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2024実証・乗客数の状況(速報)
2024年の実証運行では、50日間で3,529名の方に御乗車いただきました。
土日を中心に、便によっては満席のため、乗車をお断りしなければならない状況もあり、そうした方は合計で312名にのぼりました。
さて、今回は、乗客数の情報を速報形式で整理してみたいと思います。詳細な分析は、今後引き続き実施してまいります。
日にち別
まずは、日にち別の推移です。
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赤色の「土日祝日」は期間を通して多くの方に御乗車いただきました。
一方、青色の「平日」は日によって増減がかなりありました。
これを25日ずつの前後半に分けてみると下図のようになります。
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後半の方が、前半より乗客が減っています。
実証開始直後に、乗車したい方が集中して乗車されたのではないかと想定されます。
同じグラフを、土日祝日と平日とに分けてみると、違った傾向が見えてきます。
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上段(赤色)が土日祝日、下段(青色)が平日です。
先ほどのグラフでは、後半の方が乗客数が減っているように見えましたが、平日を見ると後半の方が増加しています。
が、実は、それぞれの日数や運休の発生による便数に違いがあるため、これでは正確な比較になっていません。
同じグラフを、1便当たりの平均に直してみると、
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このようになり、やはり、土日祝日・平日とも、後半の方が1便当たりの乗客数が減っていることが分かります。
また、これを、25日毎ではなく、10日毎に区切って見てみると、また違った傾向が見えてきます。
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このようになり、特に最後の10日間は平日の乗客数が伸びているため、より市民の方の日常利用又は駆け込みでの乗車が増えたのかな、という印象になります。
便別
次に、1日7便を運行していましたので、その便別の乗客数を見てみます。
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13時台の4便が最も乗客数が多かったことが分かります。
一方、一番乗客数が少なかったのは9時台の1便でした。
14時台(5便)、15時台(6便)と利用者が減っていくものの、16時台(7便)になると利用者が増えています。この辺り、夕方にかけての利用が増えていますので、もしかしたら、17時台を拡張して運行すると、利用ニーズがあるのかもしれません。
こちらも、先ほどと同じように、同じグラフを、土日祝日・平日の別、1便当たりの平均で見てみると、下図のようになります。
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土日祝日は、9時台の1便以外、高い水準で利用いただいています。朝イチで動物園に向かわれる方も多くいらっしゃいましたが、開園時間(9時)に間に合わせようとすると、1便では間に合わないため、ここの利用が減っている可能性があります。
10時台(2便)以降の便で動物園に向かわれる方が多かった印象です。
13時台(4便)が多く、夕方も利用が増えるという、先ほどみた傾向は、平日の方で特徴が表れているようです。
この辺りに、市民の方の日常利用の傾向が反映されているのかもしれません。
往復路別
次に、往路(駅→動物園)・復路(動物園→駅)の別で見てみます。
こちらは、最初から、土日祝日と平日の別、1便当たりの平均としています。
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下段(青色)の平日の方は、往路・復路の利用はほぼ同数となっています。
徳山駅と徳山動物園とどちらが起点であっても、運行時間中に「行って帰ってくる」という利用が多かったのかもしれません。
上段(赤色)土日祝日の方は、往路の方が多くなっています。
これは、動物園からの帰りの時間帯が集中して、乗車しきれなかった復路のお客様が、ちょい乗り100円バスの方を利用されたことが影響しているのかもしれません。
また、周南市文化会館でコンサートが開催された際、往路(駅→文化会館)は乗車されたものの、復路(文化会館→駅)は自動運転バスの運行時間が終了していたため、他の交通手段を利用された方が多かったのかもしれません。
逆に言うと、便数の増加や運行時間帯の拡張によっては、もう少し多くの方に利用していただける機会が創れる可能性があるのかもしれません。
曜日別
曜日別でも見てみましょう。
月曜日が1度祝日に当たりましたので、月曜日は祝日分と平日分とに分けてみました。
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上段の土日祝日では、月曜日の祝日が運行開始当初だけだったため、最初のラッシュで平均としては高くなっています。
土曜日と日曜日とを比べてみると、予約ができて確実に乗車ができる土曜日の方が乗客が多かったです。日曜日は乗車できないかも?ということで、利用を避けた方がいるのかもしれません。
下段の平日では、運行開始当初は、美術博物館が休館の月曜日も乗客が少ないのでは?と想定していましたが、平日の中で大きな差が出たのは、動物園が休園の火曜日だけでした。
掛け合わせ
最後に、複数の要素の掛け合わせを見てみましょう。
まず、便別・往復路別を掛け合わせてみてみます。
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グラフの左側が往路(徳山駅→徳山動物園)、右側が復路(徳山動物園→徳山駅)で、上段が土日祝日、下段が平日となっています。
これを見ると、往路の方がグラフの凸凹が大きく、復路の方が平坦です。特に平日の方が、その傾向が強いようです。
これは、復路の方が利用ニーズが安定している、特に平日はどの時間帯も、徳山動物園側にお住いの方が、駅方面に公共交通機関で移動してみたいというニーズがあるということなのかもしれません。
次に、便別・曜日別を掛け合わせてみます。
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こうしてみると、動物園が休園の火曜日の乗客数が少ないのですが、特に1便(9時台)にその傾向が強いことが分かります。
また、金曜日の夕方(16時台)は乗客数が多く、もしかしたら、徳山デッキなどへの移動が多かったのかもしれません。
このように、データ分析の重要なことは、一つのデータを多角的に見ること、他のデータと掛け合わせることで、そうしたことにより、今まで気づかなかった傾向に気づき、「もしかしたらこうすればもっと良くなるのかも」という仮説にたどり着くことです。
これには、少し時間と労力が掛かりますので、最初に記載したとおり、じっくりと、しっかりと分析を続けていきたいと思います。
今回は、実証が終了しましたので、速報的に乗客数の状況を整理してお伝えしました。