバス停の位置は、今回の実証の結果を踏まえて、どうしていくべきなのか検討していくことにしています。
この段階では、フルスペックの設備導入をしていません。
設備が未導入なことによる影響が一番大きいのは、交差点内の通行に必要な、信号側のセンサーです。
これを設置していないため、交差点では一旦停止し、人が「自動運行再開」の指示を出しています。
(この事情については、以下の記事を参照ください。)
今回が初めての実証で、実証のステップとしては一番下の段階ですから、このような事情になっている訳ですが、それに伴って必要となる人間の役割を、オペレーターが担っています。
③ガイド役として
3点目は、乗車中のガイド役のようなことを担っています。
今回使用する「EVO」という車両は、窓を大きく取って、お客さん同士が向き合って座る形です。
これは、バスに乗って単に移動するだけでなく、景色を楽しんだり、お客さん同士のコミュニケーションを取ってもらったり、移動自体を楽しんでもらいたいというコンセプトでデザインされています。
なので、普通の路線バスとは違って、オペレーターが(余裕があるときは)いろいろ話してくれます。
皆さんも、乗車中は、楽しんでください。乗車中、自動運転車両を見てくれている方に手を振ったら、皆さん、笑顔で振り返してくれるので、是非、やってみてください!
オペレーターになるために
さて、そんなオペレーターですが、コントローラーを使って操作しています。楽しそうですよね。
話は変わりますが、昔に16連射を一生懸命練習したファミコン世代として、ある程度ゲームに自信があったのですが、某「色塗り陣地取りゲーム」で、子供にフルボッコにされ、ショックを受けました。
ファミコン世代をフルボッコにする、そんなゲーム慣れした子供なら、もしかしてこのコントローラーで操作できるのでは…?
ということで、オペレーターになるための道のりをまとめてみました。
①自動車免許を取ろう!
あ、もう、これで、子供は運転できませんね(笑)
当然のことですが、オペレーターは、道路交通法を正しく理解して安全に運行させることができないといけません。
ということで、自動車運転免許の取得が必須要件です。
今回の実証で使用する車両が、乗車定員15名となっています。(ただし、これは立席も含めた数であって、実証では座席のみで乗客定員は9名としています。)
ということで、今回の実証では中型以上の免許が必要です。これは、一般的な自動車免許と同じルールですね。
また、今回の実証では、お客様を乗せて運ぶものの、運賃をいただきませんので、旅客運送には該当しないということで、二種免許は必要ありません。
②訓練しよう!
次に、この車両を運転する技術を身に着ける必要があります。
コントローラーで操作するという特殊な環境ですので、車両を提供している会社の特別な講習を受けます。
運転技術だけでなく、構造や仕組みを知っておかないと、いざというときに対応できませんから、かなり重要なプログラムですね。
そして、その後、実地で練習することになるのですが、その専用コース(練習場?)が、京都府にあるという噂を聞きました。
どんな練習コースなんでしょうか?気になりますね。
こうして、専門のスキル・知識を身に着けていらっしゃるので、いろんなことを聞いても答えてもらえるんですね。すごい安心感です。
③警察の審査を受けよう!
最後に、2つの警察の審査を受ける必要があります。
一つ目は、施設内審査と呼ばれるもので、公道ではない敷地内で実施します。いわゆる仮免的なものですね。
通常は免許センター等で実施するようですが、今回、周南市からは遠いということで、特別なお計らいをいただき、周南自動車学校さんの敷地をお借りして、警察の方に乗車いただき、審査を受けさせていただきました。
この審査自体は、どこで受けても良いので、例えば、他の実証箇所で既に施設内審査に合格されていれば、周南で再度審査を受ける必要はありません。
二つ目は、路上審査と呼ばれるものです。
これは、先ほどの施設内審査と違い、実証箇所ごとに、所轄警察署長の審査を受ける必要があります。
このため、今回、10名程度の方に交替でオペレーターをお願いしているのですが、その方たちが、全員集まっていただき、審査を実施しました。
実際の走行ルートを、警察の方に乗車いただき、手動にて走行し、交通ルールを守って安全に運行できることを認めていただきます。
こうして、初めて、オペレーターとして自動運転車両を運転することができるようになります。
読んでいただいたとおり、ちょっと運転してみよっかな?という方が運転しているわけではなく、きちんとトレーニングを受けて警察の審査にも合格された方がオペレーターを務めています。
安心して乗車いただければと思います。
まとめ
自動運転バスの需要が高まり、全国的にも多くの箇所で実証が同時に行われているので、オペレーターさんたちはかなり忙しそうです。
昨日までは○○県、明日からは○○県、という具合に、いろんな現場に行かれて運転をされています。
なので、運転スキルも高く、他の実証箇所の様子なども詳しく、本当にスペシャリストでいらっしゃいます。
バスの運転手が不足しているから無人運転を目指しているのに、代わりに、オペレーターが必要になるのでは意味ないのじゃないか?そっちが人手不足になったら一緒じゃないか?という疑問があるかもしれません。
おっしゃるとおりですが、これは、無人運転が実現するまでの過渡的なものです。
無人運転が実現すれば、こうしたオペレーターさんに頼ることなく乗車できるようになります。
我々も、早く無人運転を実現し、バスの運転手やオペレーターさんに依存しなくても持続可能な交通手段が実現するよう、取り組んでいきたいです。