デジタル就労支援~情報整理編~
こんにちは。デジKAMAスタッフです。「デジタル就労支援って何?」をテーマにお届けするシリーズ第3弾は「情報整理」です。働きやすい環境を作るためのスタッフの姿勢や行動をまとめています。
文字が主、音声が副
指示書(マニュアル)やSlackでの依頼を主、口頭での説明を副としているのには理由があります。文字になっていれば、自分のペースで見返すことができるから、そして容易に検索できるからです。
通所型の場合は対面、在宅型の場合はGoogle Meetという差こそありますが、ワーカーとスタッフが直接口頭でやり取りをするとなると、以下の課題が見えてきました。
ワーカーの稼働曜日や時間帯は元々人それぞれです。さらに、その日の体調によっては新しいことに着手するよりも、前からやっていることを続けたほうがよいことがあります。タイミングを見計らって1人ずつ説明の時間を設けた結果、同じ時間帯に稼働している他のワーカーへの支援が滞ります。
口頭で説明するからと指示書を作らなかったり、その場で出たワーカーからの質問が共有されなかったりすると、スタッフの間でも案件の理解度に差が出ます。いつまでも効率が悪い状態が続きます。
説明を聞いて理解したり、要点をメモしたりするのが苦手なワーカーにとって、口頭での説明は「スタッフが時間をかけて説明してくれたのに結局よくわからなかった」「申し訳なくて同じことを何度も聞けない」と抱え込むことになります。
試行錯誤を経てのデジKAMA流
最初からこのやり方が確立していたわけではありません。
以前は、このように大型ディスプレイモニターを使って複数名の通所ワーカーに同時にレクチャーをしたり、
在宅・通所のスタッフ・ワーカーを交えてGoogle Meetをしてみたりと
試行錯誤した時期もありました。
でも、複数名で同時進行していると、周りに遠慮して質問しづらかったりします。「他のワーカーはわかっているっぽいのに、自分はこんな初歩的なところでつまずいている」なんて自己肯定感が下がってしまったら?後で勇気を出してスタッフに質問するとしても、静かな部屋の中でずっとスタッフに話しかけているこの状態って?
周りのことを気にする人ほどその場ですぐ聞くことができず、温めておいた疑問を他のワーカーがいなくなったときに投下します。ですから、今は文字のやり取り中心で、スタッフが総出でワーカーの疑問に答えます。不明点を恥をかくことなく早急に解決できる、それは心理的安全性への第一歩です。
自分で作業できるのが理想
自分で情報を手に入れて作業を進める行動を後押しすることもデジタル就労支援の一部であると考えています。
デジKAMAでは指示書を読み合わせたり一緒に操作したりはしていません。するとしてもお仕事体験までで、時給をお支払いして本稼働している人に対しては指示書が明らかに誤っていたり古かったりしなければ「一読したら始めてください」とだけお伝えします。質問はもちろんお受けしますが、前にも同じ質問をされたな…という場合は、そのものずばりの回答でなくご自身で調べたか確認したり、書いてある指示書のページ番号を示したりすることがあります。
指示書や作業シートが格納されているのがGoogle Driveです。本当はスタッフもワーカーも全員Google Driveで細かく条件指定をして検索できればよいのですが、これを使いこなすのにはコツがいります。特に、語句や場所がうろ覚えだった場合。
Google Driveで検索しても見失われた状態の情報は、見つけた人がSlackで何度貼り付けようとも、今度はSlackのタイムラインの中に埋もれていきます。Slackにも検索機能はありますが(以下略)
そこで、Google Classroomで整理して、取り出しやすくしています。「課題」「資料」といったインターフェースを生成することで、Slack内でのファイルへの直リンクをしなくて済みます。扱うファイルが変更になったらGoogle Classroom側をいじればよいのです。
検索は大変というのが実際
記憶は「記銘(新たに覚える/encoding)」、「貯蔵(一定時間記憶に留めておく/storage)」、「想起(思い出す)/retrieval」の3段階からなります。インターネットの検索に慣れ親しんだ私たちは「どこかに行ったけれども、検索すれば出て来るだろう」といとも簡単に口にしますが、先ほど書いたように検索するためには正しいキーワードが必要だし、出て来た情報が探していたものと合致するか見極める必要もあります。
思った結果が出て来なくても別のキーワードや方法で次々と試せる人は強いです。しかし、デジKAMAの登録条件に当てはまるワーカーには、病気や障がいにより記憶能力に蓋がされてしまっている人、長らく仕事から離れていてエンジンがかかるのに時間を要する人もいます。
私たちスタッフは、ワーカー一人ひとりが自身のペースで感覚を掴んでいけるよう、情報を探しやすい環境を日々整えています。
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