デジタル就労支援~対等主義編~
こんにちは。デジKAMAスタッフです。「デジタル就労支援って何?」をテーマにお届けするシリーズ第4弾・最終回は「対等主義」です。
対等とは
「対等」とは、互いに同じような立場や力を持っていることです。
デジKAMAのワーカーは業務委託(準委任)です。個別説明会では必ず言うことですが、デジKAMAは雇用の場ではなく、業務委託として参画いただく場です。
したがって、上下関係がありません。スタッフはワーカーに仕事を依頼しますし、ご希望があれば面談もしますが、ワーカーにとって上司や先輩には当たりません。スタッフとワーカーは年齢や社会人経験年数にかかわらず苗字にさん付けで呼び合い、敬語を使います。適切な距離を保って相手と接するためのビジネスマナーです。
形式での対等さだけでなく、力を合わせて共に成果を出せるよう、日々高め合っていく存在であるとも考えています。お願いする仕事が遂行できるように指示書をまとめ、助言したり質問に答えたりするのが私たちの主な支援です。「お約束した仕事の開始時間に間に合うよう自分で生活リズムを整えられている」「ネットショッピングや動画を見るなど趣味の延長でよいので、一連のパソコン操作は自分でできる」など、仕事の土台ができている人の登録・稼働を想定しています。
ワーカーの経験とスキルに賭ける
事業の正式名称に「就労困難者」、概要に「障がい」「ひきこもり」とあり、仄暗いイメージが漂っていそうです。就労困難者と掲げてどんな人が集まるのだか、2022年10月の開所当初はまったく想像がつきませんでした。蓋を開けてみたら、一人ひとりさまざまな経験をしていて、みな個性的でした。働くことのハードルが遥かに高かった時代や業界でキャリアを築いてきた話を聞いたり、仕事の合間に趣味や最近の関心事を教えてもらえたりと、デジKAMAスタッフから見てワーカーは決して暗い人の集まりではありません。
1年経つ今では、日々のお仕事を通じてワーカーとコミュニケーションを取りながら、解像度を上げていっています。私たちと働いている今、少なくとも就労困難者ではなくなっています。障がい?ひきこもり?そうだっけ?と思うことすらあります。
従来の働き方が合わなかっただけでデジKAMAでなら働ける人がいるんじゃないか、障がい・病気やひきこもり状態という属性は単なる開始時の条件であって働いている間はすっぽり意識から消せるんじゃないかって、新しいワーカーが来てくれるのが楽しみです。試した結果、合わないことも当然ありますが、誰も損をしない賭けなら乗ってほしい。
ちなみに、スタッフが自分のことを語る機会はあまりないですが、聞いてもらえたら喜んで話します。
機会創出とマッチング
個別説明会のインテークやお仕事体験でのモニタリングを通じて「この人ならできる」と見込んだ業務を依頼します。ここで大事なのは、指示でなく依頼ということです。またもや、雇用ではなく業務委託という働き方が肝です。
業務委託契約は、易しく言い換えると、ワーカーが本来自由にできるはずの時間を、デジKAMAでの仕事に割いてくれるという約束です。だから、スタッフはその時間を有意義に使えるよう、ワーカーのスキルや志向に合った仕事を切り出したり当てはめたりするし、「報酬を払うんだからやってください」でなく、「できると思うからお願いします」という姿勢で依頼をします。
100%当てて来られれば、お互いが幸せ。残念、外れることもあります。ワーカーが至らないのではなく、スタッフの見込みが甘かったのです。
真面目なワーカーほど、期待に応えられなくてと謝ります。気を取り直して別のお仕事に挑戦しましょう。上手く行かないことがあってもそこから学べたことに意味づけする、また別の機会を創り出すのがスタッフの役割です。
ワーカーからの申し出
スタッフの送球に対して、ポテンヒットどころかファールの連発。変化球を投げたつもりはないのに…そんなとき、スタッフは「どうやったら上手くできますかね」と当のワーカーにフィードバックを求めたり、客観的な意見を求めて別のワーカーに相談したりします。「私は上手くできたので他の人がどうしてできないのかわからないですね」なんて答えが返って来ないのがすごいです。みなさん、自分なりに答えを練ってくれます。
「指示書には文章だけでなくスクリーンショットがあるとよい」「作業シートに入力補助が付いていたらよい」など具体的なポイントを指摘してくれるだけでなく、「作業してみて、スクリーンショットを指示書に追加していきましょうか」「GAS (Google Apps Script)が使えるといいですね。やり方を調べてみますよ」なんて申し出てくれる人までいます。本来はお仕事をお願いする側として、ワーカーが作業しやすいように環境を整えるのはスタッフの役割ですが、他のワーカーの作業効率を上げ、スタッフの負荷を下げてくれるワーカーの存在は本当にありがたいです。自身のアイディアやスキルを活かす場としてデジKAMAを活用してくれています。
小回りの利く小舟での航海
正直に言って、デジKAMAもその運営企業も小さな組織です。大企業の障がい者雇用や特例子会社での雇用、また近年話題の超短時間雇用でできるような安定的な切り出し業務の依頼に比べると、私たちの細切れBPO業務は「次は何が来るんだろう」とスリリングな思いをさせているに違いありません。その日限りの単発業務、長くても数ヶ月かけて多くのワーカーと同時に着手する大規模業務、合間に滑り込んでくる小粒の定常業務と、特にスキルが高く稼働時間も多いワーカーは荒波に揉まれているはずです。前述のようにスタッフから突然アドバイスを求められたり(反省)。
ワーカーに「大船に乗った気持ちで」(ここは鎌倉市ですから「おおふな」と読みたいですが、「おおぶね」)と言えないのが心苦しく、実際にそう謝ったこともあります。でも、それが嫌と言って辞めた人が今のところいません。雇用でない自由さゆえとも言えます。小回りの利く小舟に自身を例えるならば、デジKAMAでの仕事という航海はきっと楽しめます。
きっと、前例のない新しい形の事業を立ち上げという求人に惹かれて集まったスタッフと同じように、ワーカーもワクワクした気持ちで来てくれたんだと信じています。
対等であること、自由であることで新たな可能性を見出すことができます。これからも鎌倉の地で新しい働き方を模索していきますので応援していてください。
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