地方の構造エンジニアの自邸建築日記③

北九大/DN-Archiの藤田です。自邸日記,いつのまにか前回から1年3か月も過ぎてしまいました…筆不精が過ぎますね。他人の家ばかり設計してて全然自邸のために時間が避けておりません・・・。本当に忙しい,体がちぎれそう^^;
前には進んでいますので,頭の整理を兼ねて気分転換に筆を執ってみた次第です。
1年以上も前のことで記憶にないですが,どうやら前回の日記では土地を本契約したらnoteを更新しますと宣言していました。
土地は去年の夏には契約をし,9月には正式に不動産登記上も自分の持ち物となりました。広島駅から徒歩10分の好立地で661㎡という広大な土地ですので,それだけ聞くと再開発で価格高騰を続けている土地相場からいくと1億円は余裕で下らないレベルの土地価格になってくるわけですが,崖地であり,土砂災害危険指定区域(いわゆるレッドゾーン)に少し敷地がかかっている場所であり,ほとんど山のような雑種地であり,ディベロッパーやハウスメーカーが手出しできない条件がそろった結果,とても格安で手に入れることが出来ました。具体的な金額はここには書きませんが,最終的に値切った結果,日本の一般的な大衆車の値段ぐらいで手に入れたとだけ申しておきましょう。

ただし,長年放置されていた山林ということもあって,色々と解決しなければならない問題も浮上しています。一番の問題は,隣の集合住宅との民民境界が未確定のままであるということ。とはいえ,過去に測量は行われていたはずで,661㎡という数値と都市計画図などを根拠に敷地境界を引いてみると・・・ゴミ置き場が越境中の可能性が。これがうちの敷地なのか隣の敷地なのかでは間口が全然異なり駐車場の台数も変わってくるので,ちょっと揉めそうな予感・・・。この敷地を我々は「パンツ」と呼んでいるのですが,パンツの大事な部分がちょっと小さくなるかもしれないのはやっぱり問題ですよね。とりあえず不動産屋とお隣さんと建築家と私の4者での話し合いの機会を近々設けようということになっております。

敷地境界と既存ゴミ置き場

その辺は少し解決に時間がかかりそうですので,ゴミ置き場部分は駐車場にはするけど建築はしないという前提で基本設計は進めています。自邸の設計に際し決めていることのひとつに,コンクリートを(ほとんど)使わず,極力造成は行わず,土が呼吸しやすいように,建築を"植えるように建てたい"というのがあります。
以前構造設計した,軽井沢山荘という崖地に一切コンクリートを用いずに建てた建築の成功体験がずっと頭の中にあり,その後もいくつかのプロジェクトで同様の手法を試みていることから,まずは地面から浮かせるというのが自分の中ではマストな条件でした。あとは平屋がいい。森と都市の眺めも欲しい。キッチンは・・・などなど書き出すと止まらないのですが。

そんなこんなで,最初にあがってきたプランは以下の2つです。

プランA
プランB

建設会社とのヒヤリングの結果,造成工事無しで杭を打てる範囲というのは結構限られていて,自分の敷地だけ使うならパンツの大事な部分に杭を打つことになります(プランB)。一方で,2023年現在隣の敷地は空き地であるので,交渉してそこを使用させてもらえれば,パンツの腰の部分にも造成無しで杭を打つことが可能です(プランA)。皆さんはどちらがいいと思いますか?
できることなら敷地の奥に建物は植えたい。20mもスパン飛んでるけど,俺ならなんとかしますから,プランAで(笑)
というのが今の気持ちです。とはいえ必ずしも無理はする必要ないので,造成無しでの杭打ちの施工範囲次第では真ん中の方も支えにいくとは思いますが。
浮かした自邸の下でBBQをしたり,薪小屋をつくって冬は薪ストーブで暖を取ったり,家庭菜園をしたり,ソフト面でやりたいことが尽きないので,それらの全部でなくても良いからいくつかは実現できるような暮らしをしたいと思っています。
思いは尽きないのですが,何分忙しく・・・早く腰を据えて設計がしたいです。

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