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自己紹介とサステナビリティという外来語について
自己紹介
はじめまして。デジタルシティオキナワ株式会社取締役の市場真紀子(いちばまきこ)と、デジタルシティ株式会社顧問の三坂大作(みさかだいさく)と申します。
2024年現在、私たちは経営コンサルタントとして、以下の領域で支援を行っています:
IR支援
経営計画支援
サステナビリティ方針策定支援
市場はサステナビリティ方針策定支援を専門とし、三坂は財務に関する支援を専門としています。それぞれ異なるバックグラウンド・年齢・性別を持つ2人の対話を通じて、企業・人・社会が向かうべき方向性についてのヒントをお届けしたいと考えています。「サステナビリティ」を軸に、業務で得た経験や知識を共有し、関連するニュースやトピックを多角的な視点で紐解いていきます。
サステナビリティという外来語について
早速、「サステナビリティ」とは何か?その外来語は日本にどのような影響を与えているのか?についてご紹介します。
1. (知識)サステナビリティとは?—環境、経済、社会の調和
「サステナビリティ」という言葉は、日本語で「持続可能性」と訳されますが、その本質は単なる環境保護を超えています。経済、社会、環境の3つの側面が調和しながら、長期的に持続可能な発展を目指すことにあるのです。これらの側面は相互に影響し合い、どれか一つが欠けても全体のバランスが崩れてしまいます。
例えば、環境への配慮が企業活動や社会活動の一環として不可欠ですが、環境だけに注力して経済的な利益を犠牲にしては、持続可能な発展は実現できません。逆に、経済成長だけを追求すると、環境破壊や社会的不平等を引き起こす可能性があります。このように、サステナビリティは経済、社会、環境の「三重のバランス」を保つことが必要不可欠です。
さらに、サステナビリティは単に現在の世代だけを考えるのではなく、未来の世代にとっても持続可能な世界を残すための責任を伴います。これが、サステナビリティが単なる「流行語」や「一過性の取り組み」でないことの証です。私たちが行動を起こすことで、次の世代がより良い環境、安定した経済、そして平等な社会の中で暮らせるようにすることが求められています。
近年では、企業や政府が「ESG」(環境・社会・ガバナンス)に関する取り組みを強化し、SDGs(持続可能な開発目標)に沿った目標設定を行うようになっています。これらの国際的な枠組みは、サステナビリティを具体的な行動として可視化し、目に見える形で進捗を測るための道標となっています。これにより、従来の「持続可能性」の概念が、ますます広範囲にわたり浸透していると言えるでしょう。
2. (哲学)「自分や自社は、誰を幸せにしたいのか?」—本質的解決への問い
そもそも、私たちは地球上で幸せな社会を創り続けるために、経済発展を繰り返しながら人間の営みを広げてきました。しかし、言葉や流行に踊らされるのではなく、「自分や自社は、誰を幸せにしたいのか?」を問い続けることこそが、本質的な解決への鍵になると考えています。
お金持ちになれば幸せでしょうか?家族や従業員を守り続けることだけが幸せでしょうか?あるいは、身近な人よりも地球の裏側の人々の笑顔を見ることが真の幸せなのでしょうか?これらの問いは、私たち一人ひとりが向き合うべき課題です。
そして、それは「自分の幸せがあってこそ成り立つもの」なのでしょうか?それとも、「自分を犠牲にしてでも幸せにすべき相手」がいるのでしょうか?こうした問いに正面から向き合い、自らの答えを見つけることが、サステナブルな社会を築くための第一歩ではないでしょうか。
これらの問いが示唆しているのは、個人や企業が「誰の幸せを追求するのか?」という根本的な価値観を見直すことの重要性です。サステナビリティが単なる環境問題や企業の社会的責任(CSR)にとどまらず、社会全体の幸せや調和を目指す理念であるならば、その実践には、社会的、経済的、環境的な側面を一貫して考慮する必要があります。
このように、幸せの概念を再定義し、より包括的に捉えることで、企業や地域がどのようにして持続可能な社会を築くべきかが見えてきます。そして、その答えは決して一つではなく、個々の企業やコミュニティがそれぞれの価値観に基づいて解決策を見出すことにあります。
3. (実務)日本の「三方よし」の精神とサステナビリティ—地域資源を活用した持続可能な未来
一方で、日本には古くから「三方よし」(売り手よし、買い手よし、世間よし)という理念が存在していました。この考え方もまた、持続可能性を根幹に据えたものですが、近年では「サステナビリティ」という外来語によって上書きされる形となっています。なぜこのような状況になったのでしょうか?
その背景には、グローバル化の進展や国際的な基準への対応があると考えられます。特にSDGsやESG投資といった枠組みの中で、「サステナビリティ」は単なる理念ではなく、具体的な目標や数値指標と結びつけられています。このような国際的な文脈の中で、日本の伝統的な価値観が十分に発信されず、外来語が優勢になってしまったのかもしれません。
では、「サステナビリティ」をビジネスや地方創生に結びつけるために大切な軸とは何でしょうか?それは、 日本独自の価値観を再評価しつつ、国際的な枠組みを活用すること だと考えます。「三方よし」の精神を現代的に再解釈し、グローバルな課題解決のために活用することで、地域の特性を生かした持続可能なモデルを構築することが可能です。
たとえば、地方の特色ある資源や文化を活用しながら、環境に配慮した事業を展開することや、地域住民との協働による社会課題の解決が挙げられます。また、具体的な目標設定や成果の可視化を通じて、国内外のステークホルダーに「サステナブルな価値」を発信していくことも重要です。
「サステナビリティ」をビジネスや地方創生に結びつけるためには、日本の伝統的な価値観を再評価しつつ、グローバルな課題解決のための実践的な枠組みを活用することが、持続可能な未来への鍵となるのではないでしょうか。